cold 1971

こんこるど←僕のあいさつのワードなので慣れてくださいw 最近ラジオ配信をはじめました。…

cold 1971

こんこるど←僕のあいさつのワードなので慣れてくださいw 最近ラジオ配信をはじめました。 ここで自分で創作した作品(おもに朗読用)などをリリースしていきたいと思っています。 気になる方はフォローさせていただきますのでよろしくお願いします!

最近の記事

おかえりなさい

おかえりなさい つきなみな言葉だ。 でも、ボクはこの言葉が好きだ。 幼少期、ボクは家長として母親のいない家を切り盛りしなくてはならなかった。夕方に買い物を終えて帰宅してもボクにはおかえりをいってくれる人はいなかった。 友人の家に遊びに行くとただいまといってくれる人がいた。 ボクはそれがすごくうらやましかった。 それをあたりまえのこととしている友人をボクは恨んだりしていた。 大人になって自分に娘ができたとき、ボクはおかえりなさいという立場にいた。ボクはおかえりといえる相

    • 浅草橋のおかあちゃん

      ボクは居酒屋が好きだ。 正確に言うと居酒屋の雰囲気が好きだ。 お酒とかおつまみももちろん大事だけれども、雰囲気がよいお店はそれだけで楽しくなってしまう。 今は駅前のマンションになってしまった場所に老夫婦で切り盛りしている居酒屋があった。 同僚と帰り道に途中下車してまで立ち寄るほど、ボクはその居酒屋が好きだった。愛想はないが料理の腕は抜群のおやじさんとなにかと憎まれ口を叩いてはおまけをしてくれるおせっかいなおかあちゃんのいるお店だった。 最初にお通しで出してくれるのが、ひね

      • 先生とわたし

        先生と出会ったのはいつ頃かあまり記憶がない。 猫とつく先生は不思議な人である。 最初は正直変な人として警戒していた。 いつのころからかわたしのハンドルネームをもじって呼ぶのが先生の習慣となっていた。 稀有な才能の持ち主であると聞いてはいたが私がそれを目の当たりにするのはもう少し後のこととなる。 先生は普段あまりまともなことを言わない。 だが先生の放つオーラは不思議と嫌な感じを与えず、むしろムードメーカーとして異彩を放っていた。 ある日のことである。 私が枠主としてMCを

        • 泣き虫のユウちゃん

          いつのまにか親友になっていた。 つい最近の出来事だ。 もしかしたら、昔から決まっていたことなのかもしれない。 あまりに違和感がないのだ。 理由はいくつかある。 頑張り屋さんなところ。 とても泣き虫なところ。 うれしいとすぐ笑うところ。 最初は嫌われているのかなというくらいスルーされていた。 ボクがコメントであいさつをしてもまるでそこに存在していないかのように。。。 きっかけはなんだったろうか? あったような気もするし、なかったような気もする。 気がついた時にはいつのまにか

        おかえりなさい

          スナックのうたちゃん

          ボクには一年に一回ものすごくあいたくなる人がいる。 それがスナックのうたちゃんだ。 うたちゃんと知り合ったのは会社の後輩に絶対に先輩が気にいる店があるから連れていきたいといわれて連れていかれたのがきっかけだった。 会社から徒歩で15分ほどいった繁華街にテナントビルごと全部飲み屋さんになっている雑居ビルの3階にうたちゃんがママを務めるスナックがあった。 うたちゃんはその当時まだ二十代だったと思う。ボクもその頃はまだかろうじて三十代だった。 ボクがスナックに行く理由は歌えるこ

          スナックのうたちゃん

          レンタルビデオショップとナポリタンと不思議な彼女

          ボクがいまなんとなく人とコミュニケーションが取れるようになったきっかけといえば、高校時代のクラスメイトの”ある女の子”のおかげだと思う。 彼女は特に目立つタイプの女子でもなく、かといって地味なタイプでもなかったように記憶している。 どちらかといえばいわゆるヤンキー系に属する女の子だったと思う。 ボクがすべりどめでぎりぎり合格した県立高校はボクの家から自転車で一時間くらいの距離の場所にあった。 当然、当時電動アシスト付きの自転車など存在していなかったので(あったとしても高額す

          レンタルビデオショップとナポリタンと不思議な彼女

          マスカレイド

          また同じ夢をみた ひっそりとしずまった貸家の一軒家で妹と二人でボクが買ってきたお惣菜を食べ、妹を寝かしつけたあと大人が一人もいない家で眠れない夜を過ごす夢だ。 思えばボクはいつも仮面をつけている。 ほんとうの自分を見られることが不安なのだ。 三つ子の魂百まで ボクがものごころがついたころ、両親は離婚した。 理由は父親の浮気だ。 そこからボクは二つ下の妹と四つ下の弟の父親役を演じなくてはならなくなった。 当時のボクはまだ六歳。 今思えばその時からボクの仮面をつける生活がは

