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【日記】プリンター

プリンターを買いに行った。それにあたり壊れたプリンターをジャンクとして売ろうと、持って行かなくてはならなかったので、母親に車を出してもらわなくてはならなかった。

結局、古いプリンターは新しいプリンターを買う足しには換わらず、処分のために引き取ってもらった。

電気屋では母親を嫌悪した。喪中葉書や年賀状を刷りたいから葉書対応がいいとか、インクは5色の方が写真が綺麗とか、少しお金出すからいいの買えとか、五月蝿い。母親が薦めるのは私の予算では高いし、妹の一人暮らしの部屋にあるのと同じ機種だから嫌だ。塾講師のバイトで稼いでる妹と同じものを指差された時、「このレベルが当たり前だ」と言われてる気分だった。あと、仕事や自分の付き合いで使うなら、仲のいい妹に頼むか(妹は毎週末に帰ってくる程度の近さに住んでる)、父親が買えばいいだろう。

横から店員が入って来た時、「分からないことあったら訊きますから」と、私は遮った。母親が肘を叩いてくる。馴れ馴れしくすんな、と無視してプリンターを吟味した。

決めて、店員を呼び、USBケーブルと予備のインクカートリッジの売り場に案内してもらった。

「USBケーブルは、前に使っていたものは無いのですか?」

と、店員は親切なことに確認した。

私はギクッとした。さっき引き取られた……。私は、まだ使えるUSBケーブルを壊れたプリンターに差したまま、ジャンク品としてリサイクルショップに置いて来てしまった。

「お母さんが返してもらってくる!」

と、母親は私に手を出して400円(ケーブル代)要求した。ヤメろ。あなたに代金を払うなら新しく買うのがいいに決まっているし、置いてきてしまったものは返品不可とリサイクルショップの店員に念押しされたのだ。確かにまだ使えるケーブルをジャンク品としてタダで置いていたのは惜しいが、それを含めて私のやったことであり、私が納得しているのだから騒がれる筋合い無しである。

「ケーブル代、プリンター代から引いて、おまけします」

と、店員が言った。

情けなかった。

買ってからも、まだ母親は妹と同じ機種を愚痴愚痴と薦めて来た。いいの買えば? いいの買えば? 返品出来るよ。

みみっちい。鬱陶しい。浅ましい。

嫌だ、と私は情けなくなるほど声に力を込めた。

明らかに母親は気分を害したようだった。当然だ。

そう思った時、気がついた。

だって、この態度は、いつかあなたが私にしたような振る舞いを再現して見せているのだから。

あなたの態度はこんなに酷い。他人の心中を慮らず開き直り、決して自分を省みない。みみっちいくて、鬱陶しい、頭の凝り固まったオバサン。

それを見せて憂さ晴らししたかったんだ私は。

今日やっと、こんなの止めたい、と自覚が出来た。

すぐにまた、いいの買えばいいのに……、と聞こえた。

堪えた。

いいのだ、これで。私の出せるお金で必要なものまで揃えられるプリンターが、私にとってのいいプリンターだからだ。私に必要な機能を取捨選択して判断した過程の結果に選んだことがいいのだ。

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