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アミール・ツァルファティさんが、左派リベラルのイスラエル人にインタビュー

 驚いた。アミール・ツァルファティさんは、イエスを信じるイスラエル人で、福音派のキリスト者の一部界隈では、非常に有名な方。政治的には右派。

 その彼が、左派リベラルのイスラエルの著名人エイナット・ウィルフさんにインタビューしている。

アミール・ツァルファティ&エリナト・ウィルフ博士対談: 10月7日は、パレスチナ問題に対する見方を変えたか?

 ウィルフさんは、「帰還戦争 ― パレスチナの夢への欧米の耽溺が、いかに和平への道を妨げたか ―」という著書が有名になった。

ガザ戦争は、ネタニヤフ政権が極右だから起こされたものではない

 日本では、イスラエルのこと、パレスチナとの対立のことで、非常に歪められた情報が入っていて、定着さえしている。イスラエル人やユダヤ人にインタビューする時さえ、そのまま伝えず歪曲するし、あるいは、ごく少数の極端な考えの人たちについて報道する。今は、ネタニヤフ政権の極右勢力がいるから、ガザ戦が非人道的になっているという批判や非難だ。的を外している。

 イスラエル人の多くは、二国家案を信じているということだ。Xにおいて、イスラエル在住の方々は一様に、二民族二国家案を支持している。ネタニヤフ氏については良い意見を持っていない。

左派が「二国家案」を信じる理由


 では、左派の人たちに愛国心がないかというと、そうではない。なぜ二国家案を支持するのかといえば、パレスチナ人に国を与えず、イスラエルが併合するならば、ユダヤ人よりもアラブ人のほうが多くなり、「ユダヤ人国家」でなくなるからだ、というのが理由だ。

 しかし、イスラエルの人たちは、アラブの人たちが自分たちの国を持ちたいのではなく、ユダヤ人の国があってはならないという思いのほうが強いことを、長い歴史を通じて知っていた。実に建国前から、ユダヤ人の主権の国が少しだけあっても、それに全く妥協の余地を見せなかった。それで戦争をしかけてきた。

 しかし、ついにオスロ合意に至り、二国家に向けた暫定自治政府ができた。ところがテロが多発した。そして、イスラエルの首相がとてつもない譲歩を、時のアラファト議長に出した。それを蹴って、始めたのが、第二次インティファーダであり、自爆テロによる死傷者が一気に出た。

 そして、イスラエルは軍をガザから完全撤退させた。入植地も引き抜いた。これがもしかしたら、パレスチナ人が初めて、固有の主権に近い地区が与えられたのだ(西岸にはイスラエル軍が治安を管理している)。ところが、その結果、ガザにハマスが実効支配して、越境テロ攻撃をしたというのが、10月7日なのだ。

今がパレスチナ国家の時ではない


 それで、国を与えなければユダヤ国家が成り立たないという枠組みは、エイナット・ウィルフさんは信じている。しかし、大勢のイスラエル人は、左派であっても、以上のパレスチナ・アラブ人による、国を持ちたいのではなく、イスラエルを潰したいという強い思いがあるからこそ、二国家案は今は現実的ではないとみなしている、ということだ。


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