夜と街

住んでる街、歴史ある都会や美しい自然を旅するなかで出会った風景、好きな人たちと過ごした時間を描いたり書いたりします。

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    バーダー、ネイチャーハンター(予定)としての視点。

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    日々の生活こそが人生

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    アクリル画、水彩画

  • 人間活動の集大成ともいえる都市を軸に、そこで生きるひとの生活、文化、精神に思いを馳せる。あるいはただの散歩の記録。

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エディンバラ暮らし|巡るキャロットケーキ

後悔の残る旅はきっと良い旅だ。 2018/12|はじまりのキャロットケーキ 5年前の年の瀬、母と二人でイングランドにいた。 社会人3年目になった私からの「親孝行」旅のつもりだったけど、思い返せばあれはむしろ、私の好きな国についてきてくれた母からの「子孝行」旅だった。 あのとき、小さなベーカリーでどでかいキャロットケーキを見つけた。 茶色の生地に分厚いフロスティングがかかった、見るからに重ためのお菓子。惹かれたけど、当時は見送った。 それ以来、キャロットケーキを食べ逃

    • 写真日記|夏が暮れる/かけがえのない時間

      鳥類調査の仕事でいつも忙しい弟が久しぶりに帰省するというので、合わせてわたしも飛行機に乗った。母が住む家に3人集合するのは2年3ヶ月ぶりのこと。 弟の運転で連日いろんなところに出かけた。 海、山、山、海。 あなた、平日も休日も自然にまみれてばかりだね、と話しかけると、弟は「早くしないと、鳥が絶滅してしまうからネ」と言う。 過去に未来に思考が奪われがちな昨今、『今・ここに生きる』という難易度の高いことを、この人は地で行ってるんじゃないか。 写真は荒尾干潟という。 夕日の名所

      • 庭に来てくれるアマガエル/野菜を育てるモチベーション

        毎日暑いですね。 暑すぎて家から出たくない・・・ところだけど。 今借りている賃貸の家に小さい庭がついていて、そこに木枠で囲った畑をこしらえて野菜を育ててる。野菜を植えたのだから、水をやりに無理にでも外に出なきゃいけない。だから庭があると引きこもりの罪悪感が和らいで、出不精としてはちょっと助かる。 そんな庭。そこにはたまに、思いがけないお客さんが来ている! これが地味な日々に少なからぬ幸せをもたらしてくれる。アマガエル然り、こないだのヘビ然り。 行儀良く足をたたんでいる

        • 1年間、仕事から離れて暮らすことにした/自由を手に入れたら、何をする?

          「退職します」と言ったら、1年だけ休ませてくれることになった もう限界だ、と思った。まず2-3年は頑張ろうと考えていた業界で、約7年走った。とっくにヘトヘトだった。 これが天職だと考えていたこともあった。やりがいに満ちていて、難しい仕事を任せてもらえることが自信に繋がった。 でもいつのまにか、何かに飲み込まれた。平日は早く終わってくれと祈り、休日はソワソワしているうちに一瞬で過ぎて、好きだったはずのことも楽めない。最大の味方である家族には心にもないことを言ったりして

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          庭にヤマカガシ|毒のある美しい隣人

          ただ蛇を愛ているだけの日記です。 ※苦手な方は…そろそろとお進みください🙏 うれしいことがあった。 朝、賃貸の家についている小さな裏庭に出てカボチャの様子を見ようとしたら、背後でずずっと音がした。 振り向きながら、その音の雰囲気からなんとなく蛇だろうなという気はした。家の周りで出会ったことはなかったけど、我が家でボールパイソンという小型の錦蛇を飼っていたこともあり、蛇好きとしてはその這いずり音にピンとくる。 アオダイショウかシマヘビかな。 そう思っていたら、緑がかった

          庭にヤマカガシ|毒のある美しい隣人

          野鳥散歩|シギ・チドリ/干潟のペースで生きてみたい

          前半は江津湖湧水とラムサール湿地のシギチの可憐さ、後半は会社員のつぶやき。 自然のペースと都会のペースの話。 今年のGWは長めに休みが取れたので、熊本の実家に顔を出した。父は私が小学生のときに他界したので、我が家は関西で夫と暮らす私と、東北に住む弟、そして熊本に残った母の3人構成だ。弟が就職で家を出てから生まれて初めて一人暮らしをする母だけど、このごろなぜかシャキシャキ・キラキラしている。 キラキラに、じんわり。家族が元気でいてくれることのほかになにを望むのか?本気で思

          野鳥散歩|シギ・チドリ/干潟のペースで生きてみたい

          絵日記|愛の鳥 /「好き」は言語化できない

          結構ニッチなのかもしれないけど、 シロカツオドリを語れる人がいたら、ぜひお酒を飲み交わしたい。そのくらい大好きな鳥がいる。 こんな鳥。 大好きであるから、絵に描いた。 自分にしては大きな絵だった。木枠にホワイトワトソンの紙を水張りして、アクリルガッシュで短時間で仕上げた。 いつまで経っても描けない絵もあれば、一瞬で描けてしまう絵もある。 特に親しみやすいわけでも、特別可愛い見た目をしているわけでもないのに、なぜ好きなのかよくわからない。夫に自分のどこが好きなのかしつこく

          絵日記|愛の鳥 /「好き」は言語化できない

          神戸|有機農園でのこと / ここは土と暮らしが近い街

          最近、スーパーで新玉ねぎをよく見かける。つやつや白い小ぶりの玉が袋いっぱい並んでいて嬉しくなる。 西神戸に来てから、野菜がとても身近になった。単純に食べる機会が増えただけでなく、生産の現場が近くなったという意味で、身近になった。有機農園で半年間くらいボランティアさせてもらうというラッキーに恵まれたのだ。 有機農園との出会い ボランティアとして受け入れてもらっていたのは、神戸市西区にあるNaturalism Farmさん。一年を通じて少量多品目で色々な野菜を作っている有機

