最近の記事

ハマスの認知的戦略

ハマスに蝕まれるヨルダン  まず、以下のXポストを読んでほしい。  ここに指摘されているように、この頃、ヨルダンでのハマスの扇動がXにも流れてくる。  こちらの記事が詳しく、国内での親ハマスデモが不安定化をもたらしている背景を説明している。 パレスチナ人社会での地歩  まず、ハマスの戦略が何であったかを思い出すべき。彼らは、イスラエルに入って大虐殺を行い、人質を大量に取ったのは、まずはパレスチナ社会を扇動して、自分たちの地歩を固めるため。西岸において、パレスチナ自治

    • 10月7日から半年、日本のメディアはイスラエルとハマスの戦争をどう報じているのか?

      以下は、ディラン・オブライエン(Dylan O'Brien)氏による、FCCJの記事を、ご本人の許可によって、日本語訳をしたものです。  ここ数カ月、日本を拠点とするイスラエルへの抗議活動は、仙台から広島まで多くの人々を引きつけている。イスラエルへの反対は、もはや政治的に積極的な大学生や平和活動家、パレスチナを専門とする教授だけのものではない。それどころか、イスラエルへの反感が高まっていることを示す証拠は、いたるところで見かけることができる。週刊プレイボーイ』4月1日号では

      • キリスト者議員によるUNRWA関連質疑

         「国会の質疑は、こつこつと積み上げて(調べて)いくしかない」・・国会議員の国会での発言というのは、地味で、地道な営みであることを教えてくださったのは、金子道仁参議院議員(維新)でした。昨年5月末に、イスラエルの国会における、エルサレム朝餐祈祷会に参加する旅で同行させていただて以来、何かとお付き合いをさせていただいています。  これまで、イスラエルや政治のことについて、議員会館などに訪問させていただきましたが、今回、たった一つの案件についての質疑の裏で、本当に地道な作業をし

        • 「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」

          今日は、聖金曜日。主イエスが、十字架に磔にされたことを覚える日だ。 「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」 (わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか) 主が、十字架の上で大声で叫ばれた言葉だ。 現代の私たちは、この文言を「詩篇22篇から」という。しかし、今の章と節は、後世の人が付けたもので、当時は存在しなかった。今のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)もそうだが、当時は、巻物の最初に出てくる言葉で、どこを指しているのかを示していた。 したがって、主が上の言葉を叫ば

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          Nas Dailyのナスさん、ユダヤ人団体の賞を授与される

           私がずっとフォローして、楽しくコンテンツを楽しませてもらっている、Nas Daily(ナス・デイリー)のナスさんが、最近、反ユダヤ主義を始めとする憎悪に対して戦っている団体である、ADL(反中傷同盟)から、ダニエル・パール賞を授与されました。 https://www.adl.org/resources/press-release/adl-honors-israeli-palestinian-content-creator-nuseir-yassin-2024-daniel

          Nas Dailyのナスさん、ユダヤ人団体の賞を授与される

          情報は、探すより、集まって来る時代 ~ キリスト者の考察 ~

           今日、ある牧師さんと、いろいろ話す機会がありました。伝道について、「こちらが伝道するので、聞いてくださいと押していくと、今の時代は、人々は引いていってしまう。そうではなく、相手が聞いてきて、それに答える、引き出すような伝道が必要だ。」との内容になりました。  私も、同じことを考えています。教会では、バイブル・カフェというものをしていますが、人々が来て、それで普通に会話しています。相手が興味をもって話していることに応じる形で、キリスト教について、福音について、どのように自分

          情報は、探すより、集まって来る時代 ~ キリスト者の考察 ~

          「分かり易く」が「事実の歪曲」になる日本の情報 ~イスラエル報道を通して~

           以前の記事でご紹介しました、イスラエル在住のテルアビブ大学講師、山森みかさんのラジオ番組でのお話を、再びご紹介します。数日前のこのインタビューも、前回と同じように、とっても学ばされ、考えさせられました。  彼女自身が、Xのほうで、ご自分の今の感想を以下のように述べています。  彼女は、イスラエルの地以上に、日本の未来を案じているとして述べています。これは、私が常日頃から日本について感じていたことです。つまり、「事実を、有体に、そのまま伝えるべき」という規範が、日本ではか

          「分かり易く」が「事実の歪曲」になる日本の情報 ~イスラエル報道を通して~

          当事者の見る、米国福音派のイスラエル支持

          (写真の出展:Prime Minister Benjamin Netanyahu speaks at the Evangelical Christian movement and a mission of approximately 800 members of Pastor John Hagee’s Christians United for Israel (CUFI) organization, in Jerusalem on March 18 2012. (Amos B

          当事者の見る、米国福音派のイスラエル支持

          「ハマスはガザ、ガザはハマス」

          ※以下は、1月5日に自分の書き記したものです。  日本では元旦の地震があり、世界のニュースが相対的に入らなくなっていることもありますが、いろいろな事件が起こっています。ロシアがウクライナにミサイルを大量に打っています。そして、昨年末のクリスマスに、ナイジェリアでキリスト教会に襲撃があり、数百人単位で大虐殺がありました。イランでは、ソレイマニ司令官の追悼式が行われているところで、自爆テロがありました。イスラム国が犯行声明を出しています。  その中で、ハマスによる大虐殺と、イ

