JW151 富士山噴火
【孝霊天皇編】エピソード6 富士山噴火
紀元前289年、皇紀372年(孝霊天皇2)2月11日、第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)こと、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))は立后(りっこう)をおこなった。
そして前回は、二人の大后を紹介させてもらった。
残るは、あと一人である。
そこに、春日千千速(かすが・の・ちちはや)(以下、ちぃさん)という人物がやって来た。
ちぃさん「初の登場となります。『ちぃさん』こと、千千速にあらしゃいます。」
笹福「我(われ)は初めてではないが、読者のために紹介してくれたのじゃな?」
ちぃさん「その通りにあらしゃいます。」
笹福「して、残りの一人とは・・・汝(いまし)の娘ということか?」
ちぃさん「左様にあらしゃいます。では紹介致しますぅ。娘の春日千乳早山香媛(かすがの・ちちはや・やまかひめ)にあらしゃいます。山香と呼んでください。」
山香「私が山香ですぅ。春日県主(かすが・の・あがたぬし)の娘にあらしゃいます。」
笹福「春日県主とは『ちぃさん』の領地ということか?」
ちぃさん「その通りにあらしゃいます。春日県主ということで、エピソード88に登場した、大間宿禰(おおま・の・すくね)の息子ではないかと、作者は考えておりますぅ。」
笹福「確か、二代目様の御世の人物ではなかったか? 汝(いまし)が、その大間宿禰の息子であったなら、時の流れが、おかしくなるのではないか?」
山香「みんな、おかしいことになっておりますぅ。」
笹福「何? どういうことじゃ?」
山香「御初代様の御世から活躍しておられる豪族の皆様方と、大王(おおきみ)の系図を見比べたら、一目瞭然にあらしゃいますよ。」
笹福「み・・・見てみようではないか。」
ちぃさん「御初代様の世代から見て、だいたい、孫や曾孫(ひまご)の世代が活躍中にあらしゃいます。さりながら、大王の家系だけは、既に昆孫(こんそん)の世代になっておりますぅ。」
笹福「ど・・・どういうことじゃ?」
ちぃさん「どういうことなのか・・・。それについては、いずれまた・・・。」
笹福「今は言えぬのか?!」
山香「それらについては、九代目の時に解説する予定にあらしゃいます。」
笹福「我(われ)の孫ということか?」
ちぃさん・山香「そうですぅ。」×2
笹福「こ・・・これが、作者の陰謀と申すモノか・・・。」
そこへ、葛城加豆良支根(かずらき・の・かずらしね)(以下、カズ)が息子を連れてやって来た。
カズ「衝撃を受けているところ、大変申し訳ないんですが・・・。」
笹福「おお、カズか・・・。如何(いかが)致した?」
カズ「系図を見てもらった矢先で、大変恐縮なんですが、代替わりします。」
笹福「な・・・なんじゃと?」
カズ「では、紹介します。私の息子、垂見(たるみ)です。」
垂見「垂見にござるよ。よろしく・・・でござるよ。」
笹福「そ・・・そうか。よろしく頼むぞ。」
カズ「では、クランクアップ記念というわけではないですが、今年創建された神社を紹介致しましょう。」
笹福「そ・・・そうなるのか?」
垂見「その名も、冨知神社(ふくちじんじゃ)にござるよ。『富』の字の、上の部分がないところが特徴にござるよ。覚えておいてほしいんでござるよ。」
山香「覚えておいた方が、よろしいのであらしゃいますか?」
垂見「言いたかっただけでござるよ!」
笹福「それで・・・。鎮座(ちんざ)した神は、何処(いずこ)の神ぞ?」
カズ「大山祇神(おおやまづみのかみ)ですね。」
ちぃさん「山の神様にあらしゃいますなぁ。」
カズ「その通りです。今年、静岡県富士宮市(ふじのみやし)の宮町(みやちょう)に鎮座されました。」
笹福「宮町? それは、おかしな話じゃ。その地には、富士山本宮浅間大社(ふじさん・ほんぐう・せんげんたいしゃ)が鎮座しているはず・・・。」
垂見「大王の申される通り、二千年後は、そうなっているのでござるよ。」
笹福「後の世に、別の場所へ遷座(せんざ)されたと申すか?」
カズ「その通りです。西暦806年、皇紀1466年(大同元)に、富士山本宮浅間大社が遷座して来た際、冨知神社は、別の場所に遷ったのです。」
垂見「それが、静岡県富士宮市(ふじのみやし)の朝日町(あさひちょう)にござるよ。」
笹福「そのようなことが、後の世に起こるのか・・・。」
垂見「そういうことで、二千年後は、朝日町に鎮座しているのでござるよ。」
カズ「更に、大王の御世に、富士山で大事件が発生しています。」
笹福「大事件?」
垂見「富士山が噴火したのでござるよ。」
笹福「なっ! なんじゃと!!」
垂見「鳴動(めいどう)、常ならず、民(おおみたから)は恐れて逃げ去ったため、年久しく国は荒れ果てたと、伝わっているのでござるよ!」
ちぃさん「た・・・確かに、大事件にあらしゃいますなぁ。」
カズ「富士山本宮浅間大社の伝承ですね。」
山香「されど、なにゆえ『記紀』には書かれていないのでしょう?」
笹福「うむ。これが、いわゆる・・・ロマンと申すモノであろうな。」
山香「ロ・・・ロマンにあらしゃいますか?」
こうして、今回もロマンの一言で片づけられたのであった。
つづく
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