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JW163 西へ
【孝霊天皇編】エピソード18 西へ
第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。
倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)(以下、モモ)は、讃岐(さぬき:現在の香川県)に滞在していた。
讃岐を実り豊かな地に変えるためである。
伝承では、生母の倭国香媛(やまとのくにかひめ)(以下、国香)も赴いているが、この物語では、モモの兄弟姉妹も同伴しているのであった。
すなわち、モモの弟、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦(せりひこ))。
モモの妹、倭迹迹稚屋姫(やまとととわかやひめ)(以下、ワカヤ)。
そして、腹違いの姉妹、千千速比売(ちちはやひめ)(以下、チチ)。
腹違いの兄弟、稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)である。
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そして、水主神社(みずしじんじゃ)を拠点とした開墾政策は、順調に進んでいたのであった。
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モモ「田畑も広がって、かなり豊かになってきたんじゃないかしら!」
国香「これで、讃岐も安泰ですね。」
モモ「母上! まだまだよ!」
国香「まだまだ?」
モモ「そうよ! ここは、讃岐の東側。まだまだ多くの地域が残ってるわ。」
タケ「では、モモよ。更に、西へ向かうと申すか?」
モモ「その通り! まずは、行宮(あんぐう)に適した地を探さないと・・・。」
こうして、ヤマトの一行は、西へと移動を開始したのであった。
当然、物語の都合上、讃岐の住人(サントス、ナビル、アマンダ)も同行する。
モモ「・・・ということで、着いたみたいね。」
タケ「この地に陣を設けたようじゃ。香川県高松市(たかまつし)の香川町大野(かがわちょう・おおの)というところらしいぞ。」
国香「そのようですね。この地に示顕(じげん)したという伝承があるので、最初に訪れた地なのでしょうね。」
ワカヤ「は・・・母上。じ・・・示顕とは、い・・・如何(いか)なる意味なのですか?」
国香「示顕とは、その地に現れるという意味になりますかね。」
チチ「当然、そういうことで神社が建ってるだよ。天降神社(あまくだりじんじゃ)だべ。」
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芹彦「エピソード118で、福岡県川崎町(かわさきちょう)の天降神社(あまふりじんじゃ)が紹介されておるが、こちらとは読み方が違うのじゃな?」
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国香「芹彦殿。よく覚えておられましたな。」
芹彦「当然にござる! 狭野尊(さの・のみこと)大先生が祀(まつ)られておられるゆえ!」
一同「大先生?」×8
モモ「御初代様とか、神武天皇(じんむてんのう)とか、もっと分かりやすく言いなさいよ!」
芹彦「断る!」
チチ「ちなみに、福岡県川崎町の川崎町観光協会では、ユーチューブってやつで動画をアップしてるだよ。興味があったら見てほしいだ。」
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国香「作者も、資料提供の御恩返しとして、定期的に閲覧しているそうですね。」
タケ「一体、何の話をしておられるのです! 本題に戻りましょうぞ!」
モモ「そ・・・そうね。」
タケ「それで、こちらの神社にも、御初代様が祀られておるのか?」
ワカヤ「こ・・・こっちの神社は、瓊瓊杵尊(ににぎ・のみこと)だけが祀られているようです。」
チチ「補足説明なんだけんど、戦国時代に、神の降臨があったからって理由も書かれてるべ。」
サントス「諸説有りってことじゃな。」
モモ「どっちにしろ、ここからじゃ、この地を把握できないわ。もう少し高いところに行かないと・・・。」
ナビル「ほんなら、船岡山(ふなおかやま)に行こか(行きましょう)。香川町浅野(かがわちょう・あさの)に有る山じゃ。」
こうして一行は、船岡山に向かったのであった。
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モモ「いいじゃない! 眺めが最高よ! ここからなら、この地が手に取るように分かるわ!」
国香「では、ここに行宮(あんぐう)を設けましょう。」
アマンダ「こうして、山頂に行宮が設けられたんじゃ。」
タケ「当然、この行宮も、後の世に神社となったのであろう?」
サントス「神社となったには、なったんじゃが・・・。」
タケ「何か問題でもあったのか?」
サントス「山頂は不便だったのか、のちに神社は、平地に遷(うつ)ったんじゃ。」
チチ「その通り! これが、高松市の仏生山町甲(ぶっしょうざんちょう・こう)に鎮座する船山神社(ふなやまじんじゃ)だべ。」
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タケ「岡が、抜けておるではないか!」
チチ「そんなこと言われても、オラに分かるわけねぇだ。」
国香「山の周囲の地名が、船山だったようですね。」
ワカヤ「も・・・百相郷(もまい・のさと)に属する・・・地名だったみたいです。」
モモ「百相郷?」
ワカヤ「こ・・・古代の地名で、い・・・今は使われていないそうで・・・。」
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モモ「何かあったのかしら?」
国香「地名も、いろいろ変わってしまうのであろう。」
タケ「どちらにせよ、岡が抜けた理由は分からぬのですな。」
芹彦「タケよ。これがロマンぞ。」
チチ「ちなみに、百相(もまい)という地名は、モモの名前から来てるみてぇだぞ。」
モモ「えっ? そうなの?! だったら、余計に無くなっちゃった理由が知りたいんですけど!」
芹彦「モモ姉よ。これがロマンぞ。」
モモ「分かったわよ。もう、ロマンの一言で片づけてちょうだい! それよりも、水脈を探して、水路を作りましょ! この地も開墾で、豊かにするのよ! 私は雨乞い、頑張るから!」
一同「御意!」×7
こうして、新たな開墾計画が開始されたのであった。
つづく
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