          神戸|有機農園でのこと / ここは土と暮らしが近い街

          サステナビリティ考|ずっと続いてほしいものにエールを

          イッタラの花瓶を友達の結婚祝いに贈ることにした。表参道を歩いているときにたまたま見つけて、「これしかない」と思った。 一点一点手作りで、厚み、重さ、気泡の入り方、全部違うらしい。リサイクルガラスだからこその絶妙なグレーの色合いと、縁が描く不均一なカーブが、遊び心とかっこよさを併せ持った友達のイメージとぴったりだった。 *** 心惹かれるものにお金を払いたいと思う。 例えば、職人やアーティストと呼ばれる人の仕事。 こういう買い物は、金額以上の満足がある。 ものを通じて

          サステナビリティ考|ずっと続いてほしいものにエールを

          野鳥観察|夏先取りユリカモメ

          このごろはずっと雨ばかりで、気温は低く風も強い。 3月も終わりですよ。春ならばもうちょっとこう、陽気をさ、うららかにさ。 そう期待してしまうけど、毎年春はそのイメージを裏切って案外冷たいものだ。ギャップに勝手に打ちひしがれるのもまた春の風物詩といえる。 「あー春。」と思いながらどんよりと公園の池を眺めていたら、意外な姿が目の前を横切った。 あれ、よく見えなかったけど頭、黒い?? とまってくれた。1羽だけ、やっぱり黒い。 * この鳥はユリカモメで、日本では冬鳥だ。

          野鳥観察|夏先取りユリカモメ

          野鳥観察|こんなところにカンムリカイツブリ/鳥を通じて発見する街の中の自然

          JRに乗って、自宅のある西神戸から大阪の東側へ。 奈良県に入る手前で降りるとそこは、生駒山が見える閑静な住宅街だ。 ここで月に一度、友達の会社の絵画クラブにお邪魔して油絵を描いている。 その日は早めに駅に着いた。 そんな日はだいたい駅のスタバかロッテリアに入ることが多いのだけど、天気も良かったし、近くを散策することにした。 * 少し目線を上げれば遠くに山が見えると言っても、足元の道は綺麗に整備されている。剥き出しの土や草地や林道みたいな自然の余地はほとんどない。 駅

          野鳥観察|こんなところにカンムリカイツブリ/鳥を通じて発見する街の中の自然

          野外鳥類学の扉をたたく。空の広さを知る

          この冬、日本野鳥の会による「野外鳥類学講座」にお世話になっていた。鳥を通じて世界とつながれるということ、大人になって学ぶのはとても楽しいことを知った数ヶ月間だった。 「野外鳥類学」の扉をたたく 何気なくネットを眺めていたらたまたま見つけたこのページに、目が釘付けになった。 「調査研究に関心がある方」。 流石に背伸びしすぎかな?でも・・・ * 鳥類世界の楽しみ方は人によって様々だ。 写真に撮ることが好きな人もいれば、絵を描くことが好きな人もいる。庭に餌箱を置いて、眺め

          野外鳥類学の扉をたたく。空の広さを知る

          読書感想『R・E・S・P・E・C・T』|生活に主体性を取り戻す

          ブレイディみかこさんの本、『R・E・S・P・C・T』を新幹線の中でKindle にダウンロードして、一気読みしてしまった。紙の本も書店で探して、家に置いておこうと思う。人に紹介しまくりたい。 資本主義の巨大な流れが富の偏りを生む。広く市民のためにあるはずだった公営住宅も、裕福なミドルクラス以上の人たちのために再開発され、本当に必要な人の手には渡らない。その地に生まれ、その地で生きてきた人たちがホームを追われていく・・・。 そんな中、ホームレスのシングルマザーたちが生きる尊

          読書感想『R・E・S・P・E・C・T』|生活に主体性を取り戻す

          エディンバラ暮らし|旅するように生活する

          ひとり時間の記録と、生活について思うこと。 ごはん カレーに、畑でもらった何かを添えて <

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          野鳥観察|ミヤコドリに再会/「趣味」は解像度で決まるのかもと思った話

          スコットランドで初めて会ったOystercatcher、日本語で「牡蠣喰い」と思いきや「ミヤコドリ」という雅な名前の鳥、ついに日本で再会。 熊本の実家に帰省した帰り、旧友に会うために福岡に立ち寄っていた。福岡市は海に接している。せっかくだから海鳥を見にいきたいなと、「福岡 干潟」で検索。 あったあった。 博多から遠くないところに干潟がある。秋春はシギチドリが飛来し、冬は「ミヤコドリがおすすめ」らしい。ご当地グルメのような紹介文だなと思いながら、ここに行くことにした。 電

          野鳥観察|ミヤコドリに再会/「趣味」は解像度で決まるのかもと思った話

          絵日記|雨の日の結婚式、エディンバラ市役所にて。

          エディンバラのMorningsideで、なんとかという教会が毎週木曜日に開く無料の英会話教室に少しのあいだ通っていた。 そこで出会った女の子と仲良くなり、彼女のパートナーや友人も交えて、ケイリー(スコットランドのダンス)や8月のフリンジフェスティバルに何度か一緒に出かけた。たまに遊ぶ程度だったけど、それでもその子が中国に一時帰国したとき、急に寂しい気持ちになったのを思い出す。 そんな彼女がイギリス人パートナーと結婚することになり、わたしは証人として式に参加した。 証人を頼

          絵日記|雨の日の結婚式、エディンバラ市役所にて。