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大好きな記事まとめ

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また読みたい大好きな記事をまとめました。
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記事一覧

夏至祭の前夜は

この国では6月最終週の土曜は、夏至祭だ。 その前夜である明後日金曜の晩には、海や湖の畔などの水辺で、大きなかがり火が焚かれる。 これは長い冬の間待ちに待った短い夏の到来を祝うため、または夏至を過ぎると夜が少しづつ長くなってゆくため悪魔が徘徊するのを追い払うなどと言われているが、まだこの国にキリスト教が広まる前からある伝統的な儀式で、クリスマスと同じくらい重要な日なので田舎へ帰省して過ごす民も多く、ちょっと日本のお盆にも似ている。 夜といっても今の時期は白夜のため明るく(北部

猫の歌: Miau, Miau, Miau

猫を長年飼っていますが、我が家の猫はあまりピアノの音には興味を示しません。猫は音楽好きという評判なのですが。 犬を飼っていた時、フルートを吹くと、今は亡き愛犬はすぐに音に反応して耳を震わせたり、クゥンクゥンと鳴いたりして、明らかに笛の音に関心を払っていました。 犬猫は人間の耳とは違う周波数の音をも知覚することができるそうです。 以下の周波数データが大体の目安です。 ネコ:20 Hz ~20,000 Hz イヌ:40 Hz ~ 60,000 Hz ヒト:20 Hz

夜明けの歌

夜明けを伴奏に 今日を歌おう 365分の1の 特別でない日を祝おう 棚田の一枚一枚にも 朝日は映り込み 失敗も成功も 全部君のものだよ

【Joep Beving】

『ソリプシズム』(2015) ※独我論 「The Light She Brings」 『プリヘンション』(2017) ※拘束? 「Ab Ovo」 『ヘノシス』(2019) ※合一 「Henosis」 『ヘルメティズム』(2022) 「Nocturnal」 ショパン風でしょうか? メランコリックでしょうか? 救われるでしょうか? 希望があるでしょうか?

ドラマ「季節のない街」〜どこへも行けない、どこにも行かない

ずっと観たいと思っていた、宮藤官九郎 脚本・監督「季節のない街」が、やっとテレ東でも始まり、毎週楽しみに観ている。 このドラマはクドカンが長年温めていた企画であり、原作は彼が演劇を始めるきっかけになったと言う山本周五郎の同名小説。 すでに黒澤明監督が「どですかでん」で映画化しているが、今作では、12年前に起きた”ナニ”の災害によって被災し、仮設住宅に暮らす人々に設定が置き換えられている。 主人公の半助は、飼い猫トラと仮設住宅へ潜入し、住人の動向を正体不明のミッキーさん(鶴

今年はじめての海の話

夕暮れの5時か6時 地中海は亜鉛に変わる 君が腰掛けるには冷たすぎるだろう ──"カンヌ" ジャン・コクトー 私が今年最初に見たのは淡路島の海でした。 新たにやって来ることになった子犬の迎えに明石海峡大橋を車で渡り、そこから眼下に広がる瀬戸内海を眺めました。 天気は良いもののまだ寒すぎて海遊びの人もおらず、出ているのは漁船ばかり。沖に向かってフェリー船がゆったりと遠ざかって行くのが見えました。 けれどもそれはただ"見た"というだけで、私は海の水に触れてもいません。 長

手前味噌への道

私はほぼ毎年、味噌を仕込んでいる。 こう聞くと、いかにも私がマメな人間で、やっぱり味噌は手作りの方がだんぜん美味しいものね、と思った方もいるだろう。 ところが私の味噌は…家族の誰からも喜んでもらえない… なぜか? これまでの味噌は、毎回蓋を開けた瞬間から なんじゃこりゃぁあっ!!!by 松田優作(太陽にほえろ ジーパン刑事殉職シーン風に) 思わず自分でも叫んでしまうような、不穏な代物が出来上がっていた。 色はドス黒く、ボソボソだし、潰しきれなかった大豆が粒餡みたい

