JW200 八代目即位
【孝元天皇編】エピソード3 八代目即位
紀元前214年、皇紀447年(孝元天皇元)1月14日、大日本根子彦国牽尊(おおやまとねこひこくにくる・のみこと)(以下、ニクル)が即位した。
第八代天皇、孝元天皇(こうげんてんのう)である。
同日、先代の大后(おおきさき)を皇太后(おおき・おおきさき)と尊んでいる。
そして、大臣(おおおみ)たちが、やって来たのであった。
すなわち、磯城大目(しき・の・おおめ)と物部出石心(もののべ・の・いずしごころ)(以下、いずっち)である。
大目「大王(おおきみ)! 御即位、おめでとうなんじゃほい!」
いずっち「これからも支えて参りますよって、安心しておくんなはれ。」
ニクル「うむ。二人とも、頼むぞ。」
大目「任せてほしいんじゃほい・・・と言いたいところなんですが・・・。」
ニクル「どうしたのじゃ? 大目?」
大目「わしは、これにて引退するんじゃほい。」
いずっち「えっ?! 汝(いまし)は、別に『記紀(きき)』にも『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』にも書かれとらんのやさかい、今、引退せんでも、ええやないか!?」
ニクル「うむ・・・。『いずっち』の申す通りぞ。汝(いまし)の大臣就任は、この物語のオリジナル設定・・・。今でなくとも良い気がするが・・・。」
大目「そうなんですが、そろそろ、息子とされている、大日彦(おおひびこ)に譲っておこうと思うんじゃほい。」
そこに、磯城大日彦(しき・の・おおひびこ)がやって来た。
大日彦「そうなんですよ。そろそろ、私に譲っていただいて、今後のことに備えておきたいんですよね。」
ニクル「今後とは、如何(いか)なることじゃ?」
大目「実は・・・。」
大日彦「私には、息子がいなかったようで、磯城家は、これにて断絶するみたいなんですよ。」
ニクル「なっ! なんじゃと!? で・・・では、磯城の領地や、三輪山(みわやま)の祭祀(さいし)は、如何(いかが)致すのじゃ?」
大日彦「その辺は、追々・・・。」
ニクル「なんとかなると申すか?」
いずっち「わてらで、いろいろ検討するしかないなぁ。」
ニクル「そ・・・そうか・・・。されど、あの磯城一族が・・・。」
大目「悲しいですが、仕方ないんじゃほい。」
するとそこに『いずっち』の息子、大矢口(おおやぐち)(以下、ぐっさん)がやって来た。
ぐっさん「大王! すんまへんけど、わても、引退させてもらいまっせ!」
ニクル「なっ! 何を申しておるのじゃ? 汝(いまし)は『いずっち』の息子ではないか・・・。子が親より先に引退するなど・・・。」
いずっち「大王の仰りたいことも分かりまっせ。せやけど、今後のためにも、そうせんとあかんのですわ。」
ぐっさん「おとん・・・。すんまへん。こないことになってしもうて・・・。」
いずっち「ええんや・・・。ええんやで・・・(´;ω;`)ウッ…。」
そのとき『ぐっさん』の息子、鬱色雄(うつしこお)(以下、コー)がやって来た。
コー「お爺はん! おとん! これは、どういうことや!?」
いずっち「すまんのう・・・『コー』。しゃあないんや。」
ぐっさん「わての分まで、気張るんやで!」
コー「そ・・・そないなこと、いきなり言われても・・・。」
ぐっさん「ほな、ついでに、もう一人の息子も紹介しときましょか。」
ニクル「もう一人?」
ぐっさん「その名も大綜杵(おおへそき)やで! 『ヘソ』と呼んでおくんなはれ!」
ヘソ「まいど! わてが『ヘソ』やがな! よろしく頼むで、しかし。」
コー「おい! 『ヘソ』! もうちょっと、まともな挨拶出来へんのかいな?」
ヘソ「兄貴! 何、言うてんねん。これが、通常運転でっせ?」
ぐっさん「まあ、そういうことで『コー』と『ヘソ』のこと、よろしく頼んます!」
ニクル「あ・・・相分(あいわ)かった。」
そこへ、ぐっさんの兄、大水口(おおみなくち)(以下、みなお)もやって来た。
みなお「ついに、この日が来てしもうたんやな・・・。」
ぐっさん「あにさん・・・。息子たちのこと、頼んまっせ。」
みなお「任せときっ! わしは穂積氏(ほづみ・し)となって、物部を支えていくつもりや。」
ニクル「穂積氏? 物部氏では無くなるのか?」
みなお「まあ、厳密に言うと、わしの子孫が穂積氏になるんやけど、面倒くさいから、ここでカミングアウトしてみました。」
ニクル「カミガアト?」
みなお「ほな、おとん・・・。ついでに、わしの息子も登場させときますか?」
いずっち「せやな。この流れで、紹介させときっ!」
みなお「ほな、紹介しますぅ。息子の建忍山(たけおしやま)でんがな! 『おしやん』と呼んでおくんなはれ!」
おしやん「よっ! 俺が『おしやん』だってばよ!」
ニクル「そ・・・そうか・・・。よろしく頼むぞ。」
おしやん「任せとけってばよ!」
みなお「ちなみに、フルネームやと、穂積建忍山(ほづみ・の・たけおしやま)になりますなぁ。」
ニクル「フ・・・フルネン?」
ぐっさん「とにかく、これで、一安心やな・・・。ほな! みなさん! 達者でなぁ!」
大目「わしも、常世(とこよ:あの世のこと)で、成り行きを見守ってるんじゃほい!」
こうして、大目と「ぐっさん」は、クランクアップしたのであった。
つづく
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