生物多様性は、地域を選ぶ「新しい時代の選挙」になる。

今日はある委員会だったのだけど。
生物多様性は、やはり都市部より、海や山や川、野辺や湿地、あるいは田畑など、直接かつ大きなインパクトがあるところから考えるべきでさ。つまり、生産者や農山漁村に暮らす人が"最前線"の守り人、なんだよね。

「社会全体で生物多様性に取り組もう」っていうのは、ほぼ「生物多様性に取り組む生産者や地域の担い手に対して、社会全体がどうコミット(約束)するか」という問いに集約される。

生態系サービスや生物(遺伝的)多様性がなければ僕らの持続的な生活はなく、農畜水産や地域産業がなければ都市生活は成り立たない。言い換えれば、支援され守られているのは、僕達のような都市生活者や事業者の方だ。だから「必要コスト」を払うコミット(約束)をしよう、という話。それが流通を通じた合理的な対価の支払だろうが、国を通じた税金の再分配だろうが、同じ議論だ。

とはいえ。生物多様性や生態系サービスについては、まだ地域においてもそれほど意識は高くない。

無計画に特定の生物を大量に放流したり、せっかくの湿地を埋め立てたり、生物性を破壊するような生産方法を採用したり…が今の農畜水産や地域産業のリアル。

しかし、生産者や地域事業者だけが悪いのではない。教育はもちろんのこと、自治体や政府もこうした動きをガンガン後押ししてきたわけ。化石燃料の使用をガンガン支援してきた金融業界と同様に、方針を見直すタイミングが来た、ということ。生物多様性を尊重するのは、事実上の方針転換であり、新しい判断軸の追加とも言える。

けど、それはきっと良いことで、新しい挑戦だ。

過去に対する反省の弁とか、前後の辻褄合わせなんて不要だから、どんどん取り組みを増やせば良い。

近年では、生物性を尊重した結果、資材コストやリスク削減になり、生産の安定性にも繋がる事例も出ている。(まだまだ試行錯誤やイノベーションの余地だらけだけど)収益の持続性や生産効率も上がるなら、なお面白いじゃないか。

生物多様性や生態系サービスを大切にする生産者が、生活者や事業者の信任を得て、持続的な食料と社会作りを託されていく時代。

「選ばれる生産者や産地になれるか。」
これは新しい時代の選挙になるのだろうね。

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