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「医師7949人に聞く「東京オリ・パラ開催について」60%近くが東京五輪の「中止・延期」を支持」

2021/06/18



TONOZUKAです。


医師7949人に聞く「東京オリ・パラ開催について」
60%近くが東京五輪の「中止・延期」を支持

以下引用

 開催の賛否両論があるなか、東京オリンピック・パラリンピック(TOKYO2020)があと1カ月余りに迫ってきました。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏が「パンデミック下での開催は普通はない」などと指摘したTOKYO2020。日本の医師たちはどのように見ているのでしょうか。

 日経メディカル Onlineでは2021年6月7〜13日にかけて、医師会員を対象に「東京オリ・パラ開催に関するアンケート」を実施。TOKYO2020開催について意見を聞きました。調査期間中に7949人から回答がありました。以下にその結果を報告します。


「中止・延期」が半数以上

 調査では5つの選択肢を提示し、自身の考えに近いものを選択してもらいました。その結果、「中止すべき」が41.9%と最も多く、「来年以降に延期すべき」の15.1%と合わせると過半数を超える57%の人が「中止・延期」を支持していることが分かりました(図1)。

 「無観客で開催」が19.2%、「観客数を制限して開催」も15.1%だった一方、「観客数を制限せずに開催」は2.4%にすぎませんでした。

 以下に、最も多かった「中止すべき」と回答した人の意見を紹介します。

人命の方が重視されるべき

・COVID-19が収束していないため。医療機関に負担がかかる可能性があるため。(病院勤務医、40歳代、放射線科)
・COVID-19が世界的に流行している状況でTOKYO2020を開催する理由がない。(病院勤務医、20歳代、精神科)
・COVID-19の感染が抑えられない状況で国外からの大量の人が流入し、感染爆発の可能性が十分にあるから。(病院勤務医、50歳代、小児科)
・COVID-19の流行で救急患者への対応や入院病床の確保に苦慮している中、救急医療に携わる医療者の立場からは開催に賛成することはできない。(病院勤務医、50歳代、救急科)。
・COVID診療によって一般診療が圧迫されることが我慢できないため。(病院勤務医、20歳代、血液内科)
・COVID感染が拡大する危険性や、他の変異ウイルスが入ってくる可能性があるため。(診療所勤務医、30歳代、一般内科)
・新たな変異ウイルスの持ちこみが危惧される。(病院勤務医、60歳代、リハビリテーション科)
・オリンピックの最中もしくはその後に感染拡大することはほぼ確実だから。(開業医、30歳代、眼科)
・オリンピックよりも人命の方が重視されるべき。(開業医、50歳代、小児科)
・オリンピックを開催できる状況とは思えない。限られた医療資源を感染症対策に回すべき。(その他、30歳代、臨床検査科)
・この感染状況で、他国から大勢の人が東京に入るのは、感染爆発が起こる可能性を高める。(診療所勤務医、60歳代、一般内科)
・この状況下で再度、流行が悪化した場合、医療が持ちこたえられない。(病院勤務医、40歳代、呼吸器内科)

尾身茂先生の言う通り

・子どもたちの運動会や修学旅行が中止になっている地域もある。泣いている子どもたちの横で大人がお祭り騒ぎをしてよいものだろうか。(開業医、50歳代、皮膚科)
・新型コロナウイルス感染症の拡大下であり、医療崩壊も叫ばれる中、市民の通常の生活ですら制限されているのに開催すべきものではないと考える。(病院勤務医、20歳代、初期研修医)
・先進国中、最も低いワクチン接種率で、拡大コントロールができていない状況では、中止が当然と思います。(病院勤務医、60歳代、緩和ケア科)
・大阪府の透析施設で勤務しています。感染者は減っていますが、まだ医療体制はひっ迫しており厳しい状況は続いています。診療していた透析患者さんもコロナに感染し数名、亡くなっています。この状況でオリンピック開催は間違いなく感染者を増やすであろうと思われますし、医療施設、医療従事者への負担はますます重いものになると思われます。オリンピックは開催すべきではないと思います。(診療所勤務医、40歳代、一般内科)
・(政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の)尾身茂先生の言う通り、パンデミックの状態で通常開催することはあり得ない。(診療所勤務医、50歳代、一般内科)


 今回の調査結果について、公衆衛生学が専門の国際医療福祉大学の和田耕治氏は、次のように語っています。

大規模イベントをするにはそれ相応の準備が必要

和田耕治(国際医療福祉大学 医学部公衆衛生学)


 この1年以上、難しい状況で、診療、そして最近はワクチン接種に尽⼒されている医師を対象とした調査であり、こうした結果になったことは理解できる。

 ワクチン接種は進んでいるものの、まだまだ不十分であり、接種をしていない人の間で感染は拡大し得る。オリンピックによる高揚感が人々の感染対策を緩ませ、そして夏期休暇やお盆が重なって人々の移動も活発化する。

 我々の使命は、市民に適切な医療を提供することであり、オリンピックの大規模イベントをするにはそれ相応の準備が必要である。しかし、既に国内でも少しの繁華街人流の増加により大きな流行となることが経験されているなかで、その恐ろしさを知っている我々は警鐘を鳴らさなければならない。

 半数以上の医師の中止または延期の意見ではあるが、このまま開催されても我々は市民を守り、乗り越えていかなければならない。我々医療者が分断されることがないよう連携や連帯を心掛けたい。(談)

【調査概要】 日経メディカル Online の医師会員を対象にウェブアンケートを実施。期間は2021年6月7〜13日で、有効回答数は7949人。内訳は、病院勤務医74.4%、診療所勤務医11.9%、開業医11.0%、その他2.7%。








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