          マスカレイド

          星のかけら

          ながい一日の始まりだ。。。 いまは何時だろうか? すっきりとしないまま朝をむかえたようだ きょうはそもそも何曜日なのだろうか? りかいできていないのは曜日だけだろうか。。。 ゆめをみているのだろうか? うまい言葉がみつからない。 ボクには強烈な個性がある。 それは難病をかかえていることだ。 ボクはその厄介な奴のことを個性と思うことにした。 ながくつきあっていくためにはそのほうがお互いによいからだ。 ボクは一日中暗い世界で生きている。 それがボクが置かれている世界のすべてだ。

          星のかけら

          約束

          大人になったら連れていくと約束していた喫茶店の前を通った。 あれはキミがまだ小学校に入学する前だったね。 ボクが休みの日に仕事がしたくて家を留守にする際、まだ幼かったキミにこう言われた。 「ねぇ、パパ。おとなになったらわたしもつれていってくれる?こーひーのおみせに。」 ボクは満面の笑みをたたえながら、幼いキミを抱っこしつつ大きく首を縦に振った。 コロナが社会を大きく変えたころ、ボクはキミと家族ではなくなった。 やさしいキミはママを一人にはできないからとボクに手紙を残し、

          【朗読】HANABI

          所要時間:約2分 人数:1人用 もうすぐ夏を迎えようとする頃、ボクはキミのことを思い浮かべる。 キミとはじめて出会ったのは、GW直後のカラオケアプリでだった。 就職後、初の大型連休を迎えたものの特に旅行の予定もないボクは、友人にすすめられるままカラオケアプリをダウンロードしていた。 なんとなく聞き覚えのある歌を歌って過ごしていたある日、カラオケアプリにDMが来ていた。 「どれも素敵な歌声ですね。ファンになりました。今度歌ってほしい曲をリクエストしてもいいですか?」 D

          【朗読】HANABI

          【朗読】声

          所要時間:約2分 人数:1人用 それは突然の出来事だった。 友人から勧められて何の気なしにはじめた配信アプリから突如キミの声が聞こえてきた。 気がつくと、ボクはお気に入りにキミの配信を登録していた。 ボクは自他ともに認める”声フェチ”だ。 男女問わず、好きな声を聴くと頭のなかがぼーっとしてきて夢見心地になってしまう特異体質なのだ。 そのなかでも特にキミの声は特別なものだった。 聞いた瞬間、全身に雷が落ちたような衝撃を受けたのだ。 キミの声が聞こえるとボクの思考は一切スト

          【朗読】声

          【朗読】黄昏どきに

          所要時間:約2分 人数:1人用 ------------------ 俺がこっちに来て早いものでもう3年になる。 がむしゃらに働いた結果、掴んだチャンスをモノにした俺は新しいプロジェクトのリーダーとして、シンガポールにいる。 仕事に関してはなんら後悔することのない俺だが一つだけ心残りなことがあった。そう、キミがここにいないことだ。 俺がキミに出会ったのは入社式のときだった。 前日まで大学時代の悪友と飲み明かした俺は入社式当日に寝坊をした。 急いで家を飛び出し、タクシーを掴

          【朗読】黄昏どきに

          【朗読】天気雨

          所要時間:2分 人数:1人用 -------------- 雨が降るとキミのことを思い出す ボクが晴れ男、キミが雨女。 デートする前日、翌日の天気が晴れるか雨かで意味もなく競ったりしたね。 キミは雨が好きだと言っていた。 ボクはキミに出会うまで雨が嫌いだった。 キミは晴れの日は日焼けするから嫌いだと言っていたね。 いまは好きになっていてくれているだろうか。 僕らが会う日はなぜかいつも天気雨の日が多くて、争うことがないよう天気が気をつかってくれたとキミは笑っていたっけ。

          【朗読】天気雨

          【朗読】季節の変わり目に

          所要時間:2分 人数:1人用 -------------- 春から夏を感じさせる陽気になってきた頃 半袖のTシャツを風呂上りに何の気なしに着替えたとき、Tシャツからふと懐かしい柔軟剤の匂いがした。そう、キミの家で使われていた柔軟剤の匂いだ。 あの頃、キミが料理全般、ボクが洗濯、掃除、洗い物を担当していたっけ。仕事帰りにその日の料理の食材を買ってキミが帰ってくる頃、ボクはたいてい洗濯物を畳んだりしてたね。 キミはキッチンドランカーだったからボクが炭酸水とレモンサワーの素で

          【朗読】季節の変わり目に

          チーズトースト刑事 第一話

          配役 千頭 斗司夫(♂、35歳) 通称:チーズトースト刑事 -かつて最愛の恋人であった同僚の女刑事の未解決事件を捜査している。 -かなり強引に捜査を進めたことで上層部から疎まれたため、現在は干されている。 -昼間はほとんど雀荘に入り浸っている。 -現在バディを務めている新人刑事のTomyはかつての恋人の弟。 -かなりのヘビースモーカーである。 -夜はほとんど家に帰らず、ピアノバーMasakoで過ごしている。 -かつての趣味は料理 Masako(♀、年齢不詳) -ピアノバーの

          チーズトースト刑事 第一話