          「ハマスはガザ、ガザはハマス」

          罵倒・レッテル貼り・類型化は 自分を神の位置に置く行為

           「悪口」「中傷」という意味で、英語で、name callingという言葉があります。「名前を呼ぶ」という意味ですね。他者の人格を、ある呼び名の中に押し入れることによって、自分を上位に持ってきて相手を下位に持ってきたり、外に排除して仲間外れにすることです。  聖書から説明しますと、十戒には、「主の名をみだりに口にしてはならない」というものがあります。聖書では、名は、その人の人格や本質そのものであり、神の御名はそれゆえ、敬い、あがめて呼ぶ以外は、呼んではならないということです

          罵倒・レッテル貼り・類型化は 自分を神の位置に置く行為

          クリス・クオモ氏の見たハマス大虐殺

           TVジャーナリストで、かつてCNNのニュースアンカーであったクリス・クオモ氏が、10月7日のハマスによる大虐殺の、編集前の映像の、限定公開を見た感想です。非常に雄弁に、この衝撃を語っています。必見です。  ハマス自身が、これらの残虐の極みの映像を、喜んで自ら撮影して、テレグラムなどで発信していましたが、イスラエルは、これらの映像とその他のイスラエル側で録画されているものを合わせた映像を入手していますが、遺族や人質のご家族への配慮で、一般公開していません。  しかし、一部

          クリス・クオモ氏の見たハマス大虐殺

          ブリンケン国務長官にある道義的姿勢

           今回のイスラエル対ハマスの戦争において、巷でも世界でも大きく騒いでいますが、その中で欠けていると強く感じているのは、「当事者性」です。つまり、被害を受けた人々にどれだけ共感しているのか、そこには自分と全く同じ生きている人々がいる、ということです。 パレスチナ人を「愛している」人は?  パレスチナ人の命をイスラエルが考えていない!と言っている人々のどれだけの人が、常日頃からパレスチナの人たちの人権や尊厳に寄り添って、愛してきたでしょうか?そう、パレスチナ人を「愛して」来た

          ブリンケン国務長官にある道義的姿勢

          イスラエル・ハマス情勢を倫理観で見る(必見動画)

           上は川端寛海さんによる、今のイスラエル・ハマス情勢の解説、第二弾です。必見です。(第一弾はこちらから)  私が、この記事で紹介したいと思った理由は、彼がキリスト者であるから、一般の国際政治学者や中東研究、軍事研究者のような分析以上に、「倫理観」を明確に述べられている点で、ユニーク(独特)であり、必見に値すると思ったからです。  彼の情勢分析は、まず、ハマスの意図です。本当は停戦したいということです。自分は攻撃して、それで反撃させないために、世論を味方につけて「停戦」に追

          イスラエル・ハマス情勢を倫理観で見る(必見動画)

          ホロコースト時のキリスト者と「今」

          クリスチャンのみなさんへ:   ホロコーストの時のキリスト者の過ちを繰り返してはいけません!長文ですが忍耐してお読みください。  10月7日にハマスがイスラエル人を惨殺し、大虐殺を実行して間もなくして、あるユダヤ教ラビが、クリスチャンたちへの呼びかけがありました。一つは、祈ってほしいこと。次に、声を上げてほしいことです。  今、世界中で暴力的デモが多発しています。ロシアでは、テルアビブ発の飛行機が降り立った途端、群衆が飛行機にまで押し寄せてきて、イスラエル国籍の者がいた

          ホロコースト時のキリスト者と「今」

          実は、ハマスにはいてほしい全世界

           先日の山森みかさんのご解説で、よくわかったことがあります。  それは、イスラエルとハマスが小康状態になっていることが、全世界にとって都合が良いのでは?という、イスラエルの人たちの思いです。しかし今回は、大虐殺を経験した。この構造を変えなければ、再び同じことが起こるという深い懸念です。  しかし、それを変えようとすると、全世界が何とかしてイスラエルを抑えようとする。なぜか?その「都合」が悪くなるからという本音なのです。占領だの、ガザの人たちの人権だの、国際秩序が乱れるなど

          実は、ハマスにはいてほしい全世界

          ハマスというお荷物

           テルアビブ在住の山森みかさんのご解説が非常に良かったです。  イスラエルの人たちが内側でどう考えているのかを、かなりの程度、説明してくださっています。  いろいろな点を述べていますが、私にとって最もよかったのは、これまでの「イスラエルとガザが小康状態を保っていたであったのが、全世界にとって好都合だった」という指摘です。 ・自治政府にとっては、ハマスがイスラエルによって弱められているのは好都合。 ・アラブ世界はイスラエルを非難できるので、国内でガス抜きができる。 ・

          ハマスというお荷物