5年着たダウンとお別れした
さっき、5年着たダウンとお別れした。
私がまだ大学生だった頃、5年後も着たいと思って買ったダウン。ちょうど5年目で、手放さなくてはならなくなった。
例年よりも湿気が多い今年の夏、ふとクローゼットの中のダウンを取り出してみたら、とうとうカビが生えてきてしまっていた。
うっ、と思いながら、外でカビを落として、すぐに「ダウン カビ生えた」で調べた。クリーニングに出せば、また使えるようで、急いで近くにお店に駆け込んだ。でも、私のダウンは寿命を迎えていたようで、「クリーニングすると着れなくなってしまう可能性が高い」と店員さんに言われてしまった。
通常、ダウンは2〜3年しか持たないらしい。私は5年も着ていて、しかも冬場は毎日着ていたから、かなりもった方らしい。「だいぶ丁寧に着ていたみたいですね」と言ってもらえた。寿命なら仕方ない。元々半ば諦めていたので、大人しく手放すことにしたのだ。
このダウンを買ったのは、2019年。5年後も着たいと思えるものを買おうと決めて、一ヶ月以上、いろいろなお店を回って買ったから、5年後の今もお気に入りだったし、6年目の今年も着る気満々だった。
このダウンとは、5年間、本当に苦楽を共にしてきた。
大学4年生から働き始め、新卒フリーランスと大学院生の二足の草鞋になり、それから文章を書く生活を続けてきた5年間。海外留学も共に乗り越えたダウン。思い入れは本当に深かった。
相棒のようなダウンを、そのまま燃えるゴミに出すことは無理だった。どうしても無理だった。でも、傷んでしまっている以上、リサイクルショップに持って行くわけにもいかない。せめてもの思いで、地域のリサイクルステーションに持っていった。せめて、新しい布に生まれ変わってくれたら。
ダウンなしに冬を乗り切るのは無理だから、秋口には新しいものを買わなくてはいけないだろう。また気に入るものを探すのは骨が折れそうだ。それでも、次も5年後も着たいと思えるダウンを買おう。
そう思った、日曜日の午後だった。
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