男なんていつだって手放せる-江國香織『東京タワー』から読み解く蠱惑の恋愛観
『東京タワー』といえば、江國香織さんの代表作の一つ。
東京タワーの真下で繰り広げられる若い男子大学生たちと、40代前後の蠱惑的な女性たちによるインフォーマルな恋愛模様は、バブル期の残り香を感じさせる優雅な描写と熱情的な関係性から、多くの読者に愛されてきた。
その中でも、私がどうしても忘れられないのは、「自分こそが彼女に本当に愛されている」と確信していた主人公が、「いつだって俺は捨てる側だった」と思い続けてきたもう一人の主人公が、二人とも物語の最後で年上の女性たちにその手を