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JW588 殉死禁止の詔

【垂仁経綸編】エピソード10 殉死禁止の詔


第十一代天皇、垂仁すいにん天皇てんのう御世みよ

紀元前2年、皇紀こうき659年(垂仁天皇28)11月2日。

垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊いくめいりひこいさち・のみこと(以下、イク)の弟、倭彦やまとひこの墓が完成した。

奈良県ならけん橿原市かしはらし鳥屋町とりやちょう身狭むさ桃花鳥坂墓つきさか・のはかである。

地図(身狭桃花鳥坂墓:桝山古墳)
身狭桃花鳥坂墓:桝山古墳
身狭桃花鳥坂墓:拝所

そして、大王おおきみの兄弟たち、大后おおきさき大連おおむらじ大夫たいふたちが居並いならぶ中、殉葬じゅんそうがおこなわれた。

倭彦やまとひこつかえていた、舎人とねり采女うねめといった者たちが、古墳こふんの周囲に、生きたままめられたのである。

系図(垂仁天皇の兄弟たち)
人物一覧表(大后、大連、大夫たち)

当然、そこには、遺族たちの姿があったはずである。 

男の子「とと様! とと様!」 

女「あんたぁぁぁ!」 

おきな「娘よ・・・。『わし』より先にくのか・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

男「俺が、采女うねめになるのを許さなければ、こんなことには・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」 

チック「大王おおきみ? ホントに、これで良かったの?」 

イク「えっ? で・・・でも『日本書紀にほんしょき』の記述にしたがえば、殉死じゅんしならわしは、昔から有ったみたいだし、みんなも、かってくれてるんじゃないかな・・・。」 

チック「『古事記こじき』のほうただしかったら? 初めてのことで、おおみたからは、おどろいているでしょうね。そして、大王おおきみうらむはずよ・・・。」 

イク「うっ・・・。で・・・でも、そう書かれてるわけで・・・。」 

チック「だからって、それで、いいの?!」 

ニカ「大王おおきみ? 私も『チック』の言う通りだと思う。こんなの・・・おかしいわよ!」 

イカッピ「そうよね。誰が、どう見たって、おかしいと思うわ。」 

ひばり「大王おおきみ! 今なら、まだ、間に合います。こしましょう!」 

イク「そ・・・それは、出来できない。」 

ひばり「どうしてです?!」 

イク「そう・・・書かれているから・・・。」 

オーカ「あっ! 地の底から、うめごえが!」 

地中からの声「うううぅぅぅ・・・。」×多数 

イク「と・・・とにかく、僕は、みやに帰る!」 

こうして、殉葬じゅんそうが、おこなわれたのであった。

それから、数日後・・・。

ここは、纏向珠城宮まきむくのたまき・のみや。 

地図(纏向珠城宮)

のまお「大王おおきみ? うめごえは、昼夜を問わず、幾日いくにちも続いたそうじゃぞ?」 

ニック「その後、死体がくさり、悪臭あくしゅうただよったみたいですな。」 

くにお「ひどにおいにござった・・・。」 

武日たけひ「おはな近付ちかづけたような、そんな感じっちゃ。きそうになったじ。」 

ちね「それだけやないで、いぬからすがやって来て、死体を掘り起こし、らかしたんや。」 

オーカ「恐ろしいながめに、あらしゃいましたなぁ・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

ヤサク「大王おおきみ! おおみたからこえも、届いておりまするぞ。」 

ニック「オリジナル設定やろ?」 

ヤサク「されど、あれだけの惨状さんじょうたりにして、こえないほうが、おかしかろう?」 

ニック「た・・・たしかに・・・。」 

イク「ぼ・・・僕の所為せいだ・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」 

ヤサク「泣いても、どうにもなりませぬぞ? それよりも、殉死じゅんしめるべきにござる。」 

イク「そ・・・そうだね。」 

ニック「せ・・・せやけど、そないなことしたら、先進国になれませんよ!?」 

イク「それでもいい! 僕は悲しい! 愛した人を、亡き人に殉死じゅんしさせるのは、やっぱり良くない。胸がかれるような気持ちになる・・・。」 

くにお「新羅しらぎ百済くだらから、後進国と見られるやもしれませぬぞ?」 

武日たけひ任那みまなが、ヤマトからはなれるかもしれないっちゃが!」 

地図(任那)

ちね「任那みまなだけでんだら、ええで? 筑紫ちくし(今の九州)や、出雲いずもも、新羅しらぎ百済くだらなびいてまうかも、しれへんで?」 

地図(筑紫と出雲の位置関係)

イク「そのときは、そのときだ・・・。僕は、もう、おおみたからなみだを見たくないんだ!」 

のまお「大王おおきみ・・・。よくぞもうされた!」 

ヤサク「それでこそ、が弟よ・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

こうして、殉死じゅんしきんじられたのであった。 

つづく

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