北川佳奈

児童文学作家、絵描き。『ぼくに色をくれた真っ黒な絵描き-シャ・キ・ペシュ理容店のジョア…

北川佳奈

児童文学作家、絵描き。『ぼくに色をくれた真っ黒な絵描き-シャ・キ・ペシュ理容店のジョアン』、『クーちゃんとぎんがみちゃん-ふたりの春夏秋冬』(くらはしれい・絵/岩崎書店)、『ポラン先生ときけんなマジックショー』(小学館)など。

記事一覧

日記のお引っ越し

日記をお引っ越ししました。 kiinote

北川佳奈
2か月前
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5日ごとの季節

 東京に戻ってきて数か月、ようやく息のつける公園を見つけた。閑静な住宅街に残る、小さな小さなお山。  七十二候というものがあるけれど、自然というのは本当に5日単…

北川佳奈
8か月前
6

虫がおいしくしたお茶

 カフェで「蜜香紅茶」なるものを飲んだ。  そこは紅茶を得意としているようで、メニューには40種類もの紅茶がずらりと並んでいた。多すぎる。思考が停止しかけたとき、…

北川佳奈
8か月前
4

耳の名前、耳と名前

 ジコウカイクウにおできができた。  耳甲介腔。耳たぶと耳の穴の間のくぼんだところ。調べてみたら、小さな耳の中にはたくさんの部位があって、そのどれもに一丁前に名…

北川佳奈
9か月前
2

狂った夏のごはん

この夏、狂ったように焼き味噌のお茶漬けばかり食べていた。暑くて台所に立つ気力が湧かないからだ。 焼き味噌は、小なべにサバ缶と味噌を入れ、酒、みりんを適当にふりか…

北川佳奈
9か月前
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児童文学作家の虫かご

自己紹介 子どもの本の作家で、絵描きです。 このnoteでは、お仕事のこと、日々の暮らしのこと、 イラストなどを載せていきたいと思います。 児童文学作家の生態を、「お…

北川佳奈
1年前
20

日記のお引っ越し

日記をお引っ越ししました。
kiinote

5日ごとの季節

5日ごとの季節

 東京に戻ってきて数か月、ようやく息のつける公園を見つけた。閑静な住宅街に残る、小さな小さなお山。

 七十二候というものがあるけれど、自然というのは本当に5日単位で変わりゆくものだなあと思う。先週のお山と今週のお山では、表情や気配がまた違う。特に虫を見てそう感じることが多い。どこからか、わっと出てきて、パタっといなくなる。ああ、今日はこの虫が元気な日なんだな、と思う。

 先週はわたしの好きな七

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虫がおいしくしたお茶

虫がおいしくしたお茶

 カフェで「蜜香紅茶」なるものを飲んだ。

 そこは紅茶を得意としているようで、メニューには40種類もの紅茶がずらりと並んでいた。多すぎる。思考が停止しかけたとき、「虫」という字に目がすいよせられた。あえて虫に噛ませてフェロモンを出した茶葉のお茶、というようなことが書いてある。迷わず注文した。

 カップに注ぐと、琥珀色のきれいなお茶。名前に恥じぬ甘い香り。くせはない。虫と聞いたからだろうけれど、

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耳の名前、耳と名前

耳の名前、耳と名前

 ジコウカイクウにおできができた。

 耳甲介腔。耳たぶと耳の穴の間のくぼんだところ。調べてみたら、小さな耳の中にはたくさんの部位があって、そのどれもに一丁前に名前がついていた。

 ダーウィン結節という大仰な名前の部位もある。
 「耳輪の後上部のまきこんだ縁にときにみられるにぶい突起」
 結節はしこりのこと。耳輪は耳のてっぺんのふちで、パッキンみたいな形をしているところだ。下にむかってたどってみ

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狂った夏のごはん

狂った夏のごはん

この夏、狂ったように焼き味噌のお茶漬けばかり食べていた。暑くて台所に立つ気力が湧かないからだ。

焼き味噌は、小なべにサバ缶と味噌を入れ、酒、みりんを適当にふりかけ炒める。何となく水分がぬけてまとまったら、冷蔵庫で1か月ほど保存が効くと言う。お魚なのに。味噌の力なのだろうか、味噌はえらい。「適当」と「何となく」でできたこの焼き味噌が、すごく美味しい。

さて。器に玄米ごはんと焼き味噌、顆粒だし、す

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児童文学作家の虫かご

児童文学作家の虫かご

自己紹介

子どもの本の作家で、絵描きです。
このnoteでは、お仕事のこと、日々の暮らしのこと、
イラストなどを載せていきたいと思います。
児童文学作家の生態を、「おお、生きとるな」と、
虫かごをのぞくような心持ちで、時々ご覧いただけたら。

北川佳奈 | kitagawa kana
1984年東京生まれ。2016年絵本『かがり火』(青柳拓次・文/millebooks)刊行。2020年「シャ・キ

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