フッ軽なんですね、と言う人。
ある日、知り合って間もない知人から「今度、仲のいい人たちを集めて飲み会やるんで! 〇〇さんもぜひ来てください!」と言われた。
聞けばそのナゾの会には15人くらいが来ると言う。さらに、そのナゾの会が開催される日は3日後なんだとか。
…3日後…15人…。
うーーーん…。
正直…。
幸か不幸か、入っていた予定はキャンセルになっていたので、私はそのナゾの会に行くことにした。だって呼ばれちゃったし。
正直言うと、何かを期待することもなかった。
ただ呼ばれたから行った。と、書くと冷めた感じがするけれど、私にだってそういう時もある。あるがな。
ナゾの会に行くと、20代を中心にたしかに15人くらいの男女がいた。私は仕事終わりで参加したから、当然スーツである。ところがなぜだか、そのナゾの会には私以外にスーツの人がいなかった。
細かなことを聞かなかった私が悪いんだけど、そのナゾの会において、私は浮いている気がした。3人、4人くらいの少人数であれば、なんとかなるけれど、大人数の会合は得意ではない。なんだか15人の中で私だけ雰囲気が違う気がする。
学生時代の私は、教室で陽キャがギャハギャハ騒ぐ中、窓際の席で自作のすごろくを作ってたタイプだ。近くの友だちと消しゴムサイコロを転がしていたタイプだ。こんな感じで。
こういう工夫がおもしろいと思っているタイプだ。ナハナハ笑いながらやってた。
…
そのナゾの会の中で私はどう思われようと、もはや関係ないやと思って、つとめてニコニコ、でもジッとしていた。
こういうところがダメだ。
でもムリなもんはムリ。
私の席の向かいに20代中盤の女性たちがいた。彼女らも初対面らしい。
カメラマンの人もいれば、
モデルをやってると自称する人もいた。
(モデルねぇ、ふーーん)
で、聞かれた。
「〇〇さんは、どうしてここに来たんですか?」
「いやぁ、呼ばれまして」
「スーツだから、
The 仕事終わりって感じですね」
「あ、はい、そうなんです」
「いつ呼ばれたんですか?」
「あ、3日前に呼ばれまして」
「へぇ〜!フッ軽(かる)なんですね!」
「あ、あぁ、かもですね」
私は内心思った。
他人に対して「フッ軽ですね」という人と、「あ、自分フッ軽なんで」という人とは、なんだか仲良くなれない気がしてしまうのは私だけか?
否! 私だけではないと信じたい!
同志諸君! 集結せよ! 集合!
…
とにかく反省した。
(あぁ、いけない、いけない)
と思って、みんなに質問した。
「お話聞くのうまいですね」
と言われても、苦笑いである。
話を聞くのがうまいわけではない。
彼女ら、彼らに私の話をするつもりがないのだ。私のことを分かってもらわなくてもいいから、君たちがずっと喋ってくれ。
なぜなら、聞かれてもないのに
自分の話をするのは恥ずかしいからだ。
1を聞かれて、7で返すのも恥ずかしい。
だから1を相手にぶん投げまくって、話を聞く。すべてが終わった後に相手の心に「あの人、何者なんだろう…」くらいが残ればそれでよし。いや、残らなくてもいいや。
…
全員が2次会の
カラオケになだれ込もうとする中、
「妻が待ってますので〜」
と言って帰ることにした。
「え〜! 帰っちゃうんですか〜!?」
…
……
…いや、帰るよ!!!
帰るっつーの!!!!!!
妻が待ってるって言っただろ!!!
初対面でカラオケ行けるような
バキバキなメンタル持ってないから!
…
……
うーーーん、きっと私は意地が悪い!
▶︎私が仲良くなりたいのはこんな人
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