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JW257 鳴動する隕石

【疫病混乱編】エピソード9 鳴動する隕石


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

前回は、笠縫邑(かさぬい・のむら)の伝承地についての解説がおこなわれた。

そして、解説終了後、和珥彦国姥津(わに・の・ひこくにははつ)(以下、ニーハン)は、作者の陰謀により、疫病によって亡くなったのであった。

ここは磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

地図(磯城瑞籬宮)

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、二人の男が参内(さんだい)していた。

ミマキの弟、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)。

そして、ニーハンの息子、和珥彦国葺(わに・の・ひこくにふく)(以下、くにお)である。

系図(イマス&くにお)

ミマキ「此度(こたび)の解説、大儀であった。されど、ニーハン殿が、あのような目に遭おうとは・・・。未だに信じられぬ。」

イマス「これも定めにござりましょう。して、これからは『くにお』が、和珥氏(わに・し)を率いていくこととなりまする。」

くにお「お初にお目にかかりまする。『くにお』にござりまする。」

ミマキ「うむ。エピソード234以来の登場ではあるが、わしと対面するのは、これが初めてであったな?」

くにお「左様にござりまする。」

ミマキ「では、和珥氏を継承した記念に、今年創建された神社の解説を致せ!」

くにお「はっ! 今年、紀元前92年、皇紀569年(崇神天皇6)のある日のこと・・・。伊須流岐比古神社(いするぎひこじんじゃ)が創建されもうした。」

伊須流岐比古神社(鳥居)
伊須流岐比古神社(拝殿)

イマス「と・・・唐突すぎる・・・。」

ミマキ「して、鎮座地(ちんざち)は何処(いずこ)じゃ?」

くにお「石川県中能登町(なかのとちょう)の石動山(せきどうさん)にござりまする。」

イマス「山頂に鎮座しておるのか?」

くにお「その通りじゃ! 石動山(いするぎやま)の山頂に鎮座しておる。標高は564mじゃ。」

地図(伊須流岐比古神社)

ミマキ「同じ『石動山』という文字でも、読み方が違うのじゃな?」

イマス「た・・・たしかに、言われてみると・・・。」

くにお「地元の人しか読めぬゆえ、音読みにしたのではないかと・・・。」

ミマキ「作者の受け売りか?」

くにお「御意!」

イマス「されど、なにゆえ、石が動くと書いて『いするぎ』になるのじゃ?」

くにお「山に流星が落ちたことが由来らしい。」

ミマキ「もそっと詳(つまび)らかに申せ。」

くにお「落ちた流星・・・すなわち、小さな隕石(いんせき)にござりまするが、これが鳴動(めいどう)したとの由(よし)。そこで地元民は、これを鎮(しず)めんがため、神として祀(まつ)ったそうにござりまする。」

イマス「石が鳴動したゆえ『石動』というわけか・・・。」

ミマキ「何を感心しておるのじゃ。答えになっておらぬではないか! なにゆえ『いするぎ』なのかと問うておるのじゃぞ。」

くにお「も・・・申し訳ござりませぬ。石が揺らいだ・・・。石揺るぎ・・・。いするぎ・・・と訛(なま)ったとの由。」

イマス「あにう・・・大王(おおきみ)? 気が付かなかったのですか?」

ミマキ「なっ! 何を言うておるのじゃ。こ・・・これは、読者のことを考えて・・・。」

くにお「そんな風には見えませなんだが・・・。」

ミマキ「そ・・・そんなことより、祭神は、何処の神になるのじゃ?」

くにお「まずは、石動彦神(いするぎひこのかみ)にござりまするな。分かりやすく申せば、件(くだん)の隕石のことにござる。」

ミマキ「ん? まずは・・・ということは?」

くにお「もう一柱(ひとはしら)、祀られておりまする。白山比咩神(しらやまひめのかみ)にござる。」

イマス「白山比咩神(しらやまひめのかみ)と申せば、エピソード97で紹介された、白山姫命(しらやまひめ・のみこと)のことではないか?」

くにお「さすがは、イマス様! 白山(はくさん)の神様にござりまする。」

ミマキ「白山?」

くにお「白山という山が有りもうして、霊山として崇(あが)められておるのでござる。その神の名が、白山姫。菊理媛命(くくりひめ・のみこと)という別名もござりまするぞ。」

イマス「白山の水で、暮らしを立てておる、二千年後の福井県、石川県、岐阜県の民(おおみたから)たちの信仰より生まれし神にござりまする。」

地図(白山)
白山

ミマキ「ふ・・・二人とも、よく覚えておるな。」

くにお「ちなみに、二柱(ふたはしら)の神は、伊弉諾神(いざなぎのかみ)、伊弉冉神(いざなみのかみ)として扱われているそうにござりまする。」

ミマキ「か・・・勝手に、掛け合わせて良いのか?」

くにお「そのようなこと申されましても、拙者(せっしゃ)としては、如何(いかん)とも成し難く・・・。」

ミマキ「ま・・・まあ、そうじゃな・・・。」

くにお「では、これにて、解説は終(しま)いにござる。」

ミマキ「とにもかくにも、疫(やく)で国が危(あや)ういという時に、隕石まで落下しておったとは・・・。わしに徳が無いばかりに・・・。(´;ω;`)ウッ…」

イマス「大王! 日本大国魂神(やまとのおおくにたま・のかみ)こと『おっくん』の怒りを鎮(しず)めること能(あた)いませぬのか?」

くにお「左様! その神が鎮まれば、疫は収まると聞き及んでおりまするが・・・。」

ミマキ「そうなのじゃが・・・。どうすれば良いのか、見当(けんとう)もつかぬのじゃ・・・。」

イマス「されど、このままでは国が滅んでしまいますぞ!」

ミマキ「分かっておる。分かってはおるのじゃ・・・。」

怒りの「おっくん」を鎮めることは出来るのであろうか・・・。

次回につづく

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