みはら

アイルランド在住┆野山で植物を調べる仕事をしています┆「ゼルダの伝説のリンクのような冒…

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アイルランド在住┆野山で植物を調べる仕事をしています┆「ゼルダの伝説のリンクのような冒険がしたい」という夢を追いかけてアイルランドにたどり着きました。道中で出会った人々や植物について感じたことを書いていきます。

最近の記事

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自己紹介をします

みはらです。日本出身、アイルランド在住で、植物調査員として働いています。 私の人生の始まりは、ゼルダの伝説というゲームから。アイルランドに住み始めたのも、植物調査員になったのも、全てはゼルダの伝説のリンクのようになりたい!という童心の夢を追って辿り着いたものです。 *植物調査員は、平たく言うと自然保護と開発事業の仲介をする仕事。建物を新しく建てたりする前に、その場所に育つ植物を調べて、事業主に「問題なく工事をするにはこういう環境配慮をしないといけませんよ」、とアドバイスを

    • 雷に打たれたような瞬間を紡いで辿り着くところ

      アイルランドで植物調査員をしているみはらです。 日本からアイルランドへの移住は、"アイルランドとゲーム·ゼルダの伝説の風景が似ているから"という理由で決めました。日本人にとっては異世界のような風景と文化を持つ魔法の国。その野山を歩けば、もう気分はオープンワールドの主人公です。 そして、三日坊主の私が、大学の専攻から、日本での仕事、アイルランドでの仕事と共通して、今まで続けられている植物生態学。これは、"野山のアイテムを集めながら進む、そういうゲームの主人公のような冒険が出

      • 熱意の伝え方が、少しわかった話 in アイルランド

        アイルランドという新天地に植物調査員として日本から越して1年と半年。私が主に奔走したのは、同じく植物が好きで一緒に観察してくれる仲間探しだった。 結果的に今は、会社のチームメイト、イギリス諸島植物学会でランダムに集まる会員のみんな、植物学会の中でも近場に住んでいてたまに調査に一緒に行く人達、のグループと、休日山や湖で自然観察をさせてもらっている。 英語が拙い私とも仲良くしてくれるこの人達に感謝しかないわけだが……この中で、特に植物学会の輪に入るために、ずっと頭を悩ませてい

        • 幸せの1ユーロ | アイルランドの結婚式参列

          アイルランドで初めての結婚式 6月、アイルランドで初めて結婚式に参列した。会社のチームメイトが新郎で、チームメンバーを招待してくれたのだ。チームメンバーはチャットグループで休日も話すくらい仲が良く、よくクラスメイトみたいだと自分たちで例えている。新郎のブライアンはその中でもムードメーカー的な存在で、笑いの中心にいる。みんな彼が大好きなのだ。 そんな彼はとても思慮深く、一緒に調査に行ったときに「本当はチームメンバーのパートナーも招待しようと思ったんだ。けどパートナーがいない

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        自己紹介をします

          たった2時間の夜の散歩に、色々な偶然や発見が詰まっていた

          土曜日の朝、目が覚めてスマホを覗くと、会社のチームでやっているグループチャットの通知数がすごいことになっていた。 え、何事?大抵は、目撃した珍しい鳥の話で盛り上がることが多いが。よほど希少な鳥でも見つけたか……いやこの通知数は尋常じゃない。寝ぼけ眼で開くと、そこに写っていたのは オーロラだ。 昨晩、つまり金曜日の夜は、アイルランドでオーロラが観測できたらしく、リモートワークで各地に住む同僚達が次々に「ここでも見れた!」と報告をし合っていたのだった。 しまった、と思った。実

