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清見 苳子
2020年6月1日 11:25
霧は まだ晴れない対岸の街が消え人が消えぬれた橋の表面を車は一台ずつ走り去ってゆくけれども運転席の窓はどれもからっぽ川は わたしをさえぎるうかぶ桃色のネオンサインの文字とときおり姿をあらわす黒い鳥の群れひろがりつづける水の流れの前でわたしは いつからここに立っているのだろう ひだりへまがりますごちゅういください無人のトラックが落としてゆく機械の声霧が晴れない
2020年5月25日 17:17
君のうたは君のこえわたしと君とをつなぐ透明な波ふるえる喉ふるえる耳君のからだの響きがわたしの芯を熱くする君のうたは君のこえふれるとあたたかな血の通ったからだ怒ればこわいし酔えばかわいいリズム打つその手のひらでわたしにもふれてほしいいつかきみは消え君のうたも消える鳴らないピアノの前でわたしは泣くだろう君のうたをさがすだろうだから 今君にわかるように伝
2020年5月18日 23:30
あなたがいないからわたしはおいてきぼりにされた子ども心細さに泣きたいけれど唇をかみ せいいっぱい目に涙をためる あなたがいないからわたしはあなたの姿を人ごみに探しつづける会えるわけないや とうつむくたびにもしかしたら と希望をいだく あかりが灯り また夜がきて大人だからひとりで夕飯も食べ歯みがきもして十二時には眠りにつくのだけれど ほんとうはわたしは布団をけ
2020年5月18日 16:53
魚売り場の平台にはイシモチ キンメアユ エボダイもう動くことはないけれど透明なラップにぴっちりと包まれて死んだ魚の片目がならぶ天井のライトを見つめたままひかるきれいなのだとっても ガラスケースに映ったわたしの顔は不満と不機嫌をかろうじて隠し 認められたいのに認められない しなびた葉っぱのようなこの思いをいつまでもすてられない