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春と苛立ち

 ここ3週間程で初めてこうして何かを書こうとしている。今月の目標にしていた旅のエッセイの提出は諦めた。(だから書いていたエピソードを少し、昨日公開した。)代わりに小説を書こうと思った。自らの中の毒を排出したい、そんな思いが強かった。ぐちゃぐちゃで救いようのない人間関係を描きたかった。コンセプトを頭の中で組み立てている。原稿用紙200枚分書けるだろうか。短編でいい、また書いて、完成させて、どこかに提出しなければ。私は前に進めない。
 仕事の成績は低迷中、けれども浮上の仕方がわからない。社内の変化に反感を抱いてしまい、以前にあったモチベーションが消えかけている。ふと転職や部署異動の為に外部に話を聞いてみたり、リクルーターと話をしたり、簡単な面接を行ってみると、やはり今の環境がどれだけ恵まれているかに気づく。しかし、自分が求められるパフォーマンスを提供できないのに、今の場所にしがみつくつもりはない。無駄なプライド。でも私は自分の能力が発揮できる場所に行きたい。苦手なことに耐えるよりも、羽を伸ばして猛進していきたい。
 最近は食べてばかりである。体重はなんと59kgになった。先日健康診断の体重で焦っていた時よりもだいぶ重い。季節は冬から春になり、手先が冷え込むことも減った。しかし、体重が増えると漢方を飲んでいようが冷えが戻る気がする。焦ってパーソナルジムを予約した。毎日やらねば意味がない。食事制限も、運動も。
 文学賞の二次選考には落ちた。大したものは書けなかったと思ったのに、一次選考に通って舞い上がった。そうして書くのも止めた。自分の奢りに苛立ちが募る。本当に、情けない。自分が特別だと勘違いして、そこに留まるから、私はいつまでも凡人であるのだろう。嫌悪感がある、変化のない日常が嫌いだ。私は変わりたくて、動きたくて、進みたい。浮上したい。
 勿論いいことも沢山あるのだ。可愛くてお洒落で刺激をくれる同年代の友人たちもいれば、少し歳上だけど仲良くしてくれる私の憧れの生き方をしているようなお姉様方もいて、頻繁にお花見やお食事会をしたり、アートイベントに出向いたりしている。義父の東京訪問に合わせて、母の提案で結婚三年目の旦那さんと、私が小さい頃から何度も訪れた神社で神前式を行った。小さな規模で行ったけれど、祖父母や叔母様方、弟たちが来てくれて、とにかく、家族で集まれることがとても嬉しかった。義父の滞在中は自分たちでは特別な日にしか行かないようなお店で連日ディナーを楽しんだしーそれで胃が拡大しているー、本も沢山読んで、映画も観続けている。一見、充実しているのだ。私が同じ状態に留まりたくなくて、満たされていないだけで。
 なんて貪欲で、エゴイストで、強い驕りに支配されているのだろう。しかし、静かな哀しみと諦めと焦りと虚栄心に浸っていた過去10年程に比べると、30代目前の今、まるで10代の頃のように怒りを取り戻したような感覚がある。一度打ち砕かれた自信が、傲慢さと大胆さを持って帰ってきて、私の内側で暴れているようである。

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