大塚茉莉子

歌手。 猫と酒と暮らしています。 毎週日曜日20時YouTubeにて「酔歌、大塚茉莉…

大塚茉莉子

歌手。 猫と酒と暮らしています。 毎週日曜日20時YouTubeにて「酔歌、大塚茉莉子」配信中。https://www.youtube.com/channel/UCU_evJGBZKetU7BcTxIBYyg

最近の記事

静か。

2023年8月18日 田んぼの真ん中は、金曜日の夜も静か。 一年前までの恵比寿の真ん中、山手線沿いとは大違いだ。 夏は楽しい。 ジョージもこのところ連日、街で酒の席。 世の中から隔絶された、私の田んぼ。 ただ稲が風になびく有り難さ。 車の顔など知らなかった私も、道路ですれ違う車が稲刈り重機を操る一人ひとり、それぞれの顔に見えてくる。 私の田んぼの一角では、小さい誰かがまた卵を育てている。 実るか誰も知らない卵を、種族の違う虫や蛇や猫が取り囲み、密かな希望や密かな死を見守

    • のんあるナチュラル、

      2023年8月10日 訳あって、この人生、お酒を飲み出してから初めての11日連続禁酒中。 そして大抵リハーサルというものは起き抜けの時間帯に行われるのであり(日中ということです)、ばきばきベルカント発声の曲をピアノのゆきちゃんと合わせる日でありました。 いつもの寝ぼけ眼で声を出す。 するとどうしたことでしょう。 あふれる、とはこういうことだな。 自分の声なのにごめんな。おそらく100thラベルオーパスワン、芳醇なベルベットみたいなワインが、口からあふれ出てくるんです。(

      • 別れの理由

        2023年8月7日 お面の窓から道行けば ここにいない人の心が見える 私と一緒に来てくれる 赤ちゃんのようなこの手と足を 愛してくれた人ならば きっと次の提灯で、待ち合わせ 狂った夢で理由をきいて 振り向いたのは知らないお面で 勝手な心配しないでいいの 道案内は誰にもいるの いくつの穴が開いていたって 近道のない世界ですから 隣の穴など覗いて行きましょう お面の窓から道行けば

        • きらめききなこ

          2023年8月5日 感動は反応。きらめきをずっと、覚えているもの。 今日はきな子の一周忌。  初めての土地の祭りへ、しぶるジョージに頼んで連れていってもらう。遅くからの参加、お目当てはフィナーレの花火。 黄昏時、祭りから一キロのところに車を停め歩いたが人は全く歩いていない。混んでると聞いたけど、本当に人が集まってるの? 暗い道、古びた薬屋、古びたあばら屋、頭上に道路を渡した小さなトンネル、小さな街灯、名のない道と草。 抜けたらば急に、青いローソンと浴衣の中高生たちが

          落としもの

          人通り少ない田舎道は、落としものが見つかりやすい。 ちょっと探しに。 朝からパチンコに行ったジョージがケーキを買って帰ってきたので、起きぬけに赤い苺タルトを頬張った。何のお礼? 私はこの間失くしかけたもの見つけたお礼、琴崎八幡宮へ。この間夜中に飛び出したほいてまくんは、4時間後無事に戻ってきた。 水色の空に、黄色く小さなひまわりに、白いモンシロチョウが舞っていた。 お礼の後に麦わら帽子を買って帰ったら、白いビーズピアスを落としていた。 ちょっと探しに。 玉ねぎのそば

          東京の魚

          2022年12月16日 きな子を連れて東京行きに乗らなかったのは大学一年生以来で、いつも懐かしかった羽田空港がなんだか寂しい。 山口宇部から東京羽田へ、無事着陸しました。 帰郷して初めての東京出張、楽しい仕事と楽しい遊びの予定がぎっちぎちの一週間の始まり。 なんだか寂しいと言いつつ、空港でまず江戸前寿司ランチセットを腹一杯いただく。早めに銀座行って美登利寿司でも良かったか。 予想もしない大きな波に乗って、今夏に宇部に引っ越した私。大きな飛行機の中、大きな鯨の腹の中に入

          蜂の中の苺

          2022年12月8日 連れて来てくれたジョージ(仮名)が、「まりちゃん宇部にまだ友だちおらんやったらここの蜂に友だちなってもらえば」と苺かじりながら言う。 毎年季節は巡っているけれど、梨狩りやらぶどう狩りやらりんご狩りやら、なにも出かけたことのなかった私。人生初の苺狩り、山陽小野田の「花の海」へ行ってきた。 小さい蜂たちが苺から苺へ花から花へ飛び交う中、たくさん実のなっている、かおりの、よつぼし、すず、見つけたらラッキーあまえくぼ、時間無制限食べ放題。 知らなかったけ

          蜂の中の苺

          肩こり

          2022年2月21日 肩こりがひどい。 遠くから手足の白く長い猫が歩いてきたと思ったら幾何学的錯覚、うちの最近痩せた老猫である。 どこも凝っていない人間はないかもしれないが、しばらくでっかい釘を挿していたくなる。バランスという言葉を忘れる。 去年他界した体120キロの飲み友はSMクラブで女王様をひれ伏させていたが、言葉攻めが得意だったそうな。 今年は正月から始まり例年にないことの連続で、何だか落ち着かない。車の後部座席から後ろの窓、通り過ぎた道を見ている少女時代の浮

          またね、ばば子。

          2022年2月6日 「死んだら化けて出るなよっ!」 「死んだら化けて出ちゃるっ!」 何かにつけてずっと家族とこんなやり取りをしていたうちの祖母。 人間90以上も生きれば姿も色んな様に変化し、髪が全て抜けていた時期もあれば、最後は若く緑に光る黒髪がふさふさと生えていた。 ハリーポッターに出てくる屋敷しもべ妖精ドビーや、赤ん坊の姿で泣く妖精マンドレイクによく例えられ、もはや生き仏。 美味しいものだけおくれ、が口癖で毎食成人一食分以上、さらに家中の果物と菓子を食べ毎日からから

          またね、ばば子。

          すみれと煮しめ

          2022年1月8日 どこにも行かずただ家で過ごしていた正月だったので、昨日は妹の顔だけでも見ておくかと思い立ち、ごとごと中央線に乗り妹の家に突然お邪魔することにした。 そして近くの神社で初詣をした後スーパーで、生後二ヶ月の赤ちゃんを背負ってる妹に、どうしてもお餅が食べたいから実家のお雑煮をつくっておくれとせがんだ私なのであった。 「まーちゃん、今日は7日だから七草粥の日だよ。」 「あっ、その日であったか。」 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ

          すみれと煮しめ

          あけましておめでとうございます。

          2022年1月1日 新年あけましておめでとうございます。 自分の顔に蜘蛛の糸のような水色のタトゥーを入れるというのが初夢だったけど、いったいどんな一年を暗示しているのでしょうか、、、。 水色の空の下で昼過ぎに少し撮影をした後、橙と紫まじりのマットな灰色にだんだん変わっていく静かな恵比寿周辺を散歩し、猫用湯たんぽ一つ買って帰った元旦でした。 水色から灰色まで流れるシャンソンがあった、ヴィッキーのL'amour est bleu「恋は水色」だったね、 恋は水色、恋は水色

          あけましておめでとうございます。

          冬の生スイカへのご参加、ありがとうございました。

          2021年12月21日 いつもの恵比寿の夜。 クリスマス寒波を目前に、私の心は花盛り。きらきらとイルミネーションが輝いて、何年か分のクリスマスプレゼントをもらった気分です。 18日土曜日、「冬の生スイカ」にご来場くださった30数名の皆さま、そして生配信を見守ってくださったたくさんの皆さま、お酒チケット買ってくださった皆さま、どうもありがとうございました!!! アーカイブを見返して、ありゃあこんなにコメントもらってたのね、、、なかなかコメントに反応できずすみませんでした。

          冬の生スイカへのご参加、ありがとうございました。

          18日は忘年ライブ「冬の生スイカ」!!

          2021年12月14日 嵐の後、パーティーの後の静けさ。 年末忘年ライブ、次の日の朝、しんみりひんやり、ちょっと残った温もりを感じつつ酒瓶の後片づけ、そんな最後の年は三年くらい前だったのかな? …今週末の土曜日、18日に、久々の忘年会ライブ、「冬の生スイカ」を中目黒Under the mat にて開催いたしまーーーーす!!! 毎週酔歌を観てくださっている方、コメントで盛り上げてくださる方、リクエストくださる方、投げ銭チケットを買ってくださる方、拙い弾き語りを温かく見守っ

          18日は忘年ライブ「冬の生スイカ」!!

          黒ひげ

          2021年12月1日 つんと切ない、やるせない、むず痒い、きりりと立ったお米が深く落ちてくるのを待っていたら、足りないものを数えていたら、黒ひげ危機一髪、導線に触れたとき私は飛び出して空高く飛んでいってしまうだろう。 胸が痛い、胸が痛い、心が、はりさけ、そうだよ、 胸が痛い、胸が痛い、せつなすぎて、うずくまる、 12月になったけど、この憂歌団の歌をよく歌っていた私の白ひげサンタが10月に死んだので、今年のクリスマスにアルザス料理は食べられない。 俺の胸の、さけび声が、

          トラ猫むぎちゃん

          2021年11月27日 書いていた時の気持ちを強く覚えている日記がいくつかあって、その一つが2005年7月某日の日記だ。 生後二か月ほどのトラ猫むぎちゃんを板橋区小茂根町の駐車場で拾った日のこと。 煮干しの首元をしばらく噛んでは唸り、猫じゃらしの首元にも喰らいついてぶら下がる。 きっと初めてお腹いっぱいに食べた後は、いかにも獲物でぱんぱんに膨れた爬虫類のお腹。一番柔らかな白い部分がぽっこり盛り上がり、完全な仰向けばんざいで寝てしまった。 どんなふうに書いたか細かい文章

          トラ猫むぎちゃん

          秋に伸びる

          2021年9月14日 深夜にレモンを絞った美味しい紅茶ハイを飲んでいてふと、これを染みわたらせる自分の内臓を確認したくなったとき。 鏡に向かって口を開け舌を上にあげたらそこはまあまあグロいのでちょっとうってなって満足して、秋のボルドーに塗った足の爪など人工的なものを見て帳尻を合わせています。 時計を見る。 実家の猫が今どの部屋でどんな伸びをしているか。 チッチッチッチッ 初めてあちらと同じ流れの時間を感じています。ただいる場所が違うだけなのだと。 チッチッチッチッ

          秋に伸びる