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詩#1 魚の目

          

魚売り場の平台には
イシモチ キンメ
アユ エボダイ
もう動くことはないけれど
透明なラップにぴっちりと包まれて
死んだ魚の片目がならぶ
天井のライトを見つめたまま
ひかる
きれいなのだ
とっても

ガラスケースに映ったわたしの顔は
不満と不機嫌をかろうじて隠し

認められたいのに
認められない

しなびた葉っぱのようなこの思いを
いつまでもすてられない

こっちこそ
死んだ魚の目だ

まだ
生きているというのに

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