高収入を得るために大切なこと【人間は～10】

　あなたは、何か人に売り込めるだけの才能をお持ちだろうか。

　それが問題なのである。現在、あなたは、独立して収入を得られるだけの才能が何かあるだろうか、別に、人生の勝利者になるために、スーパースターになる必要はない。20勝投手や３割バッターでなくとも、高収入を手に入れ、エリート社会への入会切符を手にすることは可能だ。同じことは、どの分野にもあてはまる。

　あなたと同じ仕事をしている人は、世界中にどれぐらいいるだろう。そして、その職業におけるあなたの地位はどのくらいのところにあるのだろう。むろん、人間に上下はない。しかし、今私が尋ねているのは、あなたが人にどれくらい奉仕しているのか、ということなのである。

　あなたは少人数のトップに近い位置にいるのか、無数の人がうごめいている最底辺のところにいるのか、それともその中間あたりか。

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　貧富の差が出てくる理由はここにある。すなわち、金持ちとは、他人により優れた価値のある──需要のある──サービスを提供できる人のことなのである。

　ピラミッドの底辺にいる人々は（身分が低いという意味ではない）、従事している人数が多く、才能や熟練がそれほど必要とされない手荷物運搬人、ウエートレス、タクシー運転手、店員、警備員、肉体労働などの職に就いている。
　仮に病気になってしまっても、欠員補充は簡単にできる。新しく補充された人間は、最初のころ、うまく仕事ができないかもしれないが、慣れてくればこの問題も解決する。このような職種をこなせる人間は数多くいるし、どこにでもある仕事である。すぐに補充がきくし、賃金も安い。誰でもできる仕事だから、給料も安いのである。

　このような仕事でも、頭と心を使って、他の人々より秀でることはでき、いずれはその道のトップに立つこともできる道は開かれているのだが、少なくとも統計的には、そうなる人はとても少ない。
　働いている人間も、給料が安いことにあまり文句は言わない。確かに、中には高級レストランの名ウエーターのように、高額をもらっている者もいる。しかし、病気休暇や有給休暇以外のことで店に出なかったなら、給料はその分引かれてしまう。ウエーターのように個人サービス業に従事している人々は、仕事に出なくなってしまえば、収入の道が途絶えてしまうのである。

　実は、歯科医や開業医も事情は同じなのだ。治療をやめてしまえば、収入はストップ──株などで儲けている人は別だが──してしまう。すなわち、ウエーターと同じく、人前に出なかったら、金は入ってこない。大半の職業も、事情はほぼ似たり寄ったりであろう。

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　しかし、アンドリュー・ロイド・ウェバーの場合は違う。作曲した作品がミュージカルで歌い演奏されるたびに、富が懐に入ってくるのである。しかもウェバーは、最も楽しいことをやって稼いでいるのである。確かに人を感動させる曲を作るのは難しいことだが、ウェバーはそれを苦にもしない。作曲を愛しているからだ。

　あなたの好きなものはなんだろう？

　ゴルフやヨットで遊んでいるときでも、自動的に収入が入ってくる手段はあるのか？　人前に出なくても、人に奉仕でき、こちらも楽しんでやれるものとは何か？　「個人サービス業」より収入の多い仕事をどのように創り出していくのか？

　もちろん、20勝クラスの投手でも、金を稼ぐためにはマウンドに上がらなくてはならない。しかし、すでにスターという地位を手にしているのである。巨額の資金を投資に回せば、さらに蓄えが膨れ上がり、余生を釣りだけして過ごすこともできる。10年も働けば、もう一生快適な生活は約束されているのである。
　私の親友である世界最大のチョコレート・クッキー会社の会長でナポレオン・ヒル・ゴールドメダルの受賞者であるウォーリー・フェイマス・エイモスも、今は１年の大半をハワイで過ごし、悠々自適の生活を送っている。

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　しかし、誤解しないでほしい。もし歯科医という職業が好きなら、体に気をつけ、職業をまっとうすべきである。好きなことを続けることが、いつでも幸せで、安定した収入を得る道なのである。
　一流レストランの名ウエーターともなれば、なじみの客も増えるだろう。そして、いつも生き生きした心が保て、精神的に老けこんでしまうこともないだろう。ウエーターという職が好きなら、とことんやることだ。足腰を鍛え、仕事を楽しもう。

　心から奉仕をしようという人は、それだけの報酬を受ける権利があるのだ。どんな仕事でも、その職業の頂点に立つ人をこの世の仕組みは愛でるのである。私もそうしようと努力してきた。

　優秀な庭師──あらゆるサービス業の中でも特に優れた仕事をする人たち──の場合も同様だ。優れた庭師は四苦八苦して探してもなかなか見つからないものだ。仕事を愛し、身も心も捧げること、それが高収入につながるのである。

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『人間は自分が考えているような人間になる』
きこ書房