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JW278 楽楽森彦の策

【疫病混乱編】エピソード30 楽楽森彦の策


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

紀元前88年、皇紀573年(崇神天皇10)、吉備国(きび・のくに)で大問題が発生していた。

地図(吉備)

百済(くだら)から移住してきた温羅(うら)(以下、ウラ)が、手下を率いて暴れまわっていたのである。

吉備の住人、ジョンは、県主(あがたぬし)の楽楽森彦(ささもりひこ)(以下、サモリ)に討伐を願い出るのであった。

ジョン「大王(おおきみ)に伝えてくれよ。退治(たいじ)てくれってな・・・。」

サモリ「そうしたいけど、吉備人(きびびと)にも矜恃(きょうじ)ってモンが有るでしょ? ここは、吉備勢だけで、やっつけるべきだと思うんだよねぇ。」

ジョン「おいおい正気かよ? だいたい『記紀(きき)』にも『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』にも、吉備勢だけで戦ったなんて記載されてないぜ?」

サモリ「そりゃそうですよ。作者オリジナルですからねぇ。でも、矜恃ってモンが有るでしょ?」

こうして、作者の陰謀によって吉備勢だけで「ウラ」と戦うことになったのであった。

討伐軍には、ジョンと息子のジュリアン、ショーンも参加した。

ジョン「・・・というわけだ。」

ジュリアン「親父! どう考えても勝てるわけないじゃろ!?」

ショーン「兄ちゃんの言う通りじゃ。」

ジョン「仕方ないだろ。」

サモリ「まあまあ、そう言わずに、頼もしい仲間もいますから・・・。」

ジュリアン「他にも登場人物がおるんか?」

サモリ「いますよ。では紹介します。夜目主命(やめのぬし・のみこと)と夜目丸(やめまる)の父子です!」

夜目主「お初にお目にかかります。我(われ)が夜目主じゃ。ヤメ父と呼んでくれっ!」

夜目丸「我(われ)が息子の夜目丸じゃ。ヤメ子と呼んでください。」

サモリ「二人は、暗闇でも昼間のように見える力を備えてるんですよね?」

ヤメ父・ヤメ子「その通りっ。」×2

ジュリアン「・・・ということは、夜襲を仕掛けるんか?」

サモリ「いえいえ、真っ昼間から戦いますよ。」

ジョン「は? 何を考えてんだ!?」

サモリ「だって、矜恃ってモンが有るでしょ? では、みなさん、突撃しましょう!」

こうして、吉備勢は正々堂々と戦うことになった。

対峙(たいじ)する「ウラ」の軍が、吉備勢の攻撃を受け止める。

そのとき「ウラ」の弟、王丹(おに)(以下、丹)が叫んだ。

丹「作者オリジナルだからって、容赦(ようしゃ)しないハセヨ! 覚悟するニダ!」

サモリ「容赦無用に願います。矜恃のためですからねぇ。」

戦いは、あっという間に終わり、吉備勢は敗れてしまったのであった。

ジョン「ほら見ろ! 言わんこっちゃないっ。」

サモリ「いえいえ、策は成りましたよ。」

ショーン「何を言よるんじゃ? 負け戦(いくさ)なんじゃぞ?」

サモリ「負け戦ですねぇ。でも、吉備勢だけでは勝てないと分かれば、ヤマトも動くんじゃないでしょうかねぇ。」

ジュリアン「な・・・なるほど。疫(やく)の流行(はやり)以来、それどころじゃないとか言って、重い腰を上げんかったヤマトも、ここまで来たら動くと?」

サモリ「その通りです。では、次の策に移りましょう。」

ヤメ父「次? どういうことじゃ?」

サモリ「吉備の栗坂(くりさか)の住人で、留玉臣(とめたまおみ)こと『トメ』ってヤツがいるんですけどねぇ。彼は今、ヤマトの彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)こと芹彦(せりひこ)様に御仕えしてるんですよねぇ。」

ジョン「芹彦か・・・懐かしいな。」

サモリ「ジョンは、七代目の皇子(みこ)である、芹彦様や、稚武彦(わかたけひこ)ことタケ様と、お知り合いなんですよね?」

皇室系図(芹彦とタケ)

ジョン「ああ。エピソード192で、一緒に荒仁(こうじん)を退治(たいじ)た仲だ。」

サモリ「小生(しょうせい)は『トメ』と顔見知りなんですよねぇ。そこで、小生が『トメ』宛に文(ふみ:手紙のこと)を書きますんで、それをジョンが届けるってのは、どうですかねぇ?」

ジョン「なるほど・・・俺と芹彦は、友だからな・・・。信じてもらえるってことか?」

サモリ「まあ、そういうことです。速(すみ)やかに、大王に話が行くと思うんですよねぇ。」

ジョン「じゃあ、すぐに動こうぜ!」

するとそこに、ジョンの妻、ヨーコが駆け寄ってきた。

ヨーコ「そういうことなら、私も行くわ。」

ジョン「おいおい遊びじゃないんだぞ?」

ヨーコ「だって、私も芹彦やタケに会いたいのよ!」

ジョン「仕方ないな・・・。」

こうして、ジョンとヨーコは、ヤマトに向かうこととなった。

一方、そのころ、崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は、川内(かわち)からの帰路にあった。

地図(川内からの帰路)

大伯母の倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)(以下、モモ)による、衝撃の告白が続いていたのである。

傍らには、芹彦、タケ、そして、タケの子、武彦(たけひこ)(以下、たっちゃん)もいる。

皇室系図(旅の仲間)

ミマキ「し・・・信じられませぬ。」

モモ「私だって信じられないわよ。」

たっちゃん「されど、大物主神(おおものぬしのかみ)が、嘘を吐くとも思えませぬし・・・。」

芹彦「まさか・・・甥っ子と、やり合うことになろうとは・・・。」

タケ「もったいぶらずに、読者に分かるよう話せっ!」

ミマキ「ど・・・読者のみなさん・・・。武埴安彦(たけはにやすひこ)こと、安彦叔父上が、謀反(むほん)を企てていると、モモ伯母上が申すのでござる。わしは・・・わしは信じたくないっ!」

タケ「作者め・・・。事前通達してくるとは・・・。」

あきらかになった陰謀。

ミマキは、どうするのであろうか? 

つづく

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