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ドイツ一人旅_酔っ払いふたたび_10_08【海外旅行】
1999年冬 10日目 ハイデルベルク
「そろそろ帰ろうか」
僕らは会計を済ませて店を出た。バス停に向かって歩き始めると酔っ払いのおじさんが後をついてきた。何か言いながら歩いてくるのだが、ろれつが回っておらず何を言っているのかわからない。
そして、先程のスペインでの強盗の話を思い出したのか、みんなで一斉に駆け出した。しばらく走ってから振り返ると酔っ払いのおじさんは呆然と立ち尽くしてこっちを見ていた。
「チュース!」
劇団ひとり君が手を振ると、酔っ払いのおじさんも手を振り返してきた。やはり、単に日本食を食べたかっただけなのか?酔っ払いのおじさんには気の毒だが、少しでも危険を感じたら、やはり近づかない方が良さそうだった。
やってきたバスは空の状態で、僕ら4人は一番後ろの席を陣取った。バスは市街地を縫うように走るので、ユースホステルまでは30分ほどかかる。
何個か目のバス停で制服を着た高校生らしき6人組が乗ってきた。しかし、何か様子がおかしい…
皆一様に陽気で顔が真っ赤だった。明らかに酔っ払っている。一難去ってまた一難。
どうか絡まれませんように!
祈るような気持ちであったが、その祈りは神様には届かなかったようだ…。席はいくらでも空いているのに6人組は僕らの目の前の席を陣取った。
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