          たった2時間の夜の散歩に、色々な偶然や発見が詰まっていた

          植物調査員の一日 in アイルランド

          私のお仕事はアイルランドの植物調査員です。 ……って名乗ってみても、どういう仕事なのか、パッ!とは伝わりづらい。伝わりづらいけれど、私はこの仕事が好きだ。だから、なんとか分かりやすく紹介してみたいのだ。 この仕事の好きなところは 野山を歩いて役に立ててお給料ももらえて、だからまた休日もそのお金で野山を歩けて、歩いた分だけ仕事に活かせて……とずっと公私ともに自然を歩き回れるところ。 これ、なんだろう?あれ?ここはとおれそうだ。小さい頃に近くの緑地を冒険して、栗を拾ったり

          植物調査員の一日 in アイルランド

          さびしさは、抱えたままでいい

          「さようなら、お元気で!」 一期一会病、と家族に呼ばれる症状が、幼い頃の私にはあった。道すがら出会った人とお話をする。昔から私は話すと簡単にその人に愛着が湧いてしまって、つながりを感じてしまう。向こうからしたら馴れ馴れしいしちょっと不気味な奴だろう。そして道すがらは道すがら。別れはすぐにやってくる。幼い私には、それが耐えられなかった。もっともっとこの瞬間のキラキラが続けばいいのに。名残惜しさを、惜しさとして飲み込めず、「さようなら、お元気で!」と、その人が見えなくなるまで叫び

          さびしさは、抱えたままでいい

          格好いい自分になりたいという夢が、お題企画「かなえたい夢」で入賞しました!

          入賞しました🥳さわかみ投信×note公式のお題企画「かなえたい夢」に応募した「自己紹介をします」が入賞したとの旨、noteコンテスト事務部さんよりご連絡いただきました! 入賞作品はこちら。 note公式さんの入賞作品ご紹介記事はこちら! 私の「かなえたい夢」はズバリ「アイルランドで自然を駆け抜ける冒険をして、ゼルダの伝説の主人公リンクのように格好いい自分になる」こと! 私の中では、この夢を現実で叶えていく自分なりの熱意があって、この夢に励まされながら長年人生設計をして

          格好いい自分になりたいという夢が、お題企画「かなえたい夢」で入賞しました!

          本の自炊レポ | 費用1万円、スキャン2時間 | 5冊の図鑑と参考書を電子化してみました

          以前のカバン事情公開の記事で保留にしていた「野外活動に持っていく植物図鑑の軽量化」。やっと自炊(セルフスキャンでPDF化)という形で念願が叶いました。 かかった費用は合計1万円弱。スキャンにかけた時間は2時間。その後のAdobe Acrobatによる調整は1週間の隙間時間で行い、計5冊の分厚い図鑑や参考書達を目次つきで電子化することが出来ました。今回はその経緯を書いてみたいと思います。 カバン事情の記事はこちらから。 本の自炊がしたい私はアイルランドで植物を記録する仕事

          本の自炊レポ | 費用1万円、スキャン2時間 | 5冊の図鑑と参考書を電子化してみました

          ソーラン節を踊ってホームシックが解決した話 | アイルランドと私 #10

          「日本だってすごいんだ、誰か聞いて」 夢だったアイルランド移住を始めて二年目の今。一年目を振り返ると、じわじわとこの気持ちが私を浸食していたなと思う。私は「郷に入っては郷に従え」派なので、彼らの立ち振る舞いや精神をとことん学び、馴染みたいと思っている。アイルランド特有の言い回しやジョークを覚え、一緒に笑いたい。彼らが何を大事に想っているかを知り、尊重したい。自国を誇らしげに、嬉しそうに語る彼らの顔が大好きだ。皆、自分達のルーツを私に一生懸命教えようとたくさんおしゃべりしてくれ

          ソーラン節を踊ってホームシックが解決した話 | アイルランドと私 #10

          憧れたハイラル平原はこの国にあったのか | アイルランドと私 #9

          私の原風景「あなたの原風景は何ですか。A4用紙4枚程度でまとめよ」 大学2年生、風景学の講義で出た、課題の一つだった。自分の人格形成に関わった風景を選び、どう出会い、どのように感じ、影響したのかを説明する。 私は近所の大好きな緑の遊歩道と悩んだ末、教授にハイラル平原で論じて良いかと相談をした。 教授は、頭を抱えたにちがいない。「ハイラル平原で書きたい。私の価値観に強く影響した風景ということで先生の定義する原風景と一致していますし、最後はアイルランドへの夢に収束します」と

