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詩#8 魔法
火と 水と
するどく光る刃物をあやつり
わたしは二人の息子を育ててきた
今 わたしの両側に立ち
兄は煮えたぎる鍋に肉を放り
弟は胡瓜をうすくスライスする
こまかな雨のしずかな夜
台所にはひとつあかりが点いて
とうにわたしの背を超えた二人の会話は
知らない単語や情報でいっぱいだ
アボカドの種をまるくくりぬきながら
わたしは黙ってそれを聞いている
たぶん
わたしが育ててきた というのは間違いで
魔法か それに似たふしぎな力
ふと 気がつけば
こどもは大人へと
さらり 変化する
もう どのくらい
重くなったのだろう
二人とも
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