やつれ風炉

風炉と炉の境目、十月は名残の月と呼ばれ、侘びの風情深まる季節であります。秋はさびしさ、わびしさを思う頃でもあります。去年の十一月に茶壺の口を切り、使い続けてきた残り少ないお茶に名残を惜しみつつ、花は夏の草花の残花を生け、鉄製のやつれ風炉など侘びた道具で取り合わせをします。また、冬が近づき肌寒くなる頃、風炉を点前座中心に置くことで客に火の温もりを近づけます。秋は寂しい季節でありますが、茶人には最も侘び心で包まれる季節であります。

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