ピーナッツソースのなぞ|ウガンダ生活

今週もこんにちは。思い立ち、ヘッダをデザイナーさんに作ってもらいました。いい感じです。 さて、今日も今日とてごはんの話。僕はウガンダ北部のアチョリと呼ばれる地域にいますが、常々書いているとおりここは料理がバリエーション豊富。薄味で日本人の口にも合うおいしさです。 そんなアチョリ料理に欠かせないのがオディと呼ばれるラッカセイ(ピーナッツ)&ゴマを挽いて作るペースト。野菜や魚、肉を煮たりするのに使いますが、一口にオディといってもいろんな種類があります。図にまとめたものがこちら

憧憬

 先日、友人を山奥の秘湯に案内した際、途中で以前から気になっていたかつてつげ義春が訪れたという温泉への入口に気付いた。車で通り抜けただけだったけど、街道からV字型に入り込んだ路地は往時の面影を色濃く残し、突き当りに2軒の茅葺屋根の温泉宿と地元の方用の共同浴場があった。今にも浴衣に風呂桶を抱えたつげさんが歩いてきそうだった。  「無能の人」を読んだのは二度目の転職前で、ちょうど無職同然の頃だったから、描かれている主人公の状況がひとしお身に沁みた。十代の頃から仙人になれないものか

忙しすぎて現実逃避の女一人旅したら最高の宿に出会った(湯河原/オールインクルーシブ/プライベートサウナ)

今年の3月は本当に忙しかった 2月からずーっと忙しかった 朝から晩まで家で1人PCと向き合い 寒いし、暗いし、家ご飯も飽きた 温泉行きたい、、、、、!!寝る前のネットサーフィンで 「一人歓迎 旅館」「一人旅 温泉」と 検索かけていた時に見つけたお宿が 巛-sen-湯河原 全室源泉かけ流し風呂付 オールインクルーシブ プライベートサウナ ミストラウンジ 館内の写真がおしゃれすぎる 見つけた瞬間に一目惚れし即予約 初めての一人旅、一人で楽しめるのか? という不安

日本のTVサスペンス&ミステリードラマ :民放編

そもそも、サスペンスとミステリーの違い ネットでいろいろと調べましたが、釈然としないコメントが多く、作品の区分けも筆者によって食い違っています。ただ、大まかには次のような区別でかまわないのではと思います、 ミステリー: 謎解きの過程に焦点を当てた作品(犯人探し中心) サスペンス: 恐怖や不安に焦点を当てた作品(犯人のアリバイ崩し中心) ただ実際の番組では、サスペンス&ミステリー両方の要素ありというドラマが多いと思われます。 お気に入りドラマを選ぶ基準 前回は、あまり

あまり語られない、タルコフスキー映画に出演した俳優たち

2回続けて映画監督アンドレイ・タルコフスキーについて触れてきましたが、今回は他の方の文章ではあまり言及のなさそうな、タルコフスキー映画に登場した印象深い俳優たちに触れてみようと思います。 隠微で謎めいた表情の奥によぎる女の性(さが) ~ マルガリータ・テレホワ Margarita Terekhova 最初に取り上げるのは、「鏡」で母親を演じた女優マルガリータ・テレホワ。映画の中では、主人公の少年期の母親と現在の妻という一人二役なので、多少の混乱が生じてしまいます。この「鏡

三十六計逃げるに如かず

私が好きな読みもののひとつに、色々な媒体に掲載される『人生相談』があります。 そこには、相談者の悩みに対してどんな解決法がもたらされるのだろう、というわくわくがあるのですが、先日読んだある芸人さんの回答に、秀逸なものがありました。 〈学校でいじめを受けているのに誰も助けてくれない。どうすればいい?〉という小学生の男の子からの相談に、その人はまず〈逃げること、その場から離れること〉を勧めていました。 そして、さらに素晴らしいのは〈逃げることに罪悪感を覚えたり、恥ずかしい、駄

ビューティフルなロック・キング

"『ルシール』" "甲高い叫び声と哄笑" "エキセントリックな外見" "『刑事コロンボ』に本人役で出演" "同性愛者でクリスチャン" "ロックの始祖" 私がその人に持つイメージや知識といえばそんな程度だったのですが、次の休みにドキュメンタリー映画を観に行かないかと友人に誘われ、心が動きました。 自分では絶対に選ばない作品ですし、かえって世界が広がりそうな予感がします。 『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング』 〈すべては彼から始まった〉という映画のコピー通り、この