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          野外活動を快適に!植物学者のカバンの中身 | 素早い出し入れと防水にこだわりました

          色んな方のカバンやメイクポーチの中身を見るのが、とても好きです。経験の中で試行錯誤して選抜された実用的でお洒落な品々の情報をお裾分けしてもらっている、積年の集大成を一気に見せてもらっている、そんなお得な気持ちになるんです。 そんな私がいつも「覗けたらな」と思うのは、植物調査員のカバンの中身!というのも、私は植物調査員として働き始めて8年目、未だに「これで決定版!」というカバンの組み合わせと荷物配分に辿り着けていないのです……! 前職である北海道の調査会社では5年間、調査用

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          アイルランドのクリスマスが教えてくれた、盛大に祝うより大切なこと | アイルランドと私 #8

          私はキリスト教ではないが、日本にいた時は、クリスマスが一番好きな行事だった。似非と言われるかもしれないが、庭のゴールドクレストに飾り付けをし、当日朝になったら弟とサンタさんからのプレゼントをベランダへ探しに行き、夜はごちそうを家族で囲んだ。クリスマスの本場アイルランドでも、さぞ盛大で本格的に祝うんだろうなあと夢見ていた。 去年、実際肌で感じたアイルランドのクリスマスは、もっと粛々として、慎ましく、身内で楽しむもののようだった。この国の素朴なクリスマスと、感じた孤独と、家族に

          アイルランドのクリスマスが教えてくれた、盛大に祝うより大切なこと | アイルランドと私 #8

          子羊と、祖母の命 | アイルランドと私 #7

          2月、春の訪れ 「少しでも早く春を感じたいと思って、アイルランドでは多くの人が庭にスイセンとスノードロップを植えるんだよ。それから、子羊が生まれて、本格的な春が来るの」 同僚兼友人Nが、調査地に向かう車内で教えてくれたことだ。なるほど確かに、暖かくなり始めた2月というのは、今か今かと春を急く私達をよそに、野の花はなかなか顔を出さず、もどかしい日々が続くものだ。そんな時、大ぶりの花で色を添えてくれているのは、それぞれの家でいの一番に咲く園芸のスイセンとスノードロップだった。

          子羊と、祖母の命 | アイルランドと私 #7

          鉤縄で4つの湖を巡る | アイルランドと私 #6

          アイルランド移住後の旅の記録、その6。自己紹介はこちらです。 毎回ゼルダの伝説と自分の旅の共通点を探しては、気持ちはすっかりリンク!となるのが、私の旅を楽しむコツだったりする。 アイルランドにて、水生植物を採取する鉤縄を作ったのだが、この用途がゼルダの伝説でお馴染みのフックショットに似ていて、非常に良い。そこで今回は、今年の晩夏、4つの湖をフックショットで攻略(?)した旅の話をしたい。 アイルランド中央部から西部の湖を旅し、水の中に生えている植物を沢山知ろうというトレー

          鉤縄で4つの湖を巡る | アイルランドと私 #6

          嵐をただ、静かに見つめた日 | アイルランドと私 #5

          アイルランド移住後の旅の記録。 環境調査員の同僚Nは、長期のプロジェクトのチームメイトで、仕事に対する考えが合い、意気投合した友人でもある。彼女はメイヨー州出身で、今はゴールウェイ州に婚約者と家を借りて暮らしている。 彼女の家に初めて遊びに行ったのは、今年6月半ば。植物観察会の応募に落選した私達は、お互い遠慮しがちに、「代わりに土曜日と日曜日、二人でゴールウェイとメイヨーで過ごそうよ」と誘い合った。その旅を要約すると、雨、雨、雨の二日間。でも、本当に心満たされた。その様子

          嵐をただ、静かに見つめた日 | アイルランドと私 #5