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ドイツ一人旅_チケット売り場_04_04【海外旅行】
1999年冬 4日目 ドルトムント
スタジアムのひとつ手前の駅には15分ほどで着いた。
そこからスタジアムらしい巨大な長方形の建物が見えたので、それに向かって歩き出した。スタジアムまではさほど遠く感じなかった。
今度はチケット売り場を探す番だ。しばらく歩いているとそれらしき建屋を見つけた。しかし残念ながら閉まっていた。
すると傍らにいた大柄で強面の男が話しかけてきた。
しきりにドイツ語か英語で話しかけてくるのだが内容が理解できない…。その場を離れたくても逆に怒らせるのではないかと思い、なんとか話を理解するように努めた。
なかなか話が通じないでいると苛立ってきたのか、突然両手をグーにして親指だけ立てて突き出してきた。グッドのサインの形だ。
僕は一歩退いた。強面の男は何を伝えようとしているのだ?
そしてようやく理解した。ドイツで『1』を指で示す場合、人差し指でなく親指を立てるのだ。
つまり強面の男は両方の親指を立てているので『1』と『1』。つまりチケット売り場は11時に開店するのだと伝えたかったのだ。
僕はこわばった表情を崩して、腕時計を指差しながら引きつった笑顔で答えた。
「アイン(1) アイン(1)」
「ヤー(そうだ)」
強面の男もやっと通じたかといったような安堵した顔で頷いてくれた。
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