釣り釜

暦の上では春、三月になると釣り釜が掛けられます。炉の中の五徳を外し、茶室の天井にある釜蛭釘に鎖、竹の自在を提げて、釜を釣ります。釣る釜は筒釜・棗釜・雲竜釜といった細長いものが好まれ、炉との隙間から見る炭火は寒さも忘れさせてくれます。お湯が沸くことにより釜が揺れる姿は、まるで揺りかごにいるかようで、ゆらゆらと亭主と客の心を近づかせてくれます。春は優雅な季節であり、茶人には最も雅な心で包まれる季節であります。 

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