JW628 猛き皇子誕生
【景行即位編】エピソード17 猛き皇子誕生
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)のある日。
ここは、賀古郡城宮(兵庫県加古川市加古川町木村)。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)は、大后の播磨稲日大郎姫(以下、ハリン)の出産に立ち会っていた。
付き従うのは、告の首(以下、スズム)。
中臣の連の大鹿島(以下、オーカ)。
忌部の首の和謌富奴(以下、わかとん)。
「ハリン」の父、若日子建吉備津日子(以下、タケ)。
兄の武彦(以下、たっちゃん)。
妹の伊那毘若郎女(以下、イナビー)と、「シロ」と「イナビー」の子、彦人大兄王(以下、ひこにゃん)である。
双子の赤ちゃんの内、一人目は誕生したのであったが、二人目が、まだ産まれず、「シロ」は、叫び声を上げると、臼を投げたのであった。
イナビー「大王! 何をなさいます! 姉上は、七日間も・・・(´;ω;`)ウッ…。それくらいのことで、どうなさいます!」
タケ「うむ。『イナビー』の申す通りじゃ。さあ、早う臼を背負われよ。」
たっちゃん「諦めたら、そこで、出産終了ですぞ。」
シロ「う・・・。背負いまする。『ハリン』がため、皇子がため、我は・・・我は、背負いまする!」
汗を大量に流しながら、「シロ」が産屋を廻る。
そして、何周目の頃であろうか、赤ちゃんの泣き声が響き渡った。
赤ちゃん「おんぎゅらぁぁ! おんぎゃらぁぁ!」
シロ「おお! つ・・・ついに・・・はぁ、はぁ・・・産まれたぞ・・・はぁ・・・。」
スズム「猛き産声にござりまするな。」
早速「シロ」は「ハリン」の元に向かった。
シロ「ハリン! でかした! まさか、二人も皇子を産むとは!」
ハリン「お・・・大王・・・。」
シロ「ハリン? 疲れておるな・・・。」
イナビー「七日間も苦しんだのですよ? 当たり前のことを仰らないでくださいませ。」
シロ「う・・・うむ。」
ハリン「そ・・・それより、名を・・・付けてくださいませ。」
シロ「おお! そうであったな。では、我が臼を背負ったゆえ、大碓、小碓と名付けようぞ。」
産婆「流石は、大王! 一人目の御子は、大きな石の盥で、二人目の御子は、小さな石の盥で、産湯を使ったのですよ。」
シロ「何? そうなのか?」
オーカ「産湯の盥は、二千年後も残っておりますぅ。」
シロ「何じゃと?!」
わかとん「兵庫県加古川市の加古川町美乃利に、二つの盥が残っておりまする。」
ひこにゃん「うわぁ! 我の弟が、二人も! つんつくつん・・・。つんつくつん・・・。」
たっちゃん「ほっぺたを突くでない!」
ハリン「大きな碓・・・大きな盥・・・。小さな碓・・・小さな盥・・・。」
イナビー「姉上? 如何なされました?」
ハリン「大碓は『メジャー』・・・。小碓は『リトル』・・・と名付けましょう。」
シロ「ん? そうなるのか?」
スズム「流石は、大后! 『メジャーリーグ』と『リトルリーグ』に掛けておるのですな?」
たっちゃん「作者の陰謀ではないか!」
タケ「とにかく、私は『リトル』を、猛き丈夫に致そうぞ。」
シロ「よろしゅう御願い申し上げまする。」
こうして、二人の皇子が産まれたのであった。
さて、それから、しばらくして、同年の7月・・・。
ここは、纏向日代宮。
大連や大夫たちが、騒いでいた。
ちね「そりゃ、騒ぐやろ?」
くにお「熊襲が朝貢しないなど、前代未聞にござりまする。」
カーケ「して、熊襲とは、一体、何かね?」
くにお「は? 御存知ありませぬか?」
カーケ「熊襲なんて単語が登場したのは、今回が、初めてなんだぜ。」
シロ「分かりやすく申せば、隼人にござる。」
オーカ「分かりやすくなっておりません。」
シロ「では、どのように言えば良いのじゃ?」
オーカ「海幸彦こと『ウーミン』の子孫と言った方が良いのでは?」
シロ「なるほど・・・。神世において、海幸彦は、山幸彦こと『ヤマピー』に服従したのであったな・・・。」
ちね「ほんで『ウーミン』の子孫は、筑紫(今の九州)南部で暮らす、隼人となったんやで。」
カーケ「大王や、それがしは『ヤマピー』の子孫・・・。遠い親戚というわけかね?」
ちね「まあ、それを言うたら、ここにいる全員が、遠い親戚やで。」
カーケ「して、熊襲と隼人は、どういう関わりなのかね?」
どういう関わりなのであろうか?
次回につづく