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JW211 妃発表

【孝元天皇編】エピソード14 妃発表


第八代天皇、孝元天皇(こうげんてんのう)の御世。

ここは軽境原宮(かるの・さかいはら・のみや)。

地図(軽境原宮)

この日、重大発表がおこなわれようとしていた。

孝元天皇こと、大日本根子彦国牽尊(おおやまとねこひこくにくる・のみこと)(以下、ニクル)が、妃(きさき)を発表したのである。

ニクル「別に、披露(ひろう)するモノでもあるまい。それに、今日でなければならぬわけでもなし・・・。」

愚痴をこぼす大王(おおきみ)に、大臣(おおおみ)の物部鬱色雄(もののべ・の・うつしこお)(以下、コー)と磯城大日彦(しき・の・おおひびこ)が苦言を呈す。

系図(コーと大日彦)

コー「そないなこと言うたら、あきまへんで! 読者に知ってもらわんと、あかんのですから!」

大日彦「そうですよ。いつかは、発表しないといけないんです。」

ニクル「そ・・・そのようなモノか・・・。」

コー「ほな、早速、紹介致しましょか。まずは、わしの姪っ子でんがな!」

大日彦「伊香色謎(いかがしこめ)殿ですよ! 『イカメ』と呼んでください!」

イカメ「お初にお目にかかりますぅ。わらわが『イカメ』どすえ。」

系図(イカメ)

大日彦「ちなみに『イカメ』殿の兄が、伊香色雄(いかがしこお)こと『ガーシー』ですので、私から見た時、『イカメ』殿は、義理の娘となります!」

イカメ「そうどす。よろしゅう御願い致しますぅ。」

するとそこに「イカメ」の父、大綜杵(おおへそき)(以下、ヘソ)が乱入してきた。

系図(ヘソ)

ヘソ「わての娘が妃になったんやで! わてが出て来(こ)んかったら、おかしいやろ!」

イカメ「お父はん・・・。恥ずかしいさかい、やめておくれやす。」

ヘソ「やめろ言われて、やめた奴、まだ見たことないで!」

コー「ええかげんにせぇよ! ヘソ! 今日は、お妃が主役やで!」

ヘソ「ちょっとくらい、ええやないけぇ! 娘の晴れ舞台やで!」

ニクル「さ・・・さて、そういうわけで『イカメ』との間に、子を儲(もう)けたぞ。では、『イカメ』よ。披露致すが良い。」

イカメ「ほな、紹介致しますぅ。大王(おおきみ)とわらわの子・・・。彦太忍信(ひこふつおしのまこと)にございます。『まことちゃん』と、呼んでおくれやす。」

まこと「我(われ)が『まこと』やで。まだ、子供やで。」

系図(まこと)

ヘソ「わての孫やがな!」

コー「ほんま、ええかげんにせぇよ! そんなん、系図見たら、分かることやろ!?」

ヘソ「いや、これは読者のことを想うてやなぁ。」

ニクル「そう言われてみると、『イカメ』は、大后(おおきさき)の姪っ子でもあるのじゃな・・・。」

コー「そうですなぁ。大后は、わしの妹やさかい、そうなりますなぁ。」

ヘソ「せやけど、大后だけやのうて、わての娘も嫁にしたんは、どういうことでっしゃろ? 物部(もののべ)と、もっと仲良うしたいっちゅうことでっか?」

ニクル「なにゆえであろうか・・・。我(われ)にも分からぬ。」

大日彦「あ・・・あのう? 次の妃を紹介したいのですが・・・。」

ニクル「おお、そうであったな。では、披露致すが良いぞ。」

大日彦「で・・・では、改めまして、もう一人の妃を紹介致します。その名も、埴安媛(はにやすひめ)です! 『ハニー』と呼んでください!」

ハニー「お初にお目にかかりまする。私が『ハニー』にござりまする。」

ヘソ「ところで『ハニー』ちゃんは、どこの一族になるんや?」

コー「聞いて驚けやっ! 凡河内(おおしこうち)一族やで!」

ヘソ「は・・・初耳やな。どこの豪族やねん!」

大日彦「直接、聞いた方が早いと思いますよ! では、紹介します! 『ハニー』殿の御尊父、河内青玉繋(かわち・の・あおたまかけ)です! 青玉(あおたま)と呼んでください!」

青玉「お初にお目にかかる。青玉ですぞ!」

系図(ハニーと青玉)

ヘソ「ちょっと待てぃ! さっき『凡河内』言うてたやないけぇ。せやけど、汝(いまし)の名前は『河内』・・・。どうなってんねん?!」

青玉「きっと、後の世になって『凡河内』になったと思うんですぞ。」

ヘソ「そないな適当なことで、ええんか?」

青玉「良いと思っているんですぞ。」

ハニー「申し訳ありませぬ。詳しいことが分からず・・・。作者も、いろいろと調べたようなのですが・・・。」

大日彦「ま・・・まあ、仕様がないですよ。名前なんて、いろいろと移り変わっていくモノです。」

ヘソ「そ・・・そういうモンか? ほ・・・ほんで、どこの豪族やねん?」

青玉「川内国(かわち・のくに)の豪族ですぞ。川内国とは、草香江(くさかえ)が広がる国ですぞ。」

地図(川内国)

ニクル「ついに、川内国の豪族とも、誼(よしみ)を結ぶことが出来たというわけじゃ。」

青玉「感無量ですぞ!」

ニクル「では『ハニー』よ。この流れで、汝(いまし)との間に儲けた子を披露致せ。」

ハニー「かしこまりました。では、紹介致します。息子の武埴安彦(たけはにやすひこ)にござりまする。安彦(やすひこ)と、お呼びくださりませ。」

安彦「僕が安彦です。たぶん、僕が末っ子なんじゃないかと思います。」

系図(安彦)

ニクル「そうなるのか?」

安彦「まあ、確証は無いんですけどねぇ。そんな気がするんですよ。」

ヘソ「せやけど、これで分かることも有るでぇ。川内も、中(なか)つ国(くに)の豪族と、肩を並べるくらいの存在になって来たっちゅうことや!」

コー「せやな。建国当初は、蚊帳の外だったんが、これだけ版図が広がっていく中で、川内も存在感出して来たっちゅうことなんやろなぁ。」

青玉「そうだと思うんですぞ。」

大日彦「とにもかくにも、これにて妃の紹介を終わりたいと思います。」

ニクル「うむ。大儀であった。」

こうして、ニクルの妃と子供たちが紹介されたのであった。 

つづく

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