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春野 惠
2022年4月10日 23:34
近景がシュンと飛び去るスピードのファイルしきれぬ楽しさを知るふるさとをまとめて何処(どこ)へ向かうやらいつも心はふるさともとむ川のある景色にあいて安らげど心にあるはふるさとの川この道の続く処(ところ)の果(はた)てまで走り続けてゆくのもいいかここちよい虚脱が襲う暁(あかとき)の別れのようにエンジンを切る
2022年2月21日 21:51
短歌もう恋がどこにも残っていないかと涙を拭いて海を見ている冬の好きな君を愛していつよりか君のいない冬を迎えるひとり来てエンドレスの波音を聴きつつ何を思い煩うきさらぎの凍てつく風を受けながら哀しみを知る優しさを知る
2021年10月4日 23:24
われもまたオブジェのひとつかもしれぬ美術館のロビーの椅子にやまなみの裾をほのかに暮れ残す秋桜揺れてゆられてひとり奥院のもみじ織りなす色の彩(あや)きっとサヨナラできるとおもう死ぬほどに我れが欲しくば奪い去れますらおたちの三角四角お笑いのコンビのようにこれからを吹きゆく風の歌をうたおうこもごもの後に来るとう現身のたゆたうような眠りを愛す
2021年7月21日 22:55
未曽有の100年に一度の1000年に一度の前代未聞の類を見ない形容詞を施され前例のない災害が史上最高の規模で全世界的に起こっているかつてないはずのことが空前絶後といえるほどの未到の頻繁さで破天荒に起こっているそれは言い換えればもはや日常茶飯的な光景で歴代陳腐な出来事に今まさになりなんとしているまた超大型台風が接近してます今夜も連続30日の熱帯夜でしょう今
2021年4月27日 23:47
山茶花を一本手折らん繁りあう枝より青き空に手を入れゆるゆると壁這う蜘蛛の小さきは止まりてただに汚点となりぬ短夜の童子の時を悲しみて樹木は齢をふかめいるらん遥かなる記憶ゆすりて脳髄を突き抜けてゆく野風春風血を流さず河の流れに逆らわず生きるや我は人形となりて
2021年4月7日 22:30
風に舞うさくらひとひら地に還り何もなかったように時過ぐ過去となる時の宿命(さだめ)を閉じ込めて物語りせん古きアルバム空澄みてあるかなきかのたまゆらの風のかけらが髪に残りぬ残業の疲れを纏う男らと並びぬホームの風を受けつつ
2021年4月4日 21:57
瞑想もいいが寂しき公園の膝を折りたる駱駝の背中革ツナギ吊るせば丸き吾のかたち残しておりぬ抱き寄せてみんブタ草の季節にズーズー鼻鳴らす花粉症時期ブタと化したり不思議なることのいくつか調べずにいれば神秘は神秘のままで横長のバスタブ浅く湯を張れば日本列島の形に沈む鉛筆を削れる世代というよりは器用な我と不器用な君乗り越える少しの力の源は引きずるものの負荷にこそあれいつだって中途