見出し画像

詩#6 旋律

終わりのない旋律のように
鳥は高く空につばさをひろげ
かやの穂はあらゆる風の方角へとゆれる

表面の光はこまかな散乱と集合
土手の上から同じ流れをながめていても
私の見る世界とあなたの見る世界とは
へだたり そして重なり
また離れながらゆらぎあって

私は
あなたの横顔の輪郭をしっかりと目に記憶する
ともに在ることのよろこびには
いつも別れの影がうっすらとつきまとってきた

途切れた旋律のあとにひろがる静寂を
わたしはひとり歩くのか
かすれてゆく記憶をくりかえしよみがえらせながら
無言の空を
死んだ風の吹く夕暮れのなかを

あなたのいない土手を

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?