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ドイツ一人旅_2回目の電話_16_02【海外旅行】

前の話  プロローグ  16日目01

1999年冬 16日目 マールブルク ~ フランクフルト

マールブルクに別れを告げ、フランクフルトに向かった。

フランクフルトでは最後のイベントが待っている。お土産を買うことだ。昨日行ったデパートで珍しいものを探してみたが、これといったものはなかなか見つからなかった。

結局買ったものは瓶詰めのソーセージと缶ビールという芸のないものになってしまった。こんなことなら、ベルリンの壁の欠片が入った葉書をたくさん買っておけばよかった。

相変わらず後悔するが、まあいいかと開き直るのも早くなっていた。自分用のお土産にはバイエルンの旗に使われている水色と白色の菱形柄のミニチュアトラムを買った。

時刻は12時。日本時間で20時。

僕は日本の実家に電話をかけることにした。実家に電話をかけるのはドイツに到着して以来の2回目だ。なんという親不孝者だろう。まあ、返事がないのは元気な印と思って勘弁してください。

「もしもし」
「もしもし、いまどこ?元気?」

電話には母が出た。

「いまフランクフルト。これから日本に帰る」
「ああ、そう。わかった。気をつけて帰ってきてね。そうだ、日本に帰ってきたら何か食べたいものある?お寿司?すき焼き?なんでもいいわよ」

「う~ん。味噌汁が飲みたい」
「味噌汁?」

変わった子だねぇ〜、と思っているような表情が目に浮かぶ。

「電話代もったいないから、もう切るよ。じゃあね」

さてと、昼飯でも食べるか。ドイツでの最後の食事はお気に入りのドネルケバブを食べることにした。


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お土産のトラム(プロフィール画像で使ってます)

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