見出し画像

蜂の中の苺

2022年12月8日


連れて来てくれたジョージ(仮名)が、「まりちゃん宇部にまだ友だちおらんやったらここの蜂に友だちなってもらえば」と苺かじりながら言う。

毎年季節は巡っているけれど、梨狩りやらぶどう狩りやらりんご狩りやら、なにも出かけたことのなかった私。人生初の苺狩り、山陽小野田の「花の海」へ行ってきた。

小さい蜂たちが苺から苺へ花から花へ飛び交う中、たくさん実のなっている、かおりの、よつぼし、すず、見つけたらラッキーあまえくぼ、時間無制限食べ放題。

知らなかったけど苺はヘタ側から食べるのが美味しい食べ方らしく、先端にいくほど糖度が高くて甘い。品種ごとにこんなに味が違うんだ。ワインの風味でよく言うね、たくさんの種類のベリー。


ジョージ(仮名)はまだ熟していない緑の苺を摘んで食べている。「キウイみたい」。育ててるおじちゃまおばちゃまごめん、こんな食べ方の人はあまりいないだろう。

蜂の家ががたくさん設置されている。
みんなで群がり一緒に水を飲んでいる。
また来るから友だちになっておくれよ。


山口に帰って来た私。山口の詩人、金子みすずの一番好きな詩はこれさ。

「蜂と神さま」

蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。
そうして、そうして、神さまは、
小ちゃな蜂の中に。



この間ときわ公園のビエンナーレでは、たくさんの彫刻が青い空の下に立ち上がっていた。
蜂の彫刻の中に入った私は、広々とした時間の中で甘い苺をたくさん食べて、とても幸せ。練乳で味変もした。


ビニール袋にすごい量のヘタ入れて、また来るねと、野菜もいっぱい買って、お腹さすりながら花の海を後にした。








いいなと思ったら応援しよう!