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奇縁堂だより18 【本の紹介 : 紀田順一郎と神保町】

 ご存知のように,神保町には驚くほど多くの古書店があります。専門分野を得意とする店,ジャンルに関係なく古書を扱う店,新古書をメインに扱う店,何やら怪しげな店?など,古書を求める人の興味を存分に満たしてくれるのが神保町です。

神保町交差点

紀田順一郎の略歴

 この神保町の達人といえるのが紀田順一郎です(私の個人的な見解ですが)。同氏は慶應大学在学中から推理小説批評を手がけ,卒後は同人誌活動を経て,1964年に『現代人の読書』を出版,以後書誌・近代史を中心に評論活動に入った(新潮社HPより)そうです。
 
 同氏は何より神保町が好きなようで,次に挙げたように神保町と古書にまつわる多く書籍を上梓しています。中でも面白いのは,稀覯本の探索という仕事に古本屋探偵なるのも登場させた『古本屋探偵登場』です。
 古書の探偵といえば2011年に上梓された三上延・著の『ビブリア古書堂の事件手帖』を思い出す方も多いと思いますが,紀田順一郎の『古本屋探偵登場』はこれに遡ること26年前の1985年に上梓されています。

古書店街(靖国通り沿い)
古書店街(靖国通り沿い)

紹介作品一覧 

 今回は,奇縁堂の在庫の中から紀田順一郎の神保町と古書に関する作品をピックアップして紹介します。

・私の神保町
・古本街の殺人
・古本屋探偵登場
・古本屋探偵の事件簿
・古書収集十番勝負
・新潮社100年目録

作品紹介

・『私の神保町』 四六判,¥880(税込)
 
神保町に最初の古書店・高山書店が誕生したのは明治8年(現在は神田古書センター1階で営業しています)。次いで有史閣(現在の有斐閣),三省堂などが開店,その後は次第に書籍業者が増えて来たそうです。
 著者が,そんな神保町という街の記憶を訪ね,古書探求の愉しみを綴ったのが本書です。古書好きの方,神保町のお好きな方には是非読んで欲しい一冊です。

・『古本街の殺人』 文庫,¥550(税込)
 古書の街・神保町で,ビルの所有者でしかも古書店を経営する老人が不可解な死をとげた。
 犯人は稀覯書を巡るマニアックな古書収集家か?それとも,地上げにからむ犯行か?古書に魅入られた人々の生態を描いた傑作長編推理小説。

『古本屋探偵登場』 文庫,¥550(税込) 
 世界最大の古書店街・神保町に登場した名探偵・須藤泰平は,何と古本屋「書肆・蔵書一代」の主人。愛書家,蔵書家の古書に対する執念世界を名探偵・須藤泰平が解き明かします。

・『古本屋探偵の事件簿』 文庫,¥770(税込)
 
古書店「書肆・蔵書一代」の主人・須藤康平は「本の探偵—何でも見つけます」という広告を出した。
 これにつられて珍書,奇書の探索依頼が持ち込まれ,不可思議な事件を引き起こすこととなる…さて本屋探偵は事件を解き明かせるのか?

・『古書収集十番勝負』 文庫,¥550(税込)
 
神保町の古書店の跡継ぎとなるのは長女の婿か?次女の婿か? 死期が迫った主人が考えた後継の選定方法は,稀少価値の高い古書10点をタイムリミットまでにどちらが多く入手できるか競い合わせることだった。
 10冊の古書を巡って繰り広げられる,壮絶極まりない稀覯書収集合戦の行くへは…

・『新潮社100年図書目録』 (紀田順一郎・監修)A5判,¥1100(税込)
 
文字通り,明治29年に創業した新潮社の100年間の図書目録です。年ごとに,上欄には新潮社・出版界・文壇に属する事項を記載し,下欄には時間軸に沿って図書目録を配列してあります。また,索引は別冊となっています。
 神保町も古書も直接的には関係しませんが,書誌学を専門とする紀田順一郎の監修なのでここに挙げました。新潮社を知るには打って付けの一冊です。


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