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JW165 熱から出た伝承

【孝霊天皇編】エピソード20 熱から出た伝承


第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。

倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)(以下、モモ)は、讃岐(さぬき:現在の香川県)の開墾政策を推し進めていた。

生母の倭国香媛(やまとのくにかひめ)(以下、国香)も赴いているが、この物語では、モモの兄弟姉妹も同伴している。

モモの弟、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦(せりひこ))。

モモの妹、倭迹迹稚屋姫(やまとととわかやひめ)(以下、ワカヤ)。

そして、腹違いの姉妹、千千速比売(ちちはやひめ)(以下、チチ)。

腹違いの兄弟、稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)である。

系図(旅の仲間)

前回、モモは烏芋(ごや)と呼ばれる芋を食したのであるが・・・。

モモ「んん・・・。なんか、フラフラする。」

国香「モモ殿! すごい熱(ねつ)ですぞ!」

モモ「ごや・・・食べ過ぎたせいかしら・・・。」

そこに、芋を献上した地元民のロナウドがやって来た。

ロナウド「おかしいなぁ。烏芋(ごや)は漢方薬にも使われとって、解熱作用が有るんじゃけど。」

モモ「で・・・でも、熱が出てるのよね・・・(´;ω;`)。」

タケ「モモよ。気をしっかり持て! 安静にしておけば、いずれ治るであろう。」

モモ「そ・・・それより・・・喉(のど)が・・・渇(かわ)いた・・・。」

ワカヤ「わ・・・私、水を持ってくる!」

チチ「こうして、ワカヤは、袂(たもと)に水を浸(ひた)して、モモを看病したんだべ。」

モモ「ど・・・どういうこと?」

チチ「伝承では、おめぇの侍女(じじょ)がやったことなんだけんど、この物語では、そういうことになったんだべ。」

ワカヤ「モ・・・モモ姉(ねえ)! 水を持って来たよ!」

モモ「なるほど・・・私って、水を飲むのも難しいくらい、すごくヤバい状態になってるのね。」

芹彦「なお、袂に水を浸したところが、田村神社(たむらじんじゃ)の東側にある『袂井(たもとい)』という湧き水じゃ。」

地図(袂井)
袂井

チチ「ちなみに、田村神社は、前回紹介された行宮(あんぐう)のことだべ。」

地図(田村神社)
田村神社(拝殿)

タケ「袂井は、二千年後も水が湧いており、田畑を潤(うるお)しておるぞ。」

モモ「しっかり解説を入れてくるのね・・・。」

芹彦「それよりも、モモ姉。ちゃんと手を洗って食べたのか?」

モモ「あっ!」

芹彦「ふん! これだから、八歳児は・・・。」

モモ「それ、今、関係ないでしょ。」

芹彦「これに懲(こ)りたのか、モモ姉が、手を洗った場所というのが、田村神社の西側にある『花泉(はなのい)』という湧き水じゃ。」

地図(花泉)
花泉

タケ「こちらは残念ながら、二千年後は、枯れてしまっておる。」

モモ「っていうか、手を洗ってなかったとか・・・。そういう繋(つな)げ方、酷くない?」

こうして、熱病に苦しめられたモモであったが、数日後には、動けるまでに回復したのであった。

そんなときの出来事として、ある場所を紹介したいと思う。

それは、ワカヤに支えられながら、モモが歩いていた時であった。

讃岐の住人(アマンダ、サントス、ナビル、ロナウド)がやって来て言うには、このようなことであった。

アマンダ「皇女様。ちょっと疲れたんでないん?」

ロナウド「ほうじゃ(そうだ)。少し休んだ方がええ。」

ナビル「・・・ということで、こっちに来てつか(来てください)。」

モモ「な・・・何? なんか、陰謀の予感・・・。」

サントス「さあさあ、この石に坐ってつか(坐ってください)。」

モモ「こ・・・ここに坐ればいいのね。」

ワカヤ「モモ姉。い・・・急がず、ゆ・・・ゆっくりとね。」

モモ「よ・・・よいしょ。坐ったわよ。」

アマンダ・サントス・ナビル・ロナウド「やった! これで伝承通りじゃ!」×4

モモ・ワカヤ「伝承?」×2

ロナウド「この坐った石こそ、休石(やすみいし)なんじゃ(なんですよ)。」

ナビル「田村神社から東に位置するところにある石じゃ。」

アマンダ「田畑の中に、ポツンと置かれとるんよ。」

サントス「倭迹迹日百襲姫腰掛石(やまとととひももそひめ・こしかけいし)とも呼ばれとるで。」

地図(休石)
休石

モモ「この伝承紹介のためだけに、私、歩かされたのね・・・(´;ω;`)。」

ワカヤ「モ・・・モモ姉、き・・・気をしっかり持って!」

するとそこに、二人の男がやって来た。

芹彦とタケである。

芹彦「モモ姉。これにて、つつがなく、讃岐伝承紹介が終わりましたぞ。」

タケ「私と芹彦は、務めを終えたゆえ、ヤマトに戻らねばならぬ。」

一同「えっ?」×6

芹彦「ワカヤよ。汝(いまし)は、チチと共に残り、モモ姉をお支え申し上げるのじゃぞ。」

ワカヤ「わ・・・分かりました。」

モモ「そう・・・。帰っちゃうのね。」

タケ「名残惜しいが、致し方ない。新たな解説が待っておるゆえ・・・。」

芹彦「うるさい、それがしが居なくなって、清々(せいせい)しておられるのでは?」

モモ「って思ってたんだけど、なんか淋しいわね。」

芹彦「御安心召されい。ワカヤとチチが居るではありませぬか。二人とも、名のみの登場ゆえ、これからも滞在、能(あた)いまするぞ。」

モモ「そ・・・そうね。ワカヤ、あんた、名のみの登場で、解説することなんて無いわよね? だから、ずっと一緒に居てよ。」

ワカヤ「う・・・うん。た・・・ただ・・・。」

モモ「ただ?」

ワカヤ「か・・・解説するネタが有って・・・。」

モモ「ネタ?」

ワカヤの言うネタとは・・・。

次回につづく

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