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JW160 讃岐上陸

【孝霊天皇編】エピソード15 讃岐上陸


孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。

一人の皇女(ひめみこ)が使命を帯びて旅立った。

皇女の名は、倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)(以下、モモ)。

伝承では、生母の倭国香媛(やまとのくにかひめ)(以下、国香)も共に旅立っている。

しかし、この物語では、旅の仲間が更に加わっているのであった。

まず一人目は、モモの弟、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦(せりひこ))。

二人目は、モモの妹、倭迹迹稚屋姫(やまとととわかやひめ)(以下、ワカヤ)。

そして、腹違いの姉妹、千千速比売(ちちはやひめ)(以下、チチ)。

それから、腹違いの兄弟、稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)である。

系図(旅の仲間)

一行は、船中の人となっていた。

モモ「・・・っていうか、芹彦! なんで、剣を肩に掛けて、突っ立ってんのよ?!」

芹彦「武人ゆえ。」

モモ「ちょっ! 意味、分かんないんだけど?!」

芹彦「いつ如何(いか)なる時も、鍛(たんれん)を怠ってはならぬ!」

モモ「何言ってんのよ! そんなこと、讃岐(さぬき)に着いてからでも出来るでしょ!?」

ワカヤ「せ・・・芹兄(せりにい)。あ・・・危ないと思いまするが・・・。」

チチ「ワカヤの言う通りだべ。そんなことしてっと海に落ちるぞ。」

芹彦「心配御無用! それがし、武人ゆえ。」

タケ「そんなことより、讃岐が見えて参ったぞ。」

芹彦「タケ!! そんなこととは、どうい@※$&#@ヽ(`Д´)ノ」

こうして、一行は無事に、讃岐上陸を果たしたのであった。

国香「では、モモ殿。前回のおさらいを致しまするぞ。讃岐は、二千年後の香川県。雨乞いをし、讃岐を実り豊かな地とすることが、汝(いまし)の務め。良いですな?」

モモ「はい! 任せといて!」

ワカヤ「で・・・では、か・・・解説を始めまする。上陸地点は、安堵の浦(あどのうら)とされておりまする。」

タケ「二千年後の地名でいうと、香川県の東かがわ市、引田(ひけた)になるようじゃな?」

引田(地図)

モモ「その通り! 二千年後の地図を見てみると、安戸池(あどいけ)が有る辺りみたいね。」

安戸池(地図)
安戸(地図)

ワカヤ「そ・・・そして、居を定めたところが、し・・・塩竈神社(しおがまじんじゃ)と・・・言われてます。お・・・同じ、東かがわ市の引田に鎮座してます。」

塩竈神社(地図)
塩竈神社(鳥居)
塩竈神社(拝殿)

国香「行宮(あんぐう)ですな。仮の御所(ごしょ)と言った方が良いですかね。」

モモ「とにもかくにも、ここを拠点に、讃岐改造計画を進めていったのね!」

チチ「おめぇ、まだまだ・・・だな。上陸地点は、他にも有るみてぇだぞ。」

モモ「えっ?! どういうこと?」

チチ「安戸よりも北の地に、漕(こ)ぎ手の人たちが、艪(ろ)を松に掛けて休息を取ったって伝承が有るんだべ。」

北の伝承地(地図)

モモ「しょ・・・諸説有りってこと?」

チチ「ちなみに、そこにも行宮が築かれてるべ。それが、艪懸神社(ろかけじんじゃ)だ。」

モモ・ワカヤ・タケ「艪懸神社?」×3

国香「東かがわ市の馬篠(うましの)に有る神社ですね。艪懸明神(ろかけみょうじん)とも呼ばれておりまするぞ。」

艪懸明神・艪懸神社(地図)
艪懸明神・艪懸神社(鳥居)
艪懸明神・艪懸神社(拝殿)

ワカヤ「・・・ということは、あ・・・安戸から馬篠までの・・・沿岸が、安堵の浦であったと?」

モモ「広い地域を指す、地名だった可能性もあるわね。」

安堵の浦(予想図)

チチ「けんど、馬篠から安戸に移動したって書かれてる書物も有るだよ。」

モモ「えっ? ホント?」

チチ「西暦1829年、皇紀2489年(文政12)頃に書かれた『全讃史(ぜんさんし)』という書物では、馬篠に着いたあと、安戸に向かったと書かれてるだよ。」

国香「そのようですね。その書物では、休息を取ったあと、居を求めて、安戸に向かったと書かれておるようじゃ。ちなみに、作者は、中山城山(なかやま・じょうざん)という学者ですぞ。」

芹彦「あいや、しばらく! それより、ここは、どこにござる?!」

モモ「讃岐に決まってんでしょ。あんた、やっと正気を取り戻したの?」

芹彦「さ・・・讃岐・・・。して、賊は何処(いずこ)におわす?!」

モモ「そんなモン、いるわけないでしょ!」

謎の男「賊は、おらんけど、住民は、おるで。」

芹彦「なっ! なにやつ!」

するとそこに、讃岐の住民、サントスとナビル、そして、アマンダがやって来た。

サントス「おたしが、サントスだ。」

ナビル「わしが、ナビルじゃ。」

アマンダ「あたいが、アマンダだよ。」

サントス・ナビル・アマンダ「皇女様、よくぞ参られました。」×3

モモ「ま・・・まあ、魔法少女だから、仕方ないわよね(〃艸〃)。」

タケ「ところで、汝(いまし)たちは、どちらに上陸したと考えておる?」

サントス「旦那。その考えが、そもそもの間違いやと思うで。」

タケ「ど・・・どういうことじゃ?」

ナビル「どっちにも上陸したと思うんじゃ。雨乞いは、一か所でやるモンでないけん(ないから)。」

芹彦「その時々の上陸地が、時を越え、どっちが先か問題を生み出しておったというわけか・・・。」

タケ「そ・・・そんな問題が発生しておったのか?」

モモ「何言ってんのよ。そんな問題、起きてるわけないでしょ。」

国香「では、モモ殿。そろそろ、雨乞いの支度(したく)に取り掛かりましょう。」

モモ「そ・・・その前に、身だしなみを整えたいんだけど・・・。」

国香「そうですね。では、芹彦殿。鏡をこれへ。」

芹彦「ああ、あれなら海中に沈めましたぞ!」

国香・モモ・ワカヤ・チチ「は?」×4

タケ「せ・・・芹彦よ。なにゆえ、鏡を海中に?」

芹彦「海が荒れてはならぬと思い、大綿津見神(おおわたつみのかみ)に捧げたのじゃ!」

モモ「こ・・・この時代の鏡って、すんごく貴重品なのよ! あんた、分かってんの?!」

アマンダ「そういうことなら、姿見(すがたみ)の井戸に案内しよか(しましょうか)?」

姿見の井戸とは・・・。

次回につづく

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