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JW540 穢れた皇子
【垂仁天皇編】エピソード69 穢れた皇子
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前7年、皇紀654年(垂仁天皇23)冬。
垂仁天皇の皇子、誉津別(以下、ホームズ)が帰国した。
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ここは、纏向珠城宮。
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大連や大夫たちが居並ぶ中、垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、困惑するのであった。
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イク「感動的な再会になるはずが、すごくモヤモヤするんだよね。」
ホームズ「モヤモヤ?」
イク「出雲大社の改築が済んでないのに、帰ってきちゃったら、大国主大神が怒ってるんじゃないの? 出雲国造の襲髄こと『カネス』殿たちも、戸惑ってるんじゃないの?」
ホームズ「あっ! 我・・・そのこと・・・忘れていた。」
イク「ホームズ・・・。やっぱり、汝は大王には、なれないってことなんだね。」
ホームズ「えっ?」
ニック「皇子。初めて交わす言の葉が、こないなことで、申し訳ないんやけど、皇子は、出雲との融和に失敗してしもうたんですわ。」
ちな「せやな。皇子は、穢れを持って産まれて来た子ぉや。此度のことで、うまく捗れば、その穢れが無くなるはずやった・・・。」
くにお「されど、全うすることが出来ませなんだ。」
ホームズ「穢れ?」
ひばり「穢れとは、気枯れ・・・。すなわち、気が枯れるということです。」
オーカ「エピソード496から498にて、皇子の母君、狭穂姫こと『さっちん』様は、気が枯れて、謀反に加担してしまいましたわなぁ?」
武日「そんげなコツで、皇子は、その穢れを受け、咎人の子となってしまったんやじ。」
カーケ「そして、此度のことで、務めを全うしていたなら、完全に穢れが無くなっていたはずなんだぜ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
イク「そういうことなんだ。此度のことは、絶好の機会だったんだ。蛇でも、鰐でも、受け入れなきゃいけなかったんだ・・・。」
ホームズ「そんな・・・。」
イク「仕方がない。これも定めなんだろう。言の葉を発することが出来るようになっただけでも、上々じゃないか・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
ホームズ「父上・・・お許しください。」
イク「いいんだよ。ホームズ・・・。そういう説も有るっていうだけで『古事記』に書かれてるわけじゃないから・・・。」
ホームズ「父上?」
こうして、なにはともあれ、出雲大社が改築されたのであった。
それから数日後か、数か月後のこと・・・。
「イク」は、二人の人物を呼び出していた。
すなわち、薊瓊入媛(以下、あざみ)と、池速別(以下、イケイケ)である。
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あざみ「大王? 如何なされました?」
イケイケ「とと様! どうしたの?」
イク「実はね。『イケイケ』を、ある邑に封じようと思うんだ。」
あざみ「封じるとは、その地の領主になるということですよね?」
イケイケ「えっ? 我が領主様になるの?」
あざみ「されど『イケイケ』は、まだ幼いのですよ? なにゆえ、そのような・・・。それに、他の子供たちは? 姉上たちが産んだ子供たちもおりますでしょう? なにゆえ『イケイケ』なのです?」
イク「それはね・・・。『新撰姓氏録』に書かれているからだよ。」
あざみ「えっ?」
イク「西暦815年(弘仁6)に、嵯峨天皇の命で編纂された、古代氏族名鑑だよ。」
あざみ「いえ、そっちじゃなくて、なんで、書かれているのですか?」
なぜであろうか?
次回につづく
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