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JW262 大田田根子の素性

【疫病混乱編】エピソード14 大田田根子の素性


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここは三輪山(みわやま)の麓、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

地図(磯城瑞籬宮)

紀元前91年、皇紀570年(崇神天皇7)8月7日早朝。

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、衝撃の知らせが届く。

三人もの人物が同じ夢を見たというのである。

その三人とは、下記の通り。

倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)(以下、モモ)。

穂積大水口(ほづみ・の・おおみなくち)(以下、みなお)。

そして、伊勢麻績(いせ・の・おみ)である。

大臣(おおおみ)の物部伊香色雄(もののべ・の・いかがしこお)(以下、ガーシー)と、その息子、建新川(たけにいかわ)(以下、ケニー)が同席する中、話はつづくのであった。

皇室系図(モモ)
系図(物部氏・穂積氏)

モモ「ちょっと! どんな内容の夢だったのよ!?」

麻績「それがですねぇ。とても上品な男の人が現れてですねぇ。こんなことを言うたんですよ。『大田田根子を、大物主神(おおものぬしのかみ)を祀る者とし、また、大倭市磯長尾市(やまと・の・いちしのながおち)こと『イッチー』を、日本大国魂神(やまとのおおくにたま・のかみ)こと『おっくん』を祀る者とすれば、天下大吉。』と・・・。」

みなお「全く同じやないかぁぁい!」

モモ「保険掛け過ぎてる、大物主様も素敵・・・(⋈◍>◡<◍)。✧♡。」

ミマキ「こ・・・これは、ひょっとすると、ひょっとするぞ!」

ガーシー「大王(おおきみ)! 信じるほかないでぇ。」

ケニー「う・・・受け入れないといけないんですね・・・(´;ω;`)ウッ…。」

ミマキ「よし! 早速、大田田根子を探し出すのじゃ! それから『イッチー』にも、このこと申し伝えよっ!」

ガーシー「御意!」

こうして、大田田根子捜索が開始された。

そして、紙面の都合か、神意によるものか、あっという間に発見されたのであった。

ミマキ「して、どこで見つかったのじゃ?」

ガーシー「茅渟県(ちぬ・のあがた)の陶邑(すえ・のむら)で見つかったみたいですわ。」

モモ「茅渟と言えば、エピソード25で紹介されてるわね。」

ミマキ「ん? どういうことにござる?」

モモ「はぁぁ? 読んでないの? 御初代様が東征(とうせい)された折、兵士たちが傷を洗い、海の色が赤く染まったことにちなんで、血沼(ちぬ)となったのが由来って、堂々と書かれてるでしょ?!」

ミマキ「い・・・いえ、これは読者のことを想って・・・。」

麻績「大王? すごい汗やで・・・。」

ミマキ「し・・・して、茅渟県とは、二千年後のあそこであったな? ケニー?」

ケニー「えっ? そ・・・そうです。大阪府南部のことですね。800年後には、和泉国(いずみ・のくに)とも呼ばれる地域のことですよ。」

ミマキ「そう! その通りじゃ!」

地図(茅渟県)

モモ「陶邑は?」

ミマキ「そ・・・そこは、はっきりとは分かりもうさず。お許しくだされ。されど『古事記(こじき)』の方では、はっきりしておりまするぞ。」

モモ「ん? 『古事記』の方?」

ミマキ「左様。『古事記』では、川内国(かわち・のくに)の美努邑(みの・のむら)になっておりまして、二千年後の地名で言うと、大阪府八尾市上之島町南(やおし・かみのしまちょう・みなみ)とのこと・・・。」

地図(大阪府八尾市上之島町南)

みなお「とにかく見つかって良かったやないですか。ほな、さっそく、次の記事に飛びましょか!」

ここは神浅茅原(かんあさぢはら)・・・。

大王、そして臣下たちが見守る中、一人の人物が謁見(えっけん)しようとしている。

もう、お分かりとは思うが、大田田根子(以下、田根子)である。

田根子「お初にお目にかかります。田根子にございます。」

ミマキ「なっ!? オミナ(女)ではなかったのか?」

田根子「は? なにゆえ、そうなるのです?」

ミマキ「いや・・・『子』が付くゆえ・・・。」

田根子「それは二千年後の感覚にございましょう? 私たちの時代は、オノコ(男)でも、『子』が付くのです。」

ミマキ「そ・・・そうか・・・。して、汝(いまし)は、誰の子なのじゃ?」

田根子「父は大物主神。母は活玉依媛(いくたまよりひめ)と申します。陶津耳(すえつみみ)の娘です。」

一同「大物主様の息子?!」×多数

田根子「驚くのは、まだ早いですよ! 母の活玉依媛には、別名が有るのです。」

みなお「別名って、どういうことやねん?」

田根子「その名も、玉櫛媛(たまくしひめ)です!」

モモ「ええぇぇぇ!! それって、御初代様の大后(おおきさき)、媛蹈鞴五十鈴媛(ひめたたらいすずひめ)こと『タタラ様』のお母さんの名前よね?」

ミマキ「は? そ・・・そうなるのですか?」

モモ「何、言ってんのよ! エピソード61を読みなさい!」

ガーシー「せやけど、そうなると、田根子の母方のおじいちゃんは、八咫烏(やたがらす)になってまうでっ!」

田根子「まあ、そうなっちゃうんですよねぇ。」

ミマキ「あ・・・有り得ぬ。遥か昔のことではないか・・・。」

田根子「御安心ください。『古事記』では、大物主神の五世孫となっておりますし、『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』では、事代主神(ことしろぬしのかみ)の七世孫となっております。」

ミマキ「しょ・・・諸説有りか・・・。大物主神は、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の和魂(にきみたま:優しい心)・・・。そして、事代主神は、大国主大神の息子・・・。出雲(いずも)とのつながりも有るようじゃのう。」

田根子「それだけではありませんよ。エピソード87・・・。大王は御存知ですか?」

次回、田根子は何を語るのか? 

つづく

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