アキ・カウリスマキと私
私がアキ・カウリスマキの映画に出会ったのは、今からもう30年以上も前のことで、たまたま映画館で「真夜中の虹」を観たのがきっかけだった。
失業した炭鉱夫カスリネン(トゥロ・パヤラ)は、寒々とした北からひたすら南へと向かうが、数々の不運が彼を襲う。しかし、カスリネンは泣きも喚きもせず、当然ながら笑いもしない。のべつまくなし煙草をふかすだけだ。
仏頂面のぱっとしない男は、いくつもの仕事を掛け持ちしている薄幸そうなシングルマザーのイルメリと知り合い、その息子ともども愛情を感じるように