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茶道の基礎

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ふすまの開け閉め

 茶道だけに関わらず、日本文化の作法は「ふすま」の開け閉めから入ります。「ふすま」を開けてはいる仕草が第一印象となるのですからとても大切なことです。
ふすまの開け方
・ 襖の正面に両手を膝の上に置き座り、引き手に近い方の手でふすまを五センチほど開けます。
・ その手を下から約八寸(約二十四・五センチ)のところの縁をもち中心まで開けます。このとき、襖紙には指をかけないように心がけます。
・ つぎに反

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待合

茶事・茶会に招かれた客が待ち合わせる場所であり、まず案内される場所が寄付待合となります。床には客が最初に目にする茶道具となる軸が掛かっております。その時の季節、趣向、亭主の思いの前触れが読み取れます。席には毛氈(もうせん)や緞通(だんつう)更紗(さらさ)などが敷かれ、「気楽に一服でもしながらお待ち下さい。」との意味で煙草盆が置かれています。喉の渇きを少し潤す程度の白湯を頂き、露地入りの案内を心静か

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水屋

水屋は水谷とも書き、茶室の台所・勝手で、茶事・茶会の準備を整える場所、お稽古の際に必要な道具を用意する場所です。水屋とは神社にある参詣者が手・口を清める屋根付きの手水鉢の名から使われ、水谷は禅僧では身の不浄(ふじょう)を清め髪や体を洗うこと斎戒沐浴(さいかいもくよく)といい、その浴の字を水と谷に分けて水谷と書きます。どちらも身を清める意味から取られております。亭主から見ると茶室の中で一番大事な部分

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小間

小間とは四畳半以下の茶室をいい、小座敷・草庵茶室と言われます。茶道口から一歩入った畳がおよそ台子一つ分を引かれた台目畳か一畳丸畳で点前畳となることが条件であり、貴人畳・踏込畳などが省かれ、侘び茶だけの舞台となります。長四畳・深三畳・三畳台目・二畳・二畳台目・一畳台目など多様な間取りがありまして、炉を切る位置も点前畳に炉を切った、向切・隅炉があります。点前は運びを原則として、道具も侘びた取合せをしま

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広間

四畳半以上の茶室を広間といいます。広間には、角柱(かくばしら)・長押(なげし)・張付壁(はりつけかべ)・棹縁天井(さおぶちてんじょう)で構成され、床の間・付書院(つけしょいん)・書院窓(しょいんまど)・違い棚(ちがいだな)などを備えた書院造りと、それらを自由に生かした数寄屋造りとあります。
六畳・八畳・十畳などから大げさ言いますと何十畳でも間取りが取れます。広間の茶室でも、侘び茶を中心に使う事が出

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釣り釜

暦の上では春、三月になると釣り釜が掛けられます。炉の中の五徳を外し、茶室の天井にある釜蛭釘に鎖、竹の自在を提げて、釜を釣ります。釣る釜は筒釜・棗釜・雲竜釜といった細長いものが好まれ、炉との隙間から見る炭火は寒さも忘れさせてくれます。お湯が沸くことにより釜が揺れる姿は、まるで揺りかごにいるかようで、ゆらゆらと亭主と客の心を近づかせてくれます。春は優雅な季節であり、茶人には最も雅な心で包まれる季節であ

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茶箱

点前手続は「卯の花」「和敬」「雪」「月」「花」「色紙点」とあります。それぞれ使う道具の異なり・所作を身に付けることが大切ですが、楽しむことからはじめるのも茶箱の良さです。木地や塗物等の箱、竹・籐などで編んだ篭に小振りな茶碗・棗・茶杓、茶筅を入れた茶筅筒、茶巾を入れた茶巾筒、小菓子の入った振り出しを収めれば、何処でもお茶を楽しめます。旅先などで気軽にお茶を点ててみると、違う視点からお茶の親しみ方を感

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立礼

明治のはじめ京都博覧会の開催に伴い、裏千家十一代家元玄々斎居士は海外の人々がお茶に触れる機会をと立礼(点茶盤)を考案されました。道具畳となる点茶盤、机となる喫架、円椅となる椅子から成りたっています。風炉釜を据えて、水指・杓立(柄杓・火箸を立てる道具)・建水・蓋置の皆具一式を用いて点前を致します。点前手続きは畳の上と同じですが。亭主、客ともに円椅に座れる故、正座の出来ない方、馴れない方にも親しみの湧

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やつれ風炉

風炉と炉の境目、十月は名残の月と呼ばれ、侘びの風情深まる季節であります。秋はさびしさ、わびしさを思う頃でもあります。去年の十一月に茶壺の口を切り、使い続けてきた残り少ないお茶に名残を惜しみつつ、花は夏の草花の残花を生け、鉄製のやつれ風炉など侘びた道具で取り合わせをします。また、冬が近づき肌寒くなる頃、風炉を点前座中心に置くことで客に火の温もりを近づけます。秋は寂しい季節でありますが、茶人には最も侘

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