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JW392 いい日、旅立ち

【崇神改革編】エピソード19 いい日、旅立ち


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

すなわち、紀元前59年、皇紀602年(崇神天皇39)。

ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

地図(磯城瑞籬宮)

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、一人の女人が来訪していた。

ミマキの皇女(ひめみこ)、豊鍬入姫(とよすきいりひめ)(以下、きぃ)である。

系図(きぃ)

きぃ「実は・・・天照大神(あまてらすおおみかみ)こと『アマ』様より、言伝(ことづて)がございまして・・・。」

ミマキ「なに?! 言伝じゃと? 夢に出てくれば良いものを・・・。」

きぃ「久しぶりに、親子で語らえとの思し召し(おぼしめし)にございます。」

ミマキ「あの、アマ様が、そのような気遣いを? 悪い予感がする・・・。」

きぃ「大王(おおきみ)? そろそろ本題に入っても、よろしゅうございますか?」

ミマキ「お・・・おお。そうであったな。して、なんと申されておるのじゃ?」

きぃ「引っ越ししたいと・・・。」

ミマキ「ん? 引っ越し? 何を言うておるのじゃ?」

きぃ「で・・・ですから、別の地に遷(うつ)りたいとの思し召しにて・・・。」

ミマキ「別の地じゃと? 何処(いずこ)に遷りたいと申しておるのじゃ?」

きぃ「分かりませぬ。」

ミマキ「は? 分からぬじゃと?」

きぃ「探して欲しいと・・・。」

ミマキ「わしの可愛い娘に、何ということを! 許せんっ。」

きぃ「大王! 滅多なことを申してはなりませぬ!」

ミマキ「うっ・・・。そ・・・そうであったな・・・。では『きぃ』ちゃんは、アマ様が鎮座(ちんざ)する地を探す旅に出ると申すか?」

きぃ「そういうことになりまする。」

するとそこに、ミマキの妃で『きぃ』の母、遠津年魚眼眼妙媛(とおつあゆめまぐわしひめ)(以下、アユ)がやって来た。

更には、同母兄の豊城入彦(とよきいりひこ)(以下、トッティ)もやって来た。

系図(アユ・トッティ)

アユ「ちょっと待ちなさいよ! エピソード254以来、可愛い『きぃ』ちゃんと離れ離れの暮らしをしてるのよ! もっと遠くに行っちゃうって、酷くない?!」

トッティ「我(われ)もだっぺよ! エピソード231以来、全く、妹と絡(から)みが無いんだっぺ。こんなこと、おかしいっぺ!」

ミマキ「二人とも、落ち着けっ。わしとて、断腸(だんちょう)の思いなのじゃ・・・。」

きぃ「母上・・・。兄上・・・。私は、大丈夫ですから、御心配くださいますな・・・。」

アユ「ホントに、あんたったら、立派に育っちゃって! 親の顔が見てみたいわ!」

ミマキ「ほれ! わしの顔を、とくと見よ!」

アユ「えっと・・・。鏡・・・鏡、どこだっけ・・・。」

トッティ「夫婦漫才になってるっぺ!」

とにもかくにも、鎮座地を探す旅が始まったのであった。 

つづく

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