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第172回芥川賞と直木賞受賞作決定! 『DTOPIA』『ゲーテはすべてを言った』『藍を継ぐ海』

第172回芥川賞と直木賞が決定!芥川賞には安堂ホセさんの『DTOPIA』と鈴木結生さんの『ゲーテはすべてを言った』が選ばれました。直木賞には、伊与原新さんの『藍を継ぐ海』が選ばれました。

それぞれ、どんな作品なのか、見ていきましょう。


DTOPIA』安堂ホセ

第172回芥川賞受賞作
第46回野間文芸新人賞候補作
安堂ホセは、物語の磁石を持っている。現実世界で排除された不都合で不穏でヤバい砂つぶてのような言葉を、暴力と倫理の磁石で吸い寄せ、反発させ、交渉させ、渦巻かせる。あらゆる倫理が覆され、暴力が吹き荒れている今、「暴力から暴を取りはずす旅」の物語が出現したことは、一つの事件だ。
読もう! 旅立とう! 旅によって運ばれるのは、あなた自身だ。
ーー柳美里
いくつもの物語が交じり合い、壮大な展開が繰り広げられ、「失われた歴史」が復元されるラストに感動した。
ーー高橋源一郎
強烈な皮肉とクールな文体。
私たちの眼差しを切り開く手術(オペ)のような小説。
どこへ連れていかれるのかわからず、ひと晩で読み終えた。
ーー佐藤究
語りと構造、ストーリーの面白さの中に、資本主義や植民地主義、ウクライナ戦争やガザでの虐殺についての鋭い批判が、当然のように滑り込む。
極めて刺激的かつ、開放的。国境を越えて、世界にリコメンドしたい。
ーー須藤輝彦
この小説を読むことは自らの感性を問い直すことである。
異性愛主義や人種という不適切なカテゴライズにあらがうための、必読の一作。
ーー渡邉英理
典型的な物語に閉じ込められないための強烈な意志、ねじ伏せられない悪意と復讐がこれほどまでに徹底された作品はなかなかない
ーー水上文

Amazon公式紹介文より引用

安堂ホセさんは2022年に『ジャクソンひとり』で第59回文藝賞を受賞して小説家デビューした作家です。フランス領ポリネシアのリゾート地、ボラ・ボラ島で繰り広げられる恋愛リアリティー番組という現代的な舞台設定の本作。世界中から集まった10人の男性がひとりの白人女性を射止めるために競い合います。

人種や性、戦争、虐殺など強烈な印象を残す作品です。


ゲーテはすべてを言った』鈴木結生

【第172回芥川賞候補作】
高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。
ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。
ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。
若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!

Amazon公式紹介文より引用

2024年、短編小説『人にはどれほどの本がいるか』で林芙美子文学賞の佳作を受賞しデビューした作家。現在、大学院で英文学の研究をしています。なんと2001年生まれ!23歳での受賞となりました。200ページの作品で、芥川賞受賞作品としては長めです。


藍を継ぐ海』伊与原新

第172回直木賞受賞!
数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に―ー。
徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性ーー。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『宙わたる教室』『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、心揺さぶられる全五篇。

Amazon公式紹介文より引用

東京大学大学院で地球惑星科学を専攻していた伊予原さん。2010年には『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしました。代表先のひとつである『宙わたる教室』はNHKにて窪田正孝さん主演でテレビドラマ化されています。科学をテーマにした作品を次々と発表し、話題となっています。

『藍を継ぐ海』でも伊予原さんらしい自然科学が絡む描写が多くあらわれます。5編からなる短編集です。


まとめ|第172回芥川賞と直木賞受賞作決定!「DTOPIA」「ゲーテはすべてを言った」「藍を継ぐ海」

芥川賞、直木賞はともに注目度が非常に高い文学賞です。これを機に、新たな作家、作品との出会いが生まれるものですよね。今回、受賞した3作品はどれも評価が高いものばかり!ぜひ、手にとってみてくださいね♪


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