見出し画像

「BNT162b2ワクチンでオミクロンによる小児入院リスクが3分の2減」

TONOZUKAです。


BNT162b2ワクチンでオミクロンによる小児入院リスクが3分の2減

以下引用

 米疾病対策センター(CDC)のAshley M. Price氏らは、2021年7月1日~2022年2月17日に報告された18歳未満の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例データを用いて、小児や青少年に対するBNT162b2ワクチンのオミクロン株に対する有効性を調べるためにtest-negative designの症例対照研究を行い、デルタ株に比べると効果は低いものの、オミクロン株に対しても5~11歳のCOVID-19による入院リスクを3分の2に減らしていたと報告した。結果は2022年3月30日NEJM誌電子版に掲載された。

 Pfizer/BioNTech社のBNT162b2ワクチンは、米国では5~18歳未満の小児にも緊急使用許可を得ている。しかし、12~18歳に比べると、5~11歳の小児に対する有効性のデータは限られている。さらに青少年に対する追跡は、ワクチン接種から3カ月後までに限られ、オミクロン株が主流になる前のものだ。

 成人を対象にした研究では、ワクチンの効果は2回目接種から時間が経過するに従って減衰し、デルタ株に比べオミクロン株に対する効果は低いことが示唆されている。そこで著者らは、12~18歳に対するワクチンの効果がデルタ株流行期間中も持続していたかどうか、またオミクロン株が主流となった期間の5~18歳に対するワクチンの有効性を明らかにしようと考えた。

 米国でBNT162b2の使用が許可されたタイミングは年齢により異なる。16~18歳は2020年12月、12~15歳は2021年5月、5~11歳は2021年10月からだ。そのため、12~18歳に対する有効性は、2回目の接種から2~22週だった小児と、23週以上経過している小児は区別することにした。デルタ株が主流だった時期は2021年7月1日~12月18日と規定し、オミクロン株が主流だった時期は2021年12月19日~2022年2月17日とした。5~11歳については、使用許可が出てからの期間が短いため、オミクロン株に対する有効性のみを調べた。

 試験方法はtest-negative designの症例対照研究で、COVID-19による入院と、重篤なCOVID-19(生命維持治療が必要、具体的には入院中に非侵襲的人工換気または侵襲的換気を適用、血管作動薬を静注、ECMO装着、あるいは死亡)を予防するワクチンの効果を検討した。

 患者群の症例は、2021年7月1日から2022年2月17日までに、CDCのOvercoming Covid-19 Networkに参加している小児病院31施設にCOVID-19で入院した小児患者。対照群は患者群と同時期に同じ病院に入院した患者のうち、PCR検査または抗原検査でSARS-CoV-2陰性だった患者とした。発症から10日以上経過してからPCR検査を受けた患者、ワクチンを1回しか接種していない患者、mRNA-1273やAd26.COV2.Sなど別のワクチンを受けた患者、などは除外した。3回目の接種を受けていた患者はサンプル数が少なかった(患者群12人対照群30人)ため、分析から外した。BNT162b2ワクチンの2回接種を終えてから14日以上が経過していた患者群と対照群の小児を対象にワクチンの有効性を評価した。

 対象期間の入院患者3234人のうち、422人(13%)は除外条件に該当した。COVID-19の診断が確定した入院患者は1185人、それ以外の疾患で入院していた患者が1627人だった。12~18歳の年代は、患者群918人と対照群1357人を分析対象とした。患者群のうち684人はデルタ株流行期に、234人はオミクロン株流行期にCOVID-19により入院していた。患者群の年齢は中央値で16歳、78%に基礎疾患があった。対照群の年齢は中央値で15歳、67%に基礎疾患があった。

 患者群の918人中122人(13%)はワクチン2回接種を完了しており、残りの796人(87%)は未接種者だった。コントロールの患者の年齢の中央値は15歳で、67%に基礎疾患が認められた。対照群は1357人中542人(40%)が接種完了者で、815人(60%)は未接種者だった。

 5~11歳の年代は、患者群が267人、対照群は270人で、全員がオミクロン株が主流の時期に入院していた。患者群の年齢は中央値で8歳、82%に基礎疾患があった。267人中20人(7%)は接種完了者で、247人(93%)は未接種者だった。対照群の年齢は中央値で8歳、73%が基礎疾患を有していた。270人中50人(19%)はワクチン接種完了者で、220人(81%)は未接種者だった。

 患者群では1185人中291人(25%)が重篤化し、うち14人が死亡していた。12~18歳の患者群918人では、249人(27%)が重篤化し、うち22人(2%)がECMOを必要とし、13人(1%)が死亡した。重篤化した249人中の232人(93%)は未接種者だった。

 5~11歳の患者群267人では、42人(16%)が重篤化し、2人にECMOが適用され、1人が死亡した。42人中の38人(90%)は未接種者だった。

 BNT162b2ワクチンの入院予防効果は、12~15歳が83%(95%信頼区間77-88%)、16~18歳が82%(74-88%)だった。12~18歳に対する入院予防効果はデルタ株が主流の時期は92%(89-95%)だったが、オミクロン株が主流の時期は40%(9-60%)と低かった。

 12~18歳に対する入院予防効果を、2回目の接種からの時間経過別に見ると、デルタ株が主流の時期には接種から2~22週の小児は93%(89-95%)、23~44週は92%(80-97%)だった。ところが、オミクロン株流行期には、2回目の接種から2~22週の小児は43%(-1から68%)、23~44週の小児は38%(-3から62%)になっていた。

 オミクロン株流行期の、5~11歳(接種完了からの日数の中央値は34日)に対するワクチンの入院予防効果は68%(42-82%)だった。

 次に重篤化予防効果について検討した。デルタ株主流期の12~18歳では、COVID-19の重篤化を予防するワクチンの効果は96%(90-98%)だった。また、重篤ではないCOVID-19入院を予防する効果は91%(86-94)だった。オミクロン株が主流だった時期には、12~18歳の接種完了からの日数は中央値で162日、重篤なCOVID-19を予防する効果は79%(51-91%)で、重篤ではないCOVID-19入院を予防する効果は20%(-25から49%)だった。

 5~11歳の小児では、サンプルサイズが小さく、ワクチンの重篤化予防効果に関する分析には不十分だった。ただし、重篤化した患者のほとんどは未接種者だった。

 これらの結果から著者らは、BNT162b2ワクチンは5~11歳の小児のオミクロン株による入院を約3分の2に減らしていたと結論している。12~18歳に対する入院予防効果はデルタ株に比べオミクロン株では下がっていたものの、生命に関わる重篤化を減らす効果は保たれていたとしている。この研究は米国CDCの支援を受けている。




宜しければサポートお願い致します。いただいたサポートはポータルサイトの運営費用として大事に使わせていただきます。 https://music-online.kingstone-project.jp/