ドイツ一人旅_サンキュー…_13_05【海外旅行】
1999年冬 13日目 ラウターブルンネン
「ノー サンキュー」
これ以上絵葉書はいらないと繰り返し伝えているのだが、おじいさんはもっと絵葉書を買いませんかと薦めてきた。
様子がおかしいと思いおじいさんの話をじっくりと聴いてみて、ようやく理解することができた。
絵葉書は10枚買うごとに1枚おまけすることになっていて、僕に1枚選んでいいよと言ってくれていたのだった。
僕ははずかしくなって、うつむきながら1枚選んだ。
「…サンキュー」
するとおじいさんは『気にするな』といった表情でやさしく微笑みながら僕が店を出るまで手を振って送ってくれた。
とても優しいおじいさんを押し売りのように感じてしまい、自分に対して嫌悪感を抱いてしまった。
通常であればおじいさんとの会話の早い段階で1枚おまけであることは理解できたはずなのに、思いのほか時間がかかってしまった。だいぶ疲れているのかもしれない。
不思議と体調の善し悪しとコミュニケーションの理解力は比例関係にあるように感じた。
店を出てしばらく歩いてから見上げてみると、シュタウプバッハの滝が水しぶきを飛び散らしていた。
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