「COVID-19後遺症を包括的に評価する尺度を作成」

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COVID-19後遺症を包括的に評価する尺度を作成

COVID-19後遺症を包括的に評価する尺度を作成

以下引用

英国Birmingham大学のSarah E Hughes氏らは、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の後遺症が患者に及ぼす影響について幅広く評価する質問票形式の包括的スケールSBQ-LC（symptom burden questionnaire for long covidバージョン1.0）を作成し、2022年4月27日のBMJ誌電子版に報告した。

　COVID-19から回復した患者の一部に、長期にわたる後遺症が見られている。症状はさまざまで、複数の臓器系に及ぶ。最も多く報告されているのは、疲労感、呼吸困難、ブレインフォグといった症状だ。持続する、または、反復する症状が患者に与える負荷は、QOLの低下をもたらし、学業や就業に悪影響を及ぼす場合もある。後遺症の発症率や有病率、持続期間に関する報告は多いが、ほとんどが横断的研究によるもので、用いられている調査方法はさまざまだった。

　後遺症の機序について理解を深め、後遺症に対する治療法の安全性と忍容性、有効性を検討するためには、COVID-19後の患者が申告する症状を評価するための指標を確立する必要がある。著者らは、米食品医薬品局（FDA）のガイダンスに基づいて、患者自身が申告するCOVID-19後遺症の負荷を評価する質問票SBQ-LCの開発に取り組み、Rasch分析を通じて精度を高めて、バージョン1.0を完成させた。

　この研究は、2021年4月14日から8月1日まで行われた、Therapies for Long COVID in non-hospitalised individuals: From symptoms, patient reported outcomes and immunology to targeted therapies (TLC Study)の一環として行われた。

　著者らは、COVID-19の後遺症に関する文献の系統的レビューを行い、既存の後遺症評価指標が症状の全てをカバーしていないことを確認した。得られた情報に基づいて、11領域に渡る97項目からなるドラフトセットを選出した。

　続いて、後遺症を自己申告した18歳以上の成人13人（全員が白人。年齢は20～60歳の範囲で、70％が女性）と10人の臨床医に確認を依頼した。患者からは、漏れている症状の指摘も受けた。その結果、新たに69項目が追加され、最終的なドラフトSBQ-LCは、14領域、166項目から構成されるものになった。どの質問も過去7日間の症状を尋ねるもので、回答は、イエスかノーのいずれかを選択するか、アイテムの重症度、頻度、生活への影響度を5ポイント制で評価するものになっていた。

　次の段階として、ソーシャルメディアを通じて募集した後遺症を訴える患者の中から、条件を満たした274人を対象として、ドラフトSBQ-LCのフィールドテストをオンラインで実施した。対象者の年齢は21～70歳で、平均年齢は45.0歳（標準偏差10.0歳）、女性が88％で、92％が白人だった。

Rasch分析は項目とスケールの改良に役立った。それまで5ポイント制だった回答の選択肢を4ポイント制に改め、重症度については、症状なし＝0、軽症＝1、中等症＝2、重症＝3、頻度については、なし＝0、まれにあり＝1、時々あり＝2、常にあり＝3、生活への影響度については、全くなし＝0、わずかにあり＝1、いくらかあり＝2、非常にあり＝3とした。また35項目を除外し、17領域（16の症状領域をカバーする独立したスケールと、日常生活への症状の影響を測定する1つのスケール）の131項目からなるSBQ-LCバージョン1.0を構築した。全アイテムのスコアの合計は、0ポイントから100ポイントの線形スコアに変換でき、高スコアほど疾病負荷が高いことを意味する。

　131項目中8項目は生活への影響について尋ねるもので、123項目は症状に関する質問だった。内訳は、7項目が呼吸器、4項目は疼痛、5項目は循環器、4項目は疲労感、10項目は記憶/思考/コミュニケーション能力、3項目は運動能力、4項目は睡眠、14項目は、聴覚/嗅覚/咽頭、3項目は胃と消化機能、9項目は筋肉と関節、9項目は精神の健康と幸福感、8項目は皮膚と毛髪、10項目は視覚、7項目は、女性のリプロダクティブヘルスと性の健康、3項目は男性のリプロダクティブヘルスと性の健康、18項目はその他の症状について尋ねる質問となっていた。

　リモートでCOVID-19の後遺症の存在の有無と負荷を評価できるSBQ-LCは、後遺症に関する理解を深め、機序を明らかにするため、また、安全で有効な介入法の開発に役立つと予想される。さらに、増え続けるCOVID-19サバイバーのニーズに応えるためにも欠かせないと著者らは考えている。この研究は英国National Institute for Health Researchなどの支援を受けている。

　SBQ-LC （バージョン1.0）は、MICRA Gatewayを通じてライセンスされている（https://licensing.micragateway.org/product/the-symptom-burden-questionnaire-for-long-covid-sbq-lc）。

　原題は「Development and validation of the symptom burden questionnaire for long covid (SBQ-LC): Rasch analysis」、概要はBMJ誌のウェブサイトで閲覧できる。