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肩こり

2022年2月21日

肩こりがひどい。

遠くから手足の白く長い猫が歩いてきたと思ったら幾何学的錯覚、うちの最近痩せた老猫である。

どこも凝っていない人間はないかもしれないが、しばらくでっかい釘を挿していたくなる。バランスという言葉を忘れる。


去年他界した体120キロの飲み友はSMクラブで女王様をひれ伏させていたが、言葉攻めが得意だったそうな。

今年は正月から始まり例年にないことの連続で、何だか落ち着かない。車の後部座席から後ろの窓、通り過ぎた道を見ている少女時代の浮遊感。

ある深夜にある人が部屋で大きな独り言を言っていたのを外から聞いた。
「食って飲んで、寝るだけ。どう思う?」
どこかこっている場所に釘を挿さないと彼は永遠に部屋で叫び続けるだろう。


口を開け強制給餌をされる猫の真っ黒な目、習性に従う体、足りないエナジー、注入するエナジー、愛情の作用、どこか痛みの肩こり。

ステーキを、食べられない時は喉から手が出るように欲し食べられない境遇を憎み人を憎み、何年も待ちいざ食べたときには、確かに美味しいが食べ終われば、あれだけ待ち焦がれたものはこれだけのものかと思う。
砂をかけたりして。


肩こりのような欲望。



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