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中学受験を「子どもが傷ついて終わる受験」にしないために

2020年2月を、私は生涯忘れないでしょう。

中学受験が過酷だということはさんざん言われていたし、私も覚悟を持って臨んだつもりでしたが、いやはやここまでとは。

何が過酷って、2月1日から連日連戦、午前・午後入試の結果が当日中に、あるいは翌日にぽんぽん繰り出されることによって、そして結果が芳しくないものだった場合、ダメージにダメージが重なり、ついには「心が折れる」ところまで行きかねないということです。

大人である自分だけだったら、耐えられたでしょう。

そのダメージをどんなオブラートに包もうと、当事者である子どもに経験させることになるのが中学受験の恐ろしさです。

たかだか11歳、12歳の子どもに、です。

入試が始まって早々に本命合格を手にしたら、「受験勉強は大変だったけど、やってよかった!」という感想で締めくくることができるでしょう。

世に出回っている「合格体験記」はそういうものであることがほとんどです。

しかしながら、第1志望合格が3割と言われる中学受験において、少なからず涙したり傷ついたりする子が多数派なのです。

中学受験に参戦させる親はこのことをーー合格体験記で夢を見るのと同時にーーもっと真剣に考えなければなりません。

「落ちる経験」もまた成長につながる、などという感覚が、入試前の私にはあったかもしれません。

その甘さこそが、今回の入試の苦しみを生んだことはまぎれもない事実です。

「落ちる経験」は避けられないとしても、「受かる経験」もセーフティーネットとして用意しておかなければならないのです。


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ここで、わが家の受験について振り返ってみます。

わが家の受験は今思うと、「特攻」と呼ぶにふさわしいものでした。

第1志望はチャレンジ校といわれる学校で、持ち偏差値より8も高い学校でした。

運よく塾の学校別特訓クラスに入ったことで、仲間と共にその学校(A校とします)へ向けてひた走ることに。その勉強法や心情の変遷は別の機会に書くことにします。

そして2月1日の本番。

私の「あわよくば」の気持ちを見透かしたように、神様は残念な結果を突きつけてきました。

でも、ここまでは想定できたこと。

2月2日の午前は持ち偏差値プラス2のB校、2月3日午前は持ち偏差値マイナス2のC校を受験。

じゃあ、いわゆる「滑り止め」は? 

これには午後入試を活用しました。いや、活用したつもりでした。

午後入試は、今ならわかる、大変なくせ者です。例えば、偏差値50と出ていても、偏差値60の子、65の子がこぞって受験します。

倍率も5倍10倍という高さ。そして、偏差値60の子、65の子が合格をかっさらっていく構図です。
わが家もその罠にかかりました。

そして、2月3日を終えた時点で合格はゼロ。

2月3日の夜、ベッドで枕を濡らした時の気持ちをどう表現したらいいでしょうか。

この時の後悔と恐怖はかつて経験したことのないものでした。

もっと「安全校」をしかるべき日程で組み込めばよかったという後悔。もっと「わかってる人」に相談しておけばよかったという後悔。入試の最中にもっと柔軟に受験校の変更をしていくべきだったという後悔。もっと夫婦協力体制をとっておくべきだったという後悔。

そして、このまま「全落ち」になってしまうのではないかという恐怖。それによって子どもが自信を失ってしまうのではないかという恐怖。受験がトラウマになってしまうのではないかという恐怖。

上記をひっくるめて、なぜこんな過酷な受験というシステムに子どもを巻き込んでしまったのだろうという後悔、そんな現状に対する恐怖。

これによって傷ついた子どもがいることに、中学受験ビジネスに関わる大人たちーー中学教師、塾講師たちは気づいているのだろうか。何十年とこれを繰り返してきて、傷ついた子どもへの救済システムを用意しているのだろうか。

……とここまで考えて、やはり責任は親である自分自身にあることを思い知ったのです。

約3年に及ぶ受験勉強期間、「中学受験は親の未熟度をはかるテストだな」と常々感じていました。

いざ2月1日の入試が始まったら、嵐のように過ぎ去っていくんだろうな、と想像していました。

ところがところが、嵐のように過ぎ去るどころか、1日が50時間あるんじゃなかろうかという長い長い5日間でした。

この5日間のために、その前の3年間がある、と確信せずにいられませんでした。それは、子どもの学力もメンタルも親のメンタルもすべて。

ですから、小3、小4、小5の受験生を持つ親の皆さまに声を大にして伝えたいです。

どうかどうか、受験は想定外の結果になることがある、とまで想定して臨んでほしい。

(よって、「どの学校に行ってもあなたは幸せになれる」と日頃から暗示をかけておくことは大事だと思います。)

「あわよくば受かるかも」「どこかに受かったらいいな」という甘い気持ちは捨ててほしい。

そして、子どもの自己肯定感と笑顔をキープできる方法を最後の最後まで考え続けてほしい。

おおいなる反省を込めて、イチ受験生母からのメッセージです。

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