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JW244 立后から稲妻へ

【崇神即位編】エピソード2 立后から稲妻へ


紀元前97年、皇紀564年(崇神天皇元)1月13日、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)が大王(おおきみ)となった。

第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)である。

そして、翌月の2月16日。

ミマキは、重大発表をおこなった。

ミマキ「その通りじゃ。立后(りっこう)をおこなったのじゃ!」

そこに、大伴角日(おおとも・の・つぬひ)(以下、ツン)と久米五十真手(くめ・の・いまて)(以下、マッテ)がやって来た。

系図(大伴氏と久米氏)

ツン「大王! 誰を大后(おおきさき)にしたんや?」

マッテ「すごく気になるっす!」

ミマキ「うむ。聞いて驚け! 大后となったのは・・・御間城姫(みまきひめ)こと『みぃちゃん』じゃ!」

ツン「なにぃぃ!! エピソード232で、歌を贈るとか、何とか、言っちょったが、無事に妃にしちょったんか!?」

ミマキ「その通りにござる。では、紹介致しまする。『みぃちゃん』にござる。」

みぃ「こ・・・此度、大后となりました。『みぃ』にございます。よろしく御願い致しまする。」

マッテ「・・・ということは、『みぃ』様の父君、大彦(おおひこ)殿は、大王の伯父であり、外戚(がいせき)でもあるという立場になったんすね?」

ミマキ「その通りじゃ。」

するとそこに、当該の人物がやって来た。

大彦である。

「みぃ」の兄、武渟川別(たけぬなかわわけ)(以下、カーケ)と、「みぃ」の弟、大稲腰(おおいなこし)(以下、イナコ)の姿もある。

系図(大彦一家)

大彦「よもや、よもやなんだな。それがしが、大王の義理の父になっちゃったんだな。」

みぃ「父上! 兄上! イナコ! 私も驚いているのです。」

ミマキ「べ・・・別に驚くことではないと思うぞ。数多くいる妃の中で、汝(いまし)以外、考えられなかったのじゃ。」

みぃ「お・・・大王・・・(〃▽〃)ポッ。」

カーケ「それがしは、こうなると思っていたんだぜ。」

イナコ「でも、すごいなぁ。大王と義理の兄弟になるとは・・・。」

ミマキ「カーケ。イナコ。これからも、よろしく頼むぞ。」

カーケ「こちらこそだぜ。」

イナコ「よろしく御願いします!」

ツン「それで、大王と『みぃ』様の間に生まれた子供たちは、この流れで紹介するんか?」

ミマキ「いや、此度(こたび)は、やめておこう。」

マッテ「えっ? なんで?」

ミマキ「一番重要な人物が、まだ産まれておらぬのじゃ。」

みぃ「じゅ・・・十一代目にございますか?」

ミマキ「その通りじゃ。それゆえ、今回は保留とさせていただこう。」

大彦「孫の顔が見たかったんだな。」

マッテ「じゃあ、皇子たちの代わりに、今年創建された神社を紹介するっすよ!」

ツン「神社? そんげなことがあったんか?」

マッテ「あったんすよ! その名も、火雷神社(からいじんじゃ)っす!」

火雷神社(鳥居)
火雷神社(拝殿)

イナコ「火と雷の神社を建てたんですか?」

マッテ「その通りっす! 火雷神(ほのいかづちのかみ)を祀(まつ)った神社なんすよ!」

大彦「伊弉冉尊(いざなみ・のみこと)が黄泉国(よみ・のくに)で産んだ神様なんだな。」

ミマキ「たしか・・・『古事記(こじき)』に書かれておるのであったな?」

カーケ「その通りだぜ。伊弉冉尊の胸から生まれた神様だぜ。」

マッテ「その通りっす! 雷が落ちたら、火が起きますよね? なので、雷の神様でもあり、火の神様でもあるんすよ。」

みぃ「ところで、その神社は、どこに鎮座(ちんざ)しているのですか?」

マッテ「よくぞ聞いてくださいました。鎮座地は、群馬県玉村町(たまむらちょう)の下之宮(しものみや)ってところっす。」

地図(火雷神社)

大彦「この地の五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願って、創建されたと思うんだな。」

みぃ「なにゆえです? 父上?」

大彦「雷は、畑を豊かにするモノなんだな。」

ミマキ「大彦伯父上・・・いや、義父上? 雷と畑が、どう関わってくると?」

大彦「雷のことを稲妻(いなづま)とも言うんだな。」

マッテ「稲の妻ってことっすね?」

大彦「そうなんだな。稲と雷は夫婦とされるくらい、深いつながりが有るんだな。」

ミマキ「そ・・・それは迷信では?」

カーケ「そんなことないんだぜ。雷によって、大気中の窒素(ちっそ)が分解され、雨に溶け込むんだぜ。」

みぃ「兄上? 窒素が雨に溶け込むと、何か良いことがあるのですか?」

ツン「なるほど・・・。そんげなコツかぁ。」

ミマキ「ん? ツンは、分かったのか?」

ツン「じゃが(はい、そうです)。窒素っちゅうモンは、植物にとって栄養源になるんやじ。それが、雨に溶け込んで、大地に吸収される・・・。どういうコツか、分かるやろ?」

みぃ「栄養たっぷりの土地になるということですね?」

ツン「じゃが(その通り)!」

カーケ「まあ、そういうことで、雷は、ありがたいモノなんだぜ。」

イナコ「雷が鳴って、雨が降れば・・・の話ですよね?」

カーケ「当たり前のこと言うんじゃないんだぜ! 雨が降らなかったら、意味無いんだぜ!」

イナコ「い・・・いや、これは読者のことを想って・・・。」

ミマキ「とにかく、群馬の地が、末永く、豊かであってほしいのう。」

みぃ「そうですねぇ。」

こうして、立后記事と共に、火雷神社の紹介に成功したのであった。